【週報286】「戦争生活読本 二、大東亜戦争と思想戦」

思想の魔術

 大東亜戦争は、さきに述べましたやうに、その本質において思想の戦ひでもあります。消極的には、永い間知らず知らずの中に私どもの心の中に巣喰つて来た個人主義、利己主義、自由主義、営利主義といふやうな一連の米英的思想の毒素を、私どもの心の中から追ひ出し、積極的には、これを退治した後に、日本精神に徹した思想とものの考へ方を確立し、國體をいよいよ明徴にし、これを外に及ぼして行かねばならないのであります。しかしながら、この思想の戦ひは、言葉では簡単でありますが、なかなか容易なことではありません。古人も「山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し」といつてゐます。その通りであります。しかしながら、如何に困難であらうとも、この米英的な思想の毒素を徹底的に退治しなくては、米英の上に出ることは絶対に出来ません。
 試みに、私どもの今までの生活がどんなに米英的思想や米英的なものの考へに支配されてきたか、お互ひに反省してみようではありませんか。映画といへばアメリカ映画、これが日本の文化にどんな影響をもたらしたか。浮薄な、退廃的なジャズがどんなに世の風潮を害したことか。今さらこんなことは問はないにしても、最も恐ろしいのは思想の根本に喰ひ入つて国内の思想の攪乱(かうらん)、不統一を招いた自由主義時代の足跡です。
 ヴェルサイユ条約といひ、国際聯盟といひ、ワシントン条約といひ、それはいづれも世界人類のため、人道のためと標榜されて来ましたが、それは米英のために必要な秩序を維持するための思想の魔術にほかならなかつたのであります。それは自らの利益のために、これに反撃する力を抑へんとして来た米英の狡猾な手段であつたのであります。ところが、このことは当初から国内で十分理解され、認識されてゐたとはいへませんでした。例へば、ヴェルサイユ条約の基調になつた当時の米大統領ウィルソンの民族自決主義にかぶれたり、ワシントン会議、ロンドン会議による軍縮を以て人類の福祉とするやうな危険な考へ方が、ソ連を祖国と考へるやうな赤い思想と結びついて、どんなに国内を毒したことでせう。今思つてもぞつとする時代さへあつたではありませんか。
 しかし、この思想の危機に対して日本は堂々反撃しました。国際聯盟脱退をきつかけに、この米英的秩序との闘争を展開し、思想改新の先鞭をつけ、外交においても国際協調主義からいはゆる自主外交へと進んで来たのでありますが、これは国内でも激しい戦ひの歴史でありました。
 しかし、すべての迷ひ、悩みを清算する日は来ました。昭和十六年十二月八日、 大詔は渙発され、米英に対する宣戦は布告され、  億兆一心国家ノ総力ヲ挙ケテ征戦ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ  と仰せられたのであります。
 爾来、一億一心一体となつて国家の総力を挙げ征戦に邁進し、外にあの戦果を挙げ、内に鉄石の構へを以て、征戦完遂に当つてゐることは、真に力強い限りといはねばなりませんが、世界は未だに米英的な思想の魔術から解放されてゐないばかりか、大東亜共栄圏の内部の地域でさへ、否国内の一部にも米英的思想の迷ひから抜け切れないでゐる人々がないとはいへないでせう。
 こゝが敵米英の今後のねらひどころでせう。何処かに秘められてゐる米英的思想の残滓の糸をたぐり起して、いろいろと思想謀略、経済謀略、宣伝謀略を試み、わが国内や、共栄圏内部の攪乱の挙に出ないとは限りません。すなはち敵が見えない手によつてわが国の経済力を破壊し、或ひは国民思想を動揺させようとして行ふ経済謀略、思想謀略、宣伝謀略等は、武力による攻撃に比し、勝とも劣らぬ敵の攻撃手段なのであります。一億国民は今日只今、このことを十分知つて、敵の謀略活動に乗ぜられないだけの用意を整へておく必要があります。このやうな敵の謀略は国民の士気の弛み、一致団結の力が弱つた間隙を縫つて巧みに行はれるものであります。
 およそ世界における戦争の歴史をみても、国家間の戦争が、単に戦場の勝負だけで最後の勝敗が決せられてゐることは極めて稀であります。国民の士気、国内の治安の状態如何が最後の勝敗を決する鍵となつた実例が多いのであります。日露戦争の時ロシアの国内の状況はどうであつたでせう。ロシアでは明治三十八年に全国的に農民の暴動が始まつてゐたのです。第一次欧州大戦の経過もこの間の事情をよく物語つてゐるものといふこおとが出来ます。まして第一線と銃後の区別をつけ得ない本当の国家総力戦たる今次の大東亜戦争においては、一億国民の一人々々が祖国防衛の戦士として、めいめいの持場職場を飽くまで護り抜くことが勝利を得る根柢をなすものといはねばなりません。
 戦場の勇士が片時も念頭を去らず、何よりも希求して止まないのは、「国内が確つかりしてくれる」といふことでありませう。銃後の姿はそのまゝに戦線将兵に反映するものであります。戦争遂行の上にも、いろいろな必要条件がありますが、国内治安の維持といふことは、すべての事柄を進めて行く基盤をなすものといつても過言ではありません。完全な国内治安の保たれた状態、いひ換へれば、この秩序ある軌条によつてのみ、戦争下のあらゆる問題は円滑に運営されてゆくのであります。

