第五六号(昭一二・一一・一〇)
  愛国行進曲当選歌詞発表      内閣情報部
  時局と国民精神作興        文 部 省
  時局と防諜            内 務 省
  国債の郵便局売り出し       大蔵省理財局
  朝鮮同胞の赤誠          朝鮮総督府
    戦況
   山西の大勢を決す      陸軍省新聞班
   軍艦旗閘北に耀く         海軍省海軍軍事普及部
  最近公布の法令          内閣官房総務課


時局と防諜  内務省

    一 防諜とは

 防諜とは対諜防衛又は諜者(スパイ)防止の略称であつて、取
締の方面からは外諜取締と云はれる。共の日的とする
研は外斡の謙報活動に封し固家を防衛するにあるので
あつて、平戟雨時を泡じて珂防上‡に王大なる事項で
あることは云ふ造もない.
徒時に於ける鎌報活動は畢に規‡の武力彗丁盤行の
手段として行はれた食め共の活動の時朋は主として戦
時であり、井の謙報の範幽は軍事横輯の探知牧集に眼
られ、丼の手段は桁偵使榊に依る隙密内偵であつたか
ら之に封する防諜は概ね軍及取締官憲の手に依つて行
はれて居た1
蕗るに紀代に於ける戟寧は節謂斡力戦となつて氷た
鳥謙報活動の時塀は哉時牲勿鎗や時に於でも盛に行
はれ、井の課報の範輿は囲家生蒋の仝般に亙り非常に
瑞大せられ、其の手段も亦異常なる韓建を鹿ぐるに室
ったので之に封する防諜は孝圃一致して首らなければ
なちなくなつた●
首ひ換へれば硯夜及脾米に於ける防諜は朗力戦に封
する鹿動員的囲防である.朗ち近代に於ける戦率は早
なる兵力のみに俵る武力戦から科畢戟、思想戦へ、更
に固家資瀬の仝能カを畢げての駒力敬へと窄康したの
である.故に今日の戦率に於ては兵カの尤晋及料拳的
軍事袈傭は固より、之を神充し之を革備する軍需品の
充足、】般囲民生活の安宅囲内治壕舵持、財政金軸
の確保、圃艮掃紳の振作等固家の一切の人的及吻的資
瀕の仝知仝能を綜合黎挿して之に常らなければ戦率経
局の目的を達成することが川氷ない.
近代戟が斯の如く綜合的固力戦となつた馬課報活動
の使命は非常に玉大とな少、苧戦時に於ける諜報清動

06

の晋繊如何に伐つて戟の村牛は決定せられるとまで云
はれる.
之が食せ界列強に於ては何れも外図に諜報増閑を液
培して半来から共の圃に封する之等作戟賓料叉は囲力
判定費料となろべき各般の事項に就ての備諜報蒐集に
非常なる弊カを沸つて居るのである.殊に最沈団際情
勢の複雑化と我が閥力の進展に伴ひ諸外固の我開に封
しlつ
する諜報活動は益モ前撥蛾烈を加へ、井の諜報事例は
殆ど枚畢に逸がない状態なのでぁる.斯の如く規夜及
柑米の戦鉾が駒力戦となり、諜報活動が瑞大強化せら
れた以上之に封する防諜も一段と充賓を囲るの妥ある
は薫し常然なりと云はなければならない.
以下本文に於ては防諜の中主として情諜報蒐集防止
の方南に就て若干の解詮を試み、次に事奨下に於ける
防諜上の托意事項を速べたいと息ふ.
〓防諜は仝圃艮の手で
l・’▲斗
由釆我が囲民一般の防諜軌念は非常に乏しい憾が
ある.」目介では泉が▲付かず不知不識の聞に他圃へ東委
なる費料や情報を鴇桝してゐる様な例が甚だ多いので
ある。圃家の秘密は直接に個人の利宰に開係なく共の
●、
被事が目に見えない璃凱もすれば等閑に附される虞が
あるのであるが、囲家の秘碑は偶人の利事等とは此紋
にならぬ程真大なもので、共の秘密が保持せられると
香とは圃家の存亡安危に懸ると云うても決して過官で
はなく、唯−つの秘碑事項が渇れたことによつて圃象
の存亡を左右するものもあるのである.
ヽヽヽ
欧米諸臍に於ては確多の瓢率に於けるス.ハイの惨事
を経験した焦謀報及防諜に閑する技術也施設は非常
なる額達を逮げ、一般閑代も悉く防諜意識に日発めて
居るに止まらず、進んで圃家の湾に井の謀報横開と
して盛に活動しっ1ある.斯様に各固の諜報施設及妓
術が襲達を遽げたのに拘らず、之に封する我拷の防謙
封策は遭憾ながら大いに立過れの感がある.殊に一般
に外圃の諜瀬横閥の紡動の危瞼に封する認識と警戎が
未だ不充分であることは遭憾である.
●小●●
ス.ハイの取締とか糠瀦の保捜といふことは畢に喧
しい法律を作つたり、憲兵や替薮官を堵したりした丈

