四四遠大なる志望なき国民代議士古谷久綱

 伊藤公が存生(ぞんじやう)中、或時ニユーヨークから仏国ブーロニウ港に渡航する某号の喫煙室でのことである。深更、船客は皆散じて、後に残るものは、公と記者との二人のみであつた。談たま/\日本国民の将来に及ぶと、公は斯ういはれた。
 宇内各方面における人類の生存競争が日に益々激烈を加へ来れる時において、わが帝国が僅々四十年間に斯ういふ長足の進歩を為したのは、我も人も共に等しく一

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