恐るべき思想謀略

 戦争中、最も重視されねばならないのは、国内の思想動向であります。ですから、戦争下にあつては思想犯罪の防遏に一段の措置が講ぜられ、敵側の思想謀略に対しては万全の構へは出来てゐます。勿論、大東亜戦争を一億一心鉄石の構へを以て遂行しつゝある私どもに、敵の思想戦に乗ぜられる隙はあらう筈はないのでありますが、若しも、現在の国民の政府に対する緊密な協力振りに水をさし、陸海軍に対する国民の絶大な信頼にひゞを入れ、独伊等枢軸諸国に対する日本朝野の親愛感を破壊せんとするやうな謀略活動が行はれるやうなことがあつては危険至極のことといはねばなりません。
 今回の欧州大戦において、ドイツがフランスを相手に戦つてゐる時に、ドイツはフランスに向つて盛んに「ドイツの敵とするところはフランスにあらずして英国である」と宣伝し、その結果フランス国民は戦意を完全に失つて----あのみじめな敗戦をみましたことなどは、今なほ私どもの記憶に新たなところであります。また例へば仮りに敵国側の宣伝謀略に乗ぜられ、政府なり、陸海軍当局、から発表される戦果を、国民が信頼せずに、外国から齎される宣伝を信用するとしたら、その結果はどういふことになるかはいはずあして明らかでありませう。
 例へば、空襲のあつた場合など、国内の攪乱をねらつて敵側からもいろいろな謀略が行はれるでせうが、最も必要なことは全国民が当局を信頼し切つてびくともしないことであります。開戦以来わが陸海軍の奮戦によつて敵兵力に対して致命的な打撃を与へ、敵は航空基地を失ひ海空軍力の大部分を失つたのですが、これによつて空襲の危険が去つたと断ずるのは早計です。たとひ大編隊による襲撃はないとしても大空のことではあり、わが防空網を潜つて敵機が何時奇襲して来るかも知れないといふことは容易に想像出来ることです。
 米国は去る一月十二日、日本空襲途上に航空母艦レキシントンを失つたにも懲りず反攻計画を立て、三月四日にはわが南鳥島を空襲したりしてゐますから、決して安心は出来ません。ルーズヴェルト米大統領の演説最中に行はれたあのわが潜水艦の米本土砲撃におびえた米国が、ロスアンゼルス上空を日本機が飛んだとか、飛ばないとか、大騒ぎをしたのを笑ふ前に、私どもは、たとひ空襲を受けても、あわてないだけの心の用意を固めねばなりません。
 かのハワイ真珠湾における敵の惨敗も、全くわが軍の空襲を予想してゐなかつたことによつたのです。すべての惨事は、予想しないところから勃発するものであることを十分考慮すると共に、ますます自戒し、進んで防空の強化促進を計ると共に、私どもの心をねらふ敵の神経戦にもびくともしない態勢を固めるべきであります。国民挙つて「必ず守り 必ず勝つ」といふ必勝の信念を以て国土防衛の完璧を期することが、敵の手を封ずる唯一つの手であります。

