大東亜戦下・新春を迎ふ

 支那事変から大東亜戦争へ ---- 世界史に特筆さるべき飛躍を遂げた昭和十六年を終つて、我々はいま大東亜戦下、初の新春を迎へる。支那事変勃発から数へて聖戦第六年である。
 大東亜戦争は米英の桎梏から大東亜を解放するための戦ひであり、このためには古き米英的秩序を破壊し去つた後に新らしい秩序を建設せねばならない。戦ひは必然的に長期戦であり、建設戦である。開戦以来の皇軍の輝かしい戦果は、御稜威の下、皇軍将兵の身命を捧げての苦闘の賜に外ならない。これに酬ゆる道はたゞ一つ、一億国民が鉄石の団結を以てその職域に奉公する以外にはない。国民の一人々々が大東亜建設の礎石となる覚悟で、長期戦建設を戦ひ抜かねばならない。
 戦争の前途はまだまだ長い。徒らに緒戦の戦勝に酔つてはならない。戦ひの生活は、歩一歩足許を見つめた着実なものでなくてはならないのである。戦勝の喜びと感激は、国策の実践として生活の中に生かさねばならない。銃後一億に長期建設戦を戦ひ抜く心構へが出来てさへをれば、大東亜の戦域における物資は極めて豊富であり、建設の前途は極めて洋々たるものがある。
 大東亜戦争下の新春に当つて、この覚悟を固めるが否かが、建設の成否、いな大東亜戦争の勝敗を決する鍵である。