世界に比ひなき日本婦徳の顕揚こそは、私共婦人の一日も忽にしてはならない大切な
ことであります。殊に、日に月に変り行く現下の情勢に対しましては、一層修養に修養
を積まなければ、此の超非常時を乗切ることは至難と存じます。
 本会は夙に此の婦徳の涵養を強調してまゐりましたと共に、会員皆様も亦相誡めて其
の修養に努めて下さいましたが、東京地方本部でも時に応じて講習会を開かれまして、
会員の指導に努カせられますことは、まことに欣びに堪へない所で御座います。
 今度の幹部講習会の講師諸先生は特に時局に精通せる方々であります上に、いとも熱
心且つ親切にお導き下さいました為に、私共が精神の鞭撻を受けましたことは一しほで
御座いました。又盟邦独伊の両婦人の方々から受けました刺戟も少くは御座いませんで
した。今此の講習会の速記を印刷して広く会員にあ頒ちになりますことは、まことに結
構なことであると存じます。読者のこれによつて得られる収穫も亦大なるものがあると
信じます。
 今や婦人団体統合問題は具体化し、やがて其の実現を見んとしてゐる折にもかゝはり
ませず、会員皆様には遠近の別なく、九州、北海道さては朝鮮よりお集り下さいまし
て只管此の修養の道にいそしまれました其の熱心なる態度こそは、日頃体得されました
婦徳の顕れとうれしう存じました。私共は今日与へられましたる此の御指導をいよいよ
身にしめて、天晴日本婦人の真価を発揮せねばならぬと存じます。茲に講師諸先生の懇
切なる御教示を厚く感謝申上げますと同時に、本書を一人でも多くの方々が御読み下さ
るやうおすゝめ申上げます。

昭和十六年秋

               大日本国防婦人会東京師管本部長  荒木錦子