第三七九号(昭一九・一・二六)
   一億今ぞ底力を発揮せよ
   決勝増税問答           大 蔵 省
   最近のアメリカ国内情勢      外 務 省

 丁メyカは、本年をもつて今次大数
の決戦的段階としようとする戦争指導
方針に徒ひ、昭和十入年にはその組カ
を挙げて生産力の横充と国内健制め強
                L▼り
化に狂奔すると共に、世界各戦線で執
ll・
拗な攻勢に出て衆たのであつたが、b
まや彼等はその京大な物的戦力を背景
として、戦争の短期終結を呼故し衆つ
たのである●
  国内饅制強化に腕を
  拭ふルーズヴェルト
 ルーズヴェル下が本年の預端数書の
中で、昭和十七年度預弊は防製靴率の
預第であり、昭和十人年度は攻勢戦争
の預許であつたが、昭和十九1二十年
度の預算こそは必聯の預第であると揚
首してゐるのは、最も端的に布のやうな
アメリカの濃向を述べたものである.
 昨年においてアメyカの軍籍生産
が彼等の克侍するほどでなくとも、飛
報叩的に増大したことは壱であ少、モ
してまた、同年申にその生琵力がほゞ
る盤緒な物質的生活と、付紙的な個人
の白山を粥岬中といへども維持すべき
である、との払い要約州であつて、ルーズ
ヴ土ルトが戦中遽行上の必妥から、と
         ぜいちl一−
のやうな婆請を制肘しょうと糾みた場
合には、必ず布力な政治的戊封を変ら
ぎるを柑なかつたのである.
 このやうな陣碍は、戦時下では至上
命令ともいふべき消費糾滅の閃超にも
現はれてゐるのであつて、例へばアメ
リカ政府は昭和十七年において、陶艮渦
発と六百人十倍ドルに切り下げようと
したにもか1はらず、結兆においては八
百二十位ドルに達し、また十人年には滑
黎を七古畑十距ドルに釘付けょうとし
たのに封し、恐らくそれは入管九十億
    ▲′ほ●●は
Fルを上辿るものと推測されてゐる.
 しかしながら、ルーズヴェルーがこ
のやうな反封をともかくも押し切り、
山国一円偲制の強化乃至‥装備に戎る程度の
成功を収めたことは認められねばな
らないのであつて、兜づこれまでアメ
yカの戦争逆懸上の射即として、菊速
ひ嫡い院とまで糾された戦時行政碑構の
溌}を因り、「綻済力動員全般に開する
最高方針を決定し、軍浮力至民帝生産、
原料の確保及び分配、輸遽、生結晶の
割前配分哲に附する各粁行政増山開を統
合する」権限をもつ戦時動月局む昨年
末月詑浸し、爾後、各機関の磨合を断行
                  山ん
し、さらに米開戦時経済における痛と
もいはれる罷業川渡に関しては、同年
六月、戦時労働節試法によつて罷業工
場の接収、接収工場における罷共の禁
止とその逮反者の鹿部を定め、政府の
罷菜抑墜の柑眼を拭大するに至つた.
 また幾耗物偶格の引上げに押する農
村泥の宴求に封しては、昨年四月、物慣
停止令を公布し、生活甥に影響ある物偶
の仝桝的管理の方針を定めると共忙、
畏付紙掟出の池案である、いはゆる.ハ
ソクヘアr案に封し断乎否認稚と行使
する等、強硬た態度を一不し、政府の農
薬封箭の根幹をなす負荷物祁即金政策
を識分例の攻勢より擁護しただけでな
く、かへつて祁助金支出を措常する商
猥頻鮎にまで到達したことも、ほゞ接
耳であると息はれる.現にアメリカ普
局者も、本年には昨年中のやうな軍密
生産の飛用的上昇は期待できず、十セ
バーセット内外の拭充にとどまるであ
らうと預糾してゐる程である.
 アメyカ政府常局は、昨年における
飛畑的増産む計宜し、とれに封應する
ための国内健制の強化と密行するに常
               ■,も−†く
つて筏多の政治的困難に逢着したの
であつた.例へば最も相著なものとし
ては、労働賃鋲の値上げ要求を締る払
菜の朔敢、或ひは怨産物僻格の引上げ
をねらつて東和した農村沃議員を中
心とする試合との術爽等は、いづれも
アメリカの阿内鱈制強化に件つて怒き
起された開放であつた.
 ルーズヴェルt以下の政府g局が、
閑職以後、アメリカ悶内を線力戦的蛾
別に朽網成する渦稗において、常に遭遇
せねばならなかつた開放は、いはゆる
丁メザカソ・ウェイ・オプ・’イフ(アメ
,カ的生首式)といふ名で呼ばれてゐ