けでは判蜃完仝にやれるものではなく登固民の一人
−人が之に封する理解と認鞄を蕃ひ官民協力の下に虜
に拳南一敦の鴇制に於て外諜の防衝に音り、彼等をし
て噂坪売動の飴地なからしむるに努めなければならな
いのであつて、今日の如き事華下に於ては特に之を痛
感せらる1のである。
紀頃新昭雑誌共の他の杓堀物等で急にス・ハイを喧
しく取扱つてゐるが、萌者の中には一鴇日本にそれほ
ど恐ろしい外囲のス.ハイが虞‡入り込んでゐるのだら
ぅかと些か耗心曙鬼の方があるかも知れな.いが、之は
最紀敷年聞審井や替察で橡拳した‡例が明瞭にその事
‡を蓑書してゐるのであづて、之等の事‡に就て叔れ
ば外囲の諜報活動が如何に巧妙活濠に行稚れてゐるか
が明山肝なのである.
然らば替戎すべき外囲諜報棟朗とはどんなものか又
どんな方法で賛料や情報を克めつ⊥あるか、之に付て
簡甘に給明することとする・今日の外珂課豊繭は決
して外南人に隈らない、又秘帝凍頒式の人物のみでは
ない、瀾鹿辞外囲に於ては井の抹報横肘として耳門的
終帝諜者を派漣する外に、自周の官艮の凡ゆる横押及
個人を勅点して庚汎綿密なる諜報網を組織して活彦巧
妙なる活動をしてゐるのである.そして共の諜掛網の
中には草二固人や、外囲人との交際井の他に於て不知
不織の間に課報網に利用されてゐる日本人が相音多赦
あることが想像されるのであ・を.
そして其の活動方法は隙碑偵知を耳すの外、公然た
る川堀物の入手見畢祀察叉は直積調査芳虻文曹偲曾等
の方法が用ひられてゐるのである.南かも前鵡め如く
諜報網には凡ゆる糠帥が動貝されてゐるのであるか
ら、.何人が謙者であり、何即牌が謙報掛であるかは→
般には殆ど見分けが付かないのである.叉出版物を尤
集し之を分将し組織的料畢的に槍紺して各種の有益な
る賛料を得る事が拍釆る、か1る文書による謙報手段
のあることも注意を宰する.
そこで〕般固艮の任務として是非とも乗雀を以て昔
らなければならないのは囲豪掛密の保雄であモ′帝に
も埋べた様に外諜の活勅範歯は非常に瑞大せられでお
る、郎ち軍掛の耗知牧集は勿埠各種賛瀕の枇況及涯