生活不安を狙ふ経済謀略

 話は少しそれましたが次ぎに、国民の物資的方面からする破壊手段に経済謀略があります。これは国民の経済生活の安定を破壊することによつて国民の戦争に対する熱意を失はせて敗戦に導かうとするものです。例へば、大東亜戦争開始前に、米英両国が南方諸国における米、油、ゴムその他の戦争遂行に必要な物資を独占してわが国に供給しなかつたやうな遣り方はその最も典型的なものでありませう。
 昭和十四年から十五年にかけて、統制経済への切りかへの途上、いろいろ物資不足が街頭で眼につくやうになつた時期がありました。ガソリンスタンドには自動車の列がつながり、マッチ難に悩まされたことがありました。そして 「かうまで物が足らなくなつたのは支那事変のせゐだ」 といふやうな声を放つものがありましたが、調べてみると、その裏には敵性国家の手が動いてゐました。ガソリンの配給を彼等が繰(ママ)つて列を作らせたのです。マッチ不足も当然で、彼等は日本のマッチを買占めて、上海あたりで売つて莫大な利益をあげ、日本国内の物資不足に拍車をかけさせ、一方でかゝるデマを飛ばして、反戦、厭戦思想をあふらうとしたといふのですから油断は出来ません。
 かういふ手は、今後不自由な戦争生活が進むにつれて警戒の要切なるものがあると思ひます。たとひ敵国の手が動いてゐなくても、お互ひに不安を助長すると、彼等の謀略以上の悪害を招く結果になるものです。
 このやうに思想、経済、宣伝等の謀略のあらゆる魔の手が、わづかな間隙を縫つて喰ひ入ろうとして虎視眈々たるものがあり、思ひまうけぬ所に敵国の謀略が躍つてをつたり、陥穽が設けられたりしてゐることも注意しなければなりません。時には左翼分子などが戦争を以て好機到れりとして策動するかも知れません。その形はいろいろでせう。それには悪質の流言を謀略的に国内に伝播するものもありませう。或ひは戦争下の人心の機敏なのに乗じ、巧みにこれを誘導して、何時しか国民の間に戦争をきらつたり反戦的な気運を植ゑつけたり、戦争遂行の内部的崩壊を策するものもありませう。或ひは単なる一つの地主、小作人間の小作料問題や、一工場内の労働者の待遇問題等を、殊さら階級的な争議に発展させて、社会不安を起させようと策するなど、その例は枚挙に遑ないでありませう。

