第三〇六号(昭一七・八・一九)
  聖旨に応へ奉らん
  ソロモン海戦の意義       大本営海軍報道部
  敵抗戦力の検討         陸軍省報道部
  行政の簡素化について
  九月の常会の頁
  国民貯蓄組合の話

聖旨に応へ奉らん

 

 畏くも 天皇陛下におかせられては、戦時下銃後の民草の上に深き大御心を垂れさせ給ひ、先般民情視察のため全国各地に侍従を御差遣遊ばされたが、八月十日、東條内閣総理大臣に対し、

 先般侍従を全国各地に派遣したるに国民が戦争下よく時局の重大性を認識して各々その職域において精励しつゝある実情を知り満足に思ふ
 なほ今後共さらに一層努力するやうに

との優渥なる御言葉を賜つた。有難き聖慮のほど畏しとも畏き極みであり、民草一億ひたすら恐懼し奉る次第である。
 皇御軍(すめらみいくさ)は、太平洋、大東亜の広大な天地を舞台として、米英撃滅の戦を一瞬一刻の緩みもなく戦ひ続けてゐるのである。やゝもすれば、大東亜戦争の武力戦は既に一段落を告げた、と考へ易いやうであるが、現に活溌な作戦が敢行されてゐるのであり、将来もまた引続いて遂行されるのである。
 ソロモン海戦、アリューシャン反攻など、敵米英がなほ必死の反撃を試みてゐる証左であり、われ/\はたゞ赫々たるその戦果だけに酔つてはならない。その背後には敵の大規模な反攻計画のあつたことを知らねばならない。今回の反攻には失敗したとしても、敵としては執拗な反撃を今後幾度となく繰返すであらう。
 南方の建設も、国内産業の能率的増進も、或ひはまた国内態勢の刷新強化も、すべては敵の戦力を破摧撃滅して、敵を屈服せしめることに主眼をおいてゐるのである。前線における武力戦と同様に、われ/\の戦ひの生活も、米英撃滅の日まで続くのである。
 長期戦を戦ひ抜く国内の構へは、皇軍の作戦に伴つて着々と確立されつゝある。翼賛政治会の結成による国内政治力の結集、大政翼賛会の改組による国民組織の確立、行政簡素化による戦時行政事務の簡捷化など、必勝への国内態勢は着々整へられつゝある。
 前線では皇軍が地球の半ばを蔽ふ広大な地域に、有史未曾有の大作戦を展開し、大東亜建設の大事業が進められてゐるのである。銃後の皇民も、今こそ滅私奉公の念に燃えて起ち上らねばならない。
 「戦時下国民の努力を満足に思ふ、今後とも更に一層努力するやうに」との優渥な御言葉を賜はつた銃後一億の民草は、感奮興起、いよ/\あらん限りの力を尽して御奉公の誠を效し、以て有難き聖旨に応へ奉らんことを期せねばならないのである。