必勝への大道    週報・第431号(1945.1.31)

 戦局の重大さは、今や一億同胞がひしひしと身に感じてゐ
る。これに対して勝つ手は何か。
 小磯内閣総理大臣は、第八十六回帝国議会再開日の一月二
十一日、議会演説において、
 「政府の執らんとする決戦施策の根本基調は、現有国力の
急速なる発現による戦力の飛躍的向上にその重点を指向
し、以て戦争完遂に対する必勝体制を確立すると共に、各
般の施策を協力且つ果断に実行するにある。しかして現下
の決戦に臨む国政運営の根本的態度は、徒らに戦局の一弛
一張に喜憂することなく、あく
までも必勝の大道を驀進すべき
強力なる政治を具現するの一途
に存するのである」
と政府の固き決意を表明し、当面の決戦重要施策を閘明し
た。
 行政運営の決戦化を図るため、まづ中央、地方を通じ、行
政の綜合運営に関し一層適切な措置を講ずると共に、地方行
政協議会長と地方陸海軍当局との連繋を緊密にして、防衛並
びに戦力増強に関する軍官施策の一体的推進に遺憾なきを
期し、軍需工場等の分散疎開、地下移設を急速に実行し、労
務、資材等を徹底的に戦力化するため、さらに企業整備を促
進し、これが実施に当つては、これらの工業の地方的綜合的
自主を期する方針を明らかにした。
 次いで、軍需生産の増強と相俟つて食糧の確保、輸送力の
増強をはじめ、当面の重要施策について各々所信を述べ、特
に国家戦力の確保増強の根本は、結局国民の勤労力にあるこ
とを強調したのである。
 今次戦争の本質は、小磯総理の言の如く、いはゆる「生か
死か」の苛烈を極めるものであつて、皇國の國體を無窮に
護持し得るか否かは、今日の官民総努力の成果がよくこの
戦争を勝ち取り得るか否かの一途に懸つてゐる.しかして今
や戦局は、正に彼我の根比べの決
戦段階に到達したのであつて、今
後如何なる苦難をも敢然堪へ抜
き、如何なる危局に遭遇するも、
決してたじろぐことなき必勝の闘魂を持続して、最後まで戦
ひ抜く者がよく最後の勝利を制し得るのである。要は灼熱
の愛国の至誠に発するところ、果断なる実行あるのみ。政府
の決戦施策の具現と相俟ち、一億同胞は前線将兵の奮戦に
呼応して、あくまでも國體護持の精神気魄を堅持し、千辛万
苦に堪へて、ひたすら戦力の増強、国土の防衛に敢闘し、
速かに聖戦の目的を完遂して、宸襟を安んじ奉らねばならな
い。

週報・第431号( 1945.1.31)