07

沖力、一般宛発、交通、沌形、舵名目梼、衛生耽態等の調
査、其の他内治外交の働向、圃民息憩の傾向、時局に封
†る輿給の海向等各般の事項に亙り、筍くも作戦資料
又は岡力判艶背料となるべき事項が諜報の封象とせら
れてゐるのである.柊官すれば我々の日常生活の何虚
にも純報の封象とたるべきものが存在してゐると云つ
て差安へない.我々が日常日を洩†新開や雑誌の記事
の申に、界働者の働くエ場の中に、商人の取引に、ホ
テルや爪鶉部での世聞話の中に、電革やバスの中での
政治冷や鞄碑純に、井戸瑞曾訊に持川される勒地から
し●
の俺りの御披蕗の中に、うつかり物識瀬に喋べつた話
の内容が大事な軍の坤密であつたり叉軍寓脊瀕の棉密
であつたり、井の他固防上直接聞淳閑係のある閲力判
兜脊料となる事項である場合が虜モあり得るのである.
斯く申せばうつかり人前で詣も川米ないと云ふことに
たるが、何が閑家の棉帝であるかに就ては自ら笹別ポ
あり隈度があるから、事柄の内容に付喋べつて良い
こと惑いことを常故的によく判断して官動すればょい
のである.又r人を見れば泥棒と息へ十と云ふが如く
「外飼人を見ればス.ハイと息へ」と云ふ考へ方は誤りで
あつて、前逃の如く諜者は必ず外固人とのみは眼らな
いのみならず、外固人中には態モ日本の正しい事情を外
団に頼介して耳ふ湾に日本から招待した者や、手良な
粥光客や祀察壊行者も多教居るのであるから、.固艮と
しては何を固防上秘密にせねばならぬかをよく心符て
居て、之専羊意の外固人に封しては努めて熱切丁寧に
取扱ひ、よき印象を輿へる様にし度いと考へる.
≡防ぐ祓密の範南は
・課報活動の縄況前速の洩りであるから、之に封する
防諜方法として防諜上保持すべき閲家槻密の種顆鞄輿
を知らなければならない.併し共の範嵐は橿めて簾汎
多岐に渉つて居や井の仝部を列畢†ることは隈られた
る耗面に卦て不可能であるから、故には其の主宴なる
ものを鴻ぐるに止濁ることとしたから具億的事秦に直
面して躾岡のある場合は、直ちに取緒昔局と連終をと
り防州課払協力せられたいのである.
へ〓軍埠及軍埠に関聯ナる事項
憬課の最大任務は軍確及之に閲塀する秘密の保護に
あることは責ふ造もないが、勒時叉は事攣中に於け
る防諜に於ては鵜に此の開頓に直面することが多い
.のである。.
軍横の保穫に付ては軍樺保護法に定められて居
り、軍横とは作戦、用兵、動員、川師共の他軍事上
秘密を要する事項叉は囲書物件であつて共の種顆範.
園は軍横保護法施行規則(陵軍省令第四十三舵及潅
軍省令第二十入就)を以て定められて居る.(本年十
月七日官報参照).倫軍横に閲しては右の外次の棟
な法規にも規党せられる析があるから参考の名に共
の主なものを掲げて山置く.
要轟地帝法、宇品穐域軍事取締法、軍穐要海規則、
軍用電束泡信法、防架潅面令、塘舶法、舵峯法
攻に軍横に閑聯する事項とはそれ白鴇は軍糠では
ないが々れを謙知せらる1ことに依つて軍稚を推知
又は察知し持らるべき農料計二茶ふのであつて其の範
囲ゼ亦鶴る庚汎なのであつて、軍竣として定められ
たる事項の一つく忙附鴎して存奄するのである.
例之戟時叉は事襲忙際し川征宕は凍遽せらる1軍
九い′、く
陳の隷鹿系統、部隊紋、部隊教、配備、行動、又は
動月計葺等の探知は純然たる軍増の探知であるが、
應召者敷調査、徴費車馬調査、衣郷軍人調衣等は革
横に閲聯する事項の調査である.純然たる軍横は資
際防謀方策の外法律む以て保護せられるのであを
が、之に閲聯する事項は目下の虚専ら官公零及−般
園民の愛囲心を基確とする節の注意に依つてのみ保
箆せらる1のである.
ハ〓)井の他の堆密‡項
右に錐べた耗軍事的秘密の保護に付ては−般に此攻
的紬心が探い棟であるが、純軍事的事項以外のもの
に囲防上秘密を保持せねばならぬものが非常に澤山
ある・例之り交通網、邁路網、錬潰革輌埠自動
′\、
革埠糖舶喝水陸交洩施設等は戦時橡遽能力推史
の資料とな妙、り舵峯エ兼自動革エ糞瀬戦時舵婁兵
′lヽ
カ瀾械化部除兵力推算上枚くべかちぎる賽であ

