国楽制定の必要

 社会風教の維持に関して音楽の勢力の大なることは争ふべからざる也。而して我邦を顧みれば、一の国民的音楽と称すべきもの無し。是れ豈我が社会の一大欠点にあらずや。
 従来及び現在の音楽一にして足らず、其の西洋より輸入せられたるものは、一個の美術として見むには、誰か其の優秀なる価値を拒むべき。而かも未だ国民生活と円融抱和するに及ばず、即ち国民的音楽としては毫も為す無き也。古来の伝襲に係るものは或は鄙俚に傾き、戎は上品
に偏し、共に一般蔽曾に向つて其の推奨を敢てし雑き事情あるを免れず。況や今臼多少高命な
と一しJ
る青触的趣味を解する者の浦足一ぞ要むるに凪らざるをやっ是れはた観楽として相なき也。一の

雅楽協曾のりて国楽制定の目的の虜に轟カするは犬に多とすべし。然れども析謂る准撃ぜ以て
是の袖き国楽となさむとするに室つては、蓮に同随の讃を党れざるべし。椎楽は須らく保存す
べし∵dれど今日及び樽来の固民的噌好に適すべきものに非ざる也っ
今H∵音衆畢校に於て敬ふる所の普楽は、餅りに専門的なり、除りに直澤的なり、除りに由
洋的なゎ、酎ち除りに非国民的なり。吾人は国立の普架学校に於て非組民的昔攣ぜ事とするを
常然とすべき理由を見る紹はず。
抑壷楽の国民的たるに於て映くべからざるこ個の條件めり。国準こ調和すること其一なり。
其の国民的生冶状想と抱合すること其二なり。所謂る趣好なるもの.満邦を通じて一なるもの
に非ず、其の融禽生括の如何によりて影響せらるべきもの也。芙撃上の原理に至つては米西古
今に二途タQみ−許さずっ潔れい■も其の適應の事情に至つては、須らく各国の国民的坐活により
▲ノあや士
て規延せらるべしり夫の圃語の性質を顧みず、猥りに西洋音兜家爪ふ泡轡?掩墳して過たサとす
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るもの、其の坐清状態の如何を顧みずして偏へに彼邦の楽一ル壷‥ぷもの、寧でか国民的音撃?曜
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女することを得べき。彼等は動もすれば趣昧の敦育与呼ぷ、是れ大に可っ然れども彼等が他に
レうき.に
向つて趣味の教育を琴っるに先ちて、白ら国民鍵讃によりて敬育せられなば、更に大に可なら
む苧。
遽英、音楽は家庭の事痛を樹進し、鹿曾の殊序を維持する上に於て鉄くべからざる也っ今の
教育家普楽家は大に是の鮎に汀志せざるべからず。国寧ぞ以て非国民的音楽畢校を建設せる文
部省ほ、殊に一番の猛省を輩す。
(Tニ十一年一月)