第一三一号(昭一四・四・一九)
  護国神社制度の確立        内務省神社局
  海軍作戦近況           海軍省海軍軍事普及部
  日ソ漁業条約の妥結        外務省情報部
  増税法案の修正          大 蔵 省
  国民精神総動員の新展開に際して
   銃後の聖戦            有馬中央連盟会長
   興亜大業の翼賛           平沼内閣総理大臣
   実効を挙ぐるの道         荒木委員会委員長
   今後の総動員運動          筑紫中央連盟理事長
   国民精神総動員強化方策
   国民精神総動員新展開の基本方策
  新東亜読本(三)  法幣の話          支那経済研究所・土星計左右

国民精神総動員新展開の基本方針
昭14.4.7 国民精神総動員委員会決定
昭14.4.11 閣議決定

一、趣旨
 支那事変は今や東亜の新秩序建設に展開しつゝある。而かも国際間の情勢は世界を挙げて前途寔に容易ならざるものがある。国民の一大覚悟を要すること実に此の秋に於けるが如きはない。
 曩に事変の勃発するや、国民夙に尽忠報國の誠を效(いた)し、克く挙国一致の戦時態勢を確立し来たつたが、更に今後の重大なる新局面に即応するには国民精神総動員運動を一層強化し、物心一如の実践運動に推し進めねばならぬ。
 今や我が国の急務は、肇國の大理想に鑑み興亜の聖業を達成し、世界的国際難局の前途を打開するが為め、全国民の伝統的精神力を結束して国家総力の飛躍的増強を図るの一事にある。茲に全国民は一大覚醒の下にその決意を新たにし、打つて一丸となり所期の目的貫徹に驀進すべきである。

二、綱領
(1) 肇國の大理想を顕揚し東亜新秩序の建設を期す。
(2) 大いに国民精神を昂揚し国家総力の充実発揮を期す。
(3) 一億一心各々その業務に精励し奉公の誠を效(いた)さむことを期す。

三、実施要項
(1) 時局の真相を明らかにしてその世界的重大性の認識を深め、皇国臣民として精神的団結を一層強固にし、新東亜建設の担当者たるべき横溢せる精神力
と卓絶せる国民道徳との振起涵養を図
ること。
(2)生産力拡充竝びに物資動員、物価調
整等の経済国策への積極的協力に努
め、特に物資の活用、消費の節約、貯
蓄の実行、勤労の増進、体力の向上に
主力を注ぎ業務竝びに生活の間に於い
て刷新を図るろこと。
(3) 事変の進展に伴ひ、益々銃後後援の
実を挙ぐること。

四、実施上特に留意すべき事項
イ、真に官民一体の実を挙げ明朗闊達
なる国民運動たらしむべきである。
ロ、政府諸機関は自ら率先して一致協
力の実を挙げ、本運動の趣旨を絶え
ず積極的に庶政の上に具現すベきであ
る。
ハ、各種団体は相共に国民精神総動員中
央聯盟を中軸として緊密なる連絡の
下に充分なる機能を発揮すべきであ
る。特に経済団体に在りては、団体員
をしてその業務遂行に本運動の效
果を一層適切ならしむるやう工夫実施
すベきである。
ニ、官民共に指導的地位にある者は率先
実行を期せねばならぬ。
ホ、次代の中堅たるべき青年竝びに家
庭生活に於いて重要なる役割を担ふ婦
人の一段の奮起協カが必要である。
ヘ、日常生活に於ける実践と修練とを第
一義とし、週間運動等はなるべく統制
し徒らに形式に堕することを排すべ
きである。
ト、従来の経験に鑑み都市については
格別の考慮を払ひ、特に殷賑産業関係
者の自粛自戒を徹底すべきである。
チ、本運動の展開に当つては、努めて地
方の実情、運動の対象に即し主力を注
ぐべき点を定めて集中的に之を行ひ、
各方面に於いて来たるべき紀元二千六
百年を期とし、今後一年間に実現すべ
き具体目標を掲げて之に全力を注ぐべ
きである。