司法大臣賞   懸賞法律論文募集

一、題目  肇國の精神と法律

一、司法大臣賞
   一等 金五百円 一名
   二等 金二百円 一名
   三等 金一百円 三名

一、投稿規定
  イ、投稿は四百字詰原稿紙にて百枚以内たること
  ロ、投稿には住所氏名(匿名を許さず)を明記すること
  ハ、投稿は昭和十三年九月十五日迄に東京市麹町区西日
    比谷町法曹会館内司法大臣懸賀論文係に到著するこ
    と
  ニ、論文原稿は之を返付せざること

一、審査委員(交渉中、追つて発表)

一、発 表
  入賞者は昭和十三年明治節の当日を以て発表し入賞論文
  は爾後法曹会雑誌に之を掲載す

  募集趣旨

 昨夏支那事変勃発以来、我国は国際正義の旗幟の下に自主
独往、肇國の大精神を以て正に世界を光被せんとする勢であ
る。軍事に内治に、我国は劃期的の大発展を遂げんとしつゝ
ある。このときに当つて、飜つて我法曹界の現状を観れば他
方面に於ける文化の発展に比し著しく時代遅れの感が有る。
西欧諸国に於ては個人中心の権利思想が社会的義務観念に置
き換へられんとする風潮はかなり以前より勃興し来つて居る
のである。又、新興独逸に於ては法律の各方面に民族的全体
主義の立場より幾多劃期的の改正が相次いで行はれて居る。
今我々は此の際西欧の新法学に追随せんことを提唱するもの
ではないが、たゞ一世紀以上も前、西欧に起つた個人中心の
権利思想が現下の我国情に妥当しないことに付ては、恐らく
何人も異論のないことと考へる。然らば之に換はるべきもの
は何か。今や広く精神文化の各分野に於て欧米依存を一擲し
我国独自の発達を遂げんとして居るに顧み我新法学は肇國精
神に立脚し、國體の尊厳を確保し、国民共同生活の安全を保
障することを其の基調としなければならぬと考へる。是れ本
募集を為す所以であつて、実体法規、手続法規の何れに関す
るを問はず、広く江湖の投稿を希望する次第である。