⊆言与  J・′ 与菅寺宅..萎‘
晶∧‥融合杜の借入限度と均崩すること
に−域功したのである.
 このやうなルーズヴェル†の政治的
成功も、アメリカ閥民がアメリカの存
亡の秋に常り、私利私澱的利事故▲超也
し、虞に同家奉公の犠牲的精紳に徹し
ない睨り永出的のものでもなく、また
不安定なものであつたのであるが、こ
の朋鮎はルーズヴェルナが昨年の秋、
カイロ、テヘラン分談等に参加し、そ
の開心を封外和迩に娯申して団内政治
に封する活眼を怠つてゐたmに滞次
′1′ヽ ′つ
野締されて釆たのである.
 即ち、常時アメXカ→般の川には、
右何分談の成功に関する袴大な宜倖
と欣洲恥局の好時に閲する耶瞞的宜
侍に引摺られて、過度の紫祝論が蛙
頭し、欧洲戦率は、昨年の降避怨まで
に終結するだらうとの理想すら強く行
はれるに至つたのである.このやうな
欒凱的気分が7メXカに滞在する利
己的傾向む刺戦し、戦争努力を阻亨す
るやうな私蕉的率閉と激化したのは昔
7
¢−

然であつて、ルーズヴェル下が抑米後政
和の拭詮で、まづ戦争の前途がなほ多難
なことを強調して国内の一致固結む宰
       血Tl
望し花のは、弛みか1つた圃内鱒制と引
累めようとしたものにほかならない.
 ルーズヴェルーは去る→月十】日、
熟合に迭つた年粥教書の中で、
 r園民の大多欺が俄時下における不便困
 苦を甘受し、俄轡努力に従事してゐる反
 浦川、∬小判池・誠に批−ノ、最晋・・−つて血叩▲ハ
 的、葬的利益を伸張すべき好機なりと
 してゐる】部少数の老があるが、これ等
                    t ▲‘▲7
 の人々は前線の士気を氾渡せしめる極め
 て危瞼な存在である.」
と述べ、さらに
 r今こそ個人的乃至図贈的利己心を拷家
 の利益に従崩せしむべき秋であり、不平
 不満を咄へる求は、敬ひは既に餅ち、さ
 大の板件を挑ふべき時期は週計去つたと
 の妄想に川ほれてゐる瀦である。教学の
 前途はなほ遼辿にして、多大の蛾牲を先
 代すべき際、退化の自信と照料は、アメ
 ゥヵの壮丁を較牲にし、職牢を永引かせ
 る汲も訊るべき放であるし
と辺べてゐる.
  戦争の短期化を
  ねら ふ 五法律
 ルーズヴェルトはこのやうに国内戦
線の確保に封し、その決意む表明した
ばかりでなく、同じ数寄中に棉税法、
軍籍契約帝許椚法、食棉僻格法、イソ
フレーツーソ防止法と固民徴用法の五
洪律の更新、或ひは立法を強く要請す
ることによつて、いはゆる戦争を短期化
するための]団円健制の再強化を企図し
てゐることは注窓を要する鮎である.
 教書中、最も問題になるのは団拉徽
用法である.ルーズヴ‡ルーは級力戦
下において、前線と銃後との間に直別
なく、金団陀を恥堺労力に参興させる
ととを目的とするものセあると説明す
る以代具憤的な内容に梱れてゐない
が、その後、上院識月オースチソと下
院議員ウァズウアースによつて繰出さ
れた案によると、十人乃至六十五歳の
男子と十∧乃賢五十歳の女子の中、軍
陳と軍帝生産に稚事する者以外を徴用
しょうとするものである.
 思ふにアメXカは、急激な軍需罪業
と兵力の凍充に作ひ、昨年牛ば頃から
その人的資源は逼氾して来たのである
が、本年の決戦に備へるため、仝囲民
の強制的動員を金岡するに室つたもの
と考へられるのであつて、これまで労
働の自由を国是とまで迩率し水つたア
メリカの停耗に反するこの政求を政府
が強行しょうとしてゐることは、その
国内槻制強化に閑する固い決意をこ不唆
してゐるものと認められる.
 昨年バ月末におけるアメリカの労働
力動員鵬況を昭和十七年度末と封此す