デマに迷はされるな

 特に「口は禍のもと」 いふ(ママ)諺がありますが、戦争下に戒(つゝし)むべきは口であります。流言について特に注意したいと思ひます。戦争下には、平素は予想もしなかつたやうな色々な現象に当面するものと覚悟せねばなりません。何とはなしに人心が落ちつかないのに乗じて流言が恐るべき勢ひを以て伝はるものであります。人は形なき影に怖れ、人心ために動揺し、やがては一つの社会不安ともなつて現はれて来ます。或ひはそれが測り知れない事態にまで発展して行つて混乱を起させるやうなこともあります。関東大震災の時のあの混乱、或ひは往年の銀行取付騒ぎなどはこの間の消息を伝へて余りあるものでせう。戦争ともなれば兎角人心は敏感に動き勝ちです。事物の観察もやゝもすれば冷静、正鵠の判断を失ふやうな場合が少くありません。
 況んや、空襲に曝されるやうな時にはその傾向は特に甚だしいでせう。かうした時こそ、「当局を信頼せよ」といふ言葉を強く脳裡に蘇らすべきであります。さうして一切の浮説や流言に耳を藉さず、毅然たる大国民の誇りの中に、沈着に自己の持場を果たさなければなりません。これと同時に流言や噂をきいても、本当か嘘かわからぬことは他人にいひ触らさないやうにする心組みが必要です。
 さらに、流言防止に関連して私どもの戦争生活で注意せねばならぬことは防諜のもんだいであります。近来国民の防諜思想が深く徹底して来たことはお互ひに喜ばしいことですが、今回の戦争が起ると同時に司法当局でも、スパイの疑ひのある外国人を全国的に検挙して、わが国の活動が敵国側に洩れないやうに万全の措置を執つたのであります。
 しかしながら、壁に耳ありのたとへもある通り、何時如何なる経過から、わが国の大切な機密が敵国に漏れないとは保証出来ないのでありますから、今後一層無用な口を慎み、スパイの乗ずる隙のないやうにしたいものです。

戦時防諜十二訓

1、必勝の信念を持ち如何なる事態にも動じないこと
2、平時における国民防諜心得を一層厳重に遵守実行すること(昭和十六年五月十四日発行週報二八頁〜三一頁)
3、軍事行動、戦況等は、当局発表以外に亘り、臆測の加つた話などをしないこと。
4、応召者とその家族は言動に注意し、応召の場所、任地、徴集年次等を洩らさないこと。
5、軍用列車、輸送船などの通過時刻などを知つた場合は決してこれを洩らさないこと。
6、帰還軍人または出征将兵の家族は戦地の状況に関し特に言動に慎むこと。
7、戦地への慰問文等には、内地の国防上の秘密事項と出征将兵に不安の感を与へるやうなことを書かないこと。
8、海外への電信、電話、手紙等にはその内容に特別の注意を払ふこと。
9、物資不足その他生活上の不平不満は一切いはないこと。
10、外国または外国系その他発信人不明のものから宣伝図書の配布を受けた場合には速かに当局に届出ること。
11、外国よりの謀略の警戒には特に力を致し自己の持場を厳重に守ること。
12、戦時には在留外国人は自由を制限されるから、スパイは敵国人であるとは限らず、第三国人を利用する場合が非常に多いから、これ等に利用されないやう注意警戒すること。

