私語一束

我等は、何処より来(きた)りて、何処に帰へらんとするものであるか。
 曰く、宇宙の一点より来りて、復た、宇宙の一点に帰するものである。
我等の先天的使命は何であるか。
 曰く、人としては、先天的に賦与せられたる、精神的及び肉体的高等能力の、完全円満なる進歩であり発達である。
 曰く、個人的には、個性の合理的完全円満なる進歩であり発達である。
 曰く、社会的には、社会組織の一分子としての、完全円満なる進歩であり発達である。
 曰く、国家的には、皇室に対し絶対忠順なる臣民として、又最極度の熱烈なる白熱的愛国民としての、完全円満なる進歩発達と世界的発展である。
我等が、日本人としで、常に瞬開と雖も、忘却すべからざるもの、又瞬間と雖も実行を怠慢すべからざる事は、何であるか。
 曰く、五倫である。即ち、君に対する忠であり、親に対する孝であり、夫婦の和であり、兄弟姉妹の友であり、朋友に対する信である。
我等が、他の一切の動物と異(ことな)る所は何であるか。
 曰く、礼である。即ち、礼に対する徹底的知識を有し、不動的信念を有し、完全なる実行を有するにある。
礼とは何であるか。
 曰く、五倫である。
我等が、一切万物に優越せる所は何であるか。
 曰く、五倫と科学的知識とである。
我等の子は我等の何であるか。
 曰く、我等の分身であり、第二の我等である。
我等の孫は何であるか。
 曰く、我等の分身の分身であり、第三の我等である。
我等の妻は何であるか。
 曰く、我等を愛し、我等と霊肉を一致し、我等の分身を生み、我等の霊肉を永遠無窮に継続し、我等の先天的使命を、完全に遂行せしむる、唯一の協力者であり、幇助者であり、我等の半身である。
我等の精神を堕落せしめ、我等の道徳的良心を麻痺せしめ、遂に我等の霊肉に自殺の宣言を与ふる外来の悪魔は何であるか。
 曰く、酒と、女と、悪友と、其他一切の不健全なる歓楽とある。
我等は、我等生涯の友として、如何なるものを選択すべきであるか。
 曰く、正、善、美にのみ共唱(きやうしやう)し、我等が不正、不善、醜悪に陥らんとするとき、我等に鞭撻を加へ、我等を正、善、美に還元せしむるに忠実なる者であり、また性の男女、齢の老若を問はない。
我等の最初は何であり、我等の最終は何であるか。
 曰く、我等である。
現在の我等は何であるか。
 曰く、宇宙と終始するも、永久なる我等の一部である。