れば左の洩りである.
       昭和十入牢
       六 月 宋
納仙仙労働力
兵力ハ米仰公♯ロ
朽莱労働力
ちノち男 手
  女 手
六≡、五
 九、ニ
五四、三
≡七、ニ
一七、】
昭和十七年

ハ節付臼方人)
 六〇、〇
  六、七
 五≡、三
 lニ入、四
 −四、九
次ぎに食頓汰の制定とイソフレ1
lE邑■
シ.ソ防止法の延長に撃キる妥詣につ
いて、ルーズヴェルトが数寄で訟明し
てゐるところは、食糊口…や佃格の昂騰
は賃金引上げの姿求を生じ、賃金の引上
げは柑じて一舵的仙格の崎山八む雑し、結
局イソフレーシ守ソとなるから、イン
フレにょつて砧大の犠牲を触氷るべき…凶
民の四分の一以上を占める榊小火収入生
活者の北浦む桝推しょうとするもので
あるといふのであるが、縄付における
畏柑泥の出稀物爪格引上げに剛する有
力な要求を米川し、輿碓物川桁咄制む
強化する反桝、物仇、特に籍料=…椚格
の昂崎を理山として、質令伯上げを迫
る労働新榊の弼勅を阻止しょうとする
政治的寮刑を多分に含んでゐるものと
いへる.
 しかしながら、たとへ政府がこの二
つの法律にょつて何格統榊を舶化する
ことに成功しても、恥筏景範に件つて
ますく増大する閥拭呵柑を制約しな
い眼少、イソフレの巡行を川出できな
いわけであるから、団代の飴利肌H力
を吸収するために増税法等が要請され
たのである。
 アメリカ政府竹…局は、咋年早くから
首六十臆ドル村税む計逆してゐたが、
郁々の政治月t将にょつて容易に進捗
せず、十〃漸く石丸憶ドル村税案が議
禽に柁糾されたのである.しかも試合
例の伽蚊な反対に迫ひ、二十一位ドル
に切り下げられ、今なほ不械立の肌態で
あるが、ルーズヴェルトは預算数書で
是非とも揃記甘北位ドルの増税案の威
光モ簸川川してゐる。
 なほアメリカの昭和十九1二十年度
預節は、根城〓見込九甘九十七億六千
九口〃ドル、歳入は茄新規増税を含ま
ず川古七ほ六千九召〃ドルであり、従
つて歳入不良は充甘九十倍ドルと見積
られてゐる.
 以上のやうなルーズヴェルトの団十円
鱈榊鎚」化の企川は、今筏各方何からの
反封によつて各大のm稚に鵡過するこ
とが緒川されるのであつて、殊に徴用
法などは、眈に労働組合側から強制労働
を目的とする礪裁的立法なりとして強
硬な反封が出てゐる有様であり、今秋
の大槻何哉壌戦を盤へ、試合側がどんな
態度に出るかは興味ある間砥である.
  内政上の軋轢を図
  内分裂と見るは訳り
 北ハ和賎は一月初旬耶僻された公団糞
月舘で、大解桝帖祁者を指命決定すべ
き仝は大分の切桝と糊口を決定し、大
                   たけ▲ク■u
稀縄避勧祇はいょノ\止附咄戦附とな
らうとしてゐる。北ハ和紙では揃大鶴舛選
畢戦の怖祁老であつたウィルキーと、
オハイオ州知事ブリッカーが眈に立
惇祁の意思転変明したほか、ニューヨー
ク州知事ヂユーイ、或ひは西南太平洋
反枢軸軍線司令官マック7−サーを立
てる運動も行はれてゐるが、目下のと
ころウィルキーとヂユーイの両者が最
も可能性が多いといはれてゐる.
 サイルキーは此ハ和掛冊の少壮分子を背
景とし、ヂユーイは前大統領フーバー
と元大統領候補ラツーソ等と始め、共

