特別攻撃隊  斎藤茂吉 

    
大元帥統べたまふ軍のいきほひの最中かがやくこのいつくしさ
きはまれる大き行為を端的の捨命のごとくわれもおもはむ
あめつちに至りわたれるたましひをわが戦にまのあたりにす
微塵なすかろき命といふ比喩もはや空々しこのたたかひに
大君は神にいませばうつくしくささぐる命よみしたまへり

                  『文芸春秋』二十年一月号