一八西洋の家屋と日本の家屋理学博士遠藤吉三郎

 西洋の家屋と日本の家屋とを較べると、窮屈なると融通自在なる点に於て、全然別物の感がある。華美(りつぱ)であるとか、広壮であるとかの点を比較するのは、貧富の差を比較することになるので、建築に現はれた国民性の比較にはならぬ。
 西洋の家屋では、客間、食堂、寝室、台所と室がチヤンと別になつてゐて、食堂には朝から晩まで食器が出て居り、寝室には四六時中(しよつちう)床を伸べてある。食堂を寝室に使ふことが出来ず、寝室を客間とする訳に行かぬ。所が日本では、特別大きい

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