 和鴬の領袖避の支持を受けてゐる.
  共和篤は−昨年の中間遊歩以来、
 その勢力槻回の傾向は佃抑著なものがあ
 り、全図州知事の分配はは生鮮二十三
 に封し兆和紙は二十五を招待し、一九
 〓∧年以水の所勢む初めて挽回し、
 上昧下院の識畑においても左の洩りめ
 ぎましい逃出ぶりを示してゐる.
  欄式辞弼舵悩
  上 院
   民主雅    五入    六六
   共和兆   ≡七    〓入
   その他    一    二
  下 院
   民主舐   二一七   二六七
   共和氷  ニ○入  一六こ
   その他     四     大
   卒  咤     六
  共和賊方桝はこの鵬出をもつて、今秋
 の大紙糾避難戦における勝利を約束す
 るものであると甘揃付してゐるが、中榊選
 壌等の結氷だけをもつて、大紋偶選鍵の
  ■† ナチ
 貯趨を早念に判断することは誤りであ

 り、殊にアメリカ図民の戦争速行に封
 する決意が未だ勅格しない現胱では、氷
 るべき選挙戦は出主、北ハ和粥政欺の率
 ひとhふよりも、むしろルーズヴェルト
 か杏かの糊騒が小心になるものとみら
 れるのであるが、北ハ和賎が兆して州叫なる
 政械交代論乃至は閥内政碑の批判以外
 に、民主鮮と決延的に封止する政綱と
 もつて軋へるかどうかは妖桝である.
 他方、民発駄では結局、ルーズヴェル
 tに四遊の意思ありやが槻木的川畑で
 あるが、ルーズヴェルトは三選何時と何
 様、最後まで〓場の意思衣朋を湖け、
 閣内政争よりもアメリカ臼髄の興亡の
 問題か先決なり、との態度を拝するもの
 と想條されてゐるが、本年の年粥教書
 に掬研して、これはルーズヴェル下が
 四庇川場の窓思を布してゐることを示
 してゐるとの椎渕を下すものもある.
  ルーズヴエルトが川遊されるかどう
 かは、アメyカの円政糊磁として眞に興
 味のある稚拙ではあるが、今次大戦の
 顔行に関しては、民生耗も非和澱も拘

 →の立場をとるものであり、また今次
     えんけん
 大戦の淵源が結局、「二十世紀は我等の
                    山〉●●ん
 ものなり」とのアメリカの本能的傲捜
 性から氷る世外制朝の野望にあること
 を考へれば、アメリカにおける敢椛交
 代などは、何年わが図の攣淫行上に
 影響をもち柑ないものといはねばな
 らない.
  要するに本年におけるアメリカの凶
 内情勢は、ルーズヴェルーの拘巾戦線の
 強化等を練り、いろくな政治的昨滋
 が預期されるのであり、また大概糾濫擬
 戦が激化するに件つて、謂般の巾政上の
    ▲′つ爪さ
 矛描軋轢が暴路されることを利仙悌すろ
 に難くないのであるが、われくはこ
 れをもつて延ちにアメリカの川何分製
 の兆候であるとか、恥譜の低下である
 といつたやうな打率な判断臣下しては
 ならないのであつて、むしろアメリカ
 のこのやうな何故上の舵移如何た川は
 ず、大水胡恥飾先達の郷関な決藷をい
 ょいょ…捌くすべきである.
         (外 務 省)