Aぴ此孝エ菜共の他軍帝晶又は宰菅舶の原料とな

08

ーリベき物資の製鴇能力は勒時軍帝賓瀦の製儀熊力推
定溌料と号、…驚淡石油共の他の婁賛瀕の産
刑枇況も蛮防力判宴料となる、川義電甲や電
ふ小ん
信局、東聾エ場、・水濾地等の位硬寓虜、都市の仰放
責等は戦時犠解日棟の好参考となる.
右の外直接閥防に紳係なき事項と雄例之内治外交
の秘碑閲民の息想傾向、→般経桝耽態等に閑し我図
に不利なる資料叉は情報は之を外謙に知らtめては
なら々いのである.何となれば之等の事項は何れも
硯水及郷求戦が弼力恥たるの慕の蹄結として固力
判兜の溌料となるからであろ.
斯挿珂毅槻斬の保護に付ては我固に於ては硯凄何
等の取柵法規がないのであるから各人の愛媚心に基
く蹄意叢に依つてのみ傑雄せられるのであるから
圃民の‡任は一舟重大であると云はなければならな
い.
倫鼻考の名に付け加へて・車きたいのは外繍に於.
ては斯種秘僻の保撲忙脚し舵まな汝律が投けられて
わると云ふ事である。如ち英開の磯密保護法及米図
の間様取堵法には何れも舵雀施紋、王宰エ場、達般
斯、鎌山、鎌萌、電信、電話、無線電信句陸上又
は梅上の交通襲1ガス製辻朗、水漣、篭析等が
秘密筒新として畢げられ之専に閑する情報が虚刑の
封象とせられて居る。叉ゾ聯邦に於ては共の刺法間
諜罪の封象として軍事情報、経掃情報、其の他の▲情
報を包合せられ共の内容は非常に簾汎である.井の
他礪、伊、沸等列強の常韓添律も略」同様に秘密の
範囲が境大して規史せられて居る.
巧支群事奨と防諜
去る七月支那事襲教生以雑眈に四ケ尺睾は北支
及上縛等に於て著オ軍事的成典を牧めつ1ある.而か
一一−■■■ヽ
も此の間開係諸周の課報清動は定に押箸灯行はれ我
軍の作戟、用兵、貿等直輩横に粥する事項は勿鎗、
政櫓、粧済、財政に閑する事項、事華に封する殉艮典鎗
の血刑向等に閑する冊謙報廿兄集に狂奔して居る.普局と
しては銃意之が取確、防止に努めて木たが、旬且−部
之等のh坤腑Mが女郵共の他に瀬塊してゐるのではないか
との耗があることは遭憾に堪へない.特に硯時局下に
於ける防課の重畢性に鑑み、廣く仝固民の防謀上の協
力を希望する攻第である。左に事攣考生以氷起つた賓
例を掲げて参考に賓tたいと思ふ.
−日本内地から支郷方南への泡信の内容に軍埠に
閑する事項(内地部隊の動貞状況等)あり、支那軍
憲に於ては泡信の開披槍開を馬し居る榊係上鞘が
′●▲ソ・lい
軍槻が支郵側に漏洩するの結兵となつた事例
二應召兵叉は共の家族知己等が鴎時鴎析に於て應
召部隊戟應召の時嘲等刺貞開係事項を推知せしむ
るが如き談話を名し不用意の間に軍槻を漏沌しそ
れが支郵側諜者の活動に促宜を輿へるの結典とな
つた事‥例
三應召兵より蚤する挨拶耽に研鳥部隙洗及配確を
記戟し不用意の聞に軍の行動を考表したる事例
四應召兵見迭りの凍接に節鳥部験戟を記載し不用
意の間に軍横を源沌したる事例
五某地に於て出動部陳の軍用列革通過時刻表を不
周意に掲示し外謙の偵察に悸宜を輿へるの結泉と
なりたる事例
大川征兵士の硯地よりの通信に軍横に開するも山
あり、之む受け取つた家族叉は知己が之を外部に
黎表し、甚だしきは印刷に付して公表せんとした
る事例
七軍需品製造エ場の職エが事攣の名特別の物を製
造して居ることを電革の中等で詣し、賛材糠幣を
漏沌するの結典となりたる事例
以上は防諜上注意すべき事例の一部であるが、之等
は何れも不知不識の間に繰り遽しっ1ある過失であつ
て防謀観念の不徹底に起困する由々しき危瞼状態であ
」る●
事奨中に於ては之等軍横に閑するものの外内政耗済
外交等の諸情報も半時に教倍する注意を以て之を取扱
ひ、苛くも圃家に不利を釆すことのない棟に努めなけ
ればならないのである.