経済秩序の敵

 かういふ思想方面の秩序と共に、国内治安を確保してゆく上に必要なことは経済の秩序であることは今さら説明するまでもありません。
 支那事変勃発以来五年に亘つて、配給に、物価に、その他あらゆる経済部門に対し、だんだんと統制が強化されて来ましたが、思へば今日あるを期したのにほかなりません。しかもこの大東亜戦争は、支那事変と違つて規模において、敵の実力において、洵に雲泥の差があるのでありますから、この大戦争を勝ち抜くためにはもつともつと統制も強化されるのは勿論、日本の経済がほんたうの戦争経済に築き上げられ、私どもは生活を通じてこの戦争経済に協力し、これを戦ひ抜いて行かねばならないのであります。自分さへよければの英米的思想から抜け切らねばなりません。
 ところが、支那事変以来の統制経済の遂行を妨げる経済犯罪の状態は決して楽観を許しません。かくも精神的団結をしてをりながら、経済秩序を紊すもののあることは何とも遺憾ではありませんか。
 幸ひ昭和十六年度では、昭和十五年度までの経済犯罪の増加率にくらべてやゝ増加の勢ひがにぶつたかの感がありましたが、減少の傾向を示すに至つたとはいへない実情であります。その上困つたことには、その内容とか手段からみると犯罪の質が悪化してゐることです。支那事変下にあつては、わが国は統制の準備なくして事変に突入したのですから、統制の方法や技術が極めて下手だつたとか、統制が突然であつたため、統制を受ける方で当惑混乱したのも無理もなかつたといふやうな考へもないではなかつたやうです。そこで経済犯罪に対し同情的な考へ方が一部の者の間にあつたことも事実ですが、しかし既に大詔を拝し、事情は一変しました。大東亜戦争は、過去五年に亘る準備と、統制経済の経験の上に推し進められた征戦であります。もはや支那事変下に見られたやうな同情や弁解は絶対に許されません。
 物資の豊富を誇る敵米国でさへ、開戦以来ゴムの使用を制限したり、民間自動車の製造禁止をやつたりしてゐます。統制経済の完遂、計画経済への移行は、国家総力戦に完勝するための基礎をなすにほかならないからです。敵英国はいふに及ばず、自由を誇つて来た米国でも、その国民は統制経済への協力を要請されてゐるのです。ですから私どもは、わが国の統制経済、戦争経済に協力し、これを戦ひ抜く一つ一つの行為によつて敵と戦つてゐるのだといふことに、はつきりした自覚を持たうではありませんか。言葉を換へていへば、統制経済法規に遵ふといふ遵法精神において、戦争経済の秩序を維持することにおいて敵と戦ひつゝあるのであります。
 このやうに考へて来ますと、経済犯罪は明らかに国家を蝕む反逆行為であり、反国家的な犯罪であります。そして大東亜戦争遂行上の大いなる障害であります。
 さらに、これを国内治安の確保といふ点から考へますと、小売部門で行はれる闇取引は一般消費者国民の生活感情を刺戟し、人心を不安にするのでありますから、一日として忽にすることは出来ません。小売業者の人々は私利私慾にとらはれることなく、国家のために物資配給帰還であるといふ自覚と誇りを以て仕事に当るべきですし、消費者たる人々も、徒らに物資の乏しきを憂へて、買占め、買漁りに走り廻るといふやうなことのないやうにしたいものであります。
 第一次欧州大戦のとき、大正七年、思ひ出すのもいまはしい米騒動が全国に起つたのも、もとはといへば消費者たる首府が、焦慮の結果、近所の米屋を襲つたことから始まつたといふではありませんか。先頃も衣料の切符制にあわて、紙が切符制になるとか、下駄が切符制になるとかいふデマにをどらされて、一部の人が買漁りをやつたため、みんながどんなに困つたかを覚えてをられるでせう。こんなことをやると、戦争下の経済の秩序が紊され、延いては一般社会の不安を招くことになるのです。それが戦争遂行にどんなに害があるか、先程から述べてゐる通りであります。
 また闇取引の実情からいひますと、物資の入手に焦る消費者にせがまれて違反をする業者も少くないのですから、消費者の買占め、買漁りは断じてやめたいものです。前線の将兵の心を心として、どんなに苦しくとも大東亜戦争完遂途上の困難を乗切る気にさへなれば、経済秩序を紊すやうなことは出来ない筈であります。

思想戦を戦ふ道

 戦争が長くなり、国民生活が不自由になつたりしますと、敵国の思想謀略戦はいよいよ激化する傾向にあります。今までお話して来たやうに思想犯罪や経済犯罪はいふまでもなく、デマにまどはされ、デマに踊るやうなことは、国内治安の敵であり、内敵であります。敵に変りはないのであります。外敵たる米英は精鋭なる帝国陸海軍により、次第に撃滅されつゝありますが、内敵は国民各自の手によつて撃滅しなければなりません。この内敵こそ、敵の思想戦の乗ぜんとするところであります。思想戦に備へる道は、究極において、大御心を奉体し己を虚しうして 上御一人に帰一し奉る日本精神に徹して、我は日本人なりとの自覚と、自負を以て、堅忍持久、克く困苦欠乏に耐へて戦ひ抜くことに帰するのであります。