第五三号(昭一二・一〇・二〇)
 臨時資金調整法に就て       大 蔵 省
 製鉄事業法に就て         商工省鉱山局
 百貨店法に就て          商工省商務局
 石家荘・緩遠城の攻略        陸軍省新聞班
 支那海軍を撃破す          海軍省海軍軍事普及部
 事変と支那言論界          外務省情報部
 最近公布の法令           内閣官房総務課

臨時貸金調整法に就て
                   大   蔵   省
 I●         けム1ん      て,‘い
 轟に第七十二岡帝闘鶏曾の怖賛を絶た臨時資金調整
 は⊥r
 法は去る九月廿七日より施行せらる1に至つたので以
 下同法制定の趣旨故に共の円容の大要に付簡単な詑明
 を試みること1する.

  −立法の趣旨
              くわく‘い                  じ●九l
 支那手車の堆展横大に伴ひ軍需閑係の物資の辞畢
 が著しく増大するのは申す進もない析であつて、之が
    lんくわり
供給を蹴滑にし井の需要を充たす湾に全力を挙げて
努力することが必嬰であることは欧洲大戦常時に於け
           ユ▼・一}
る各時の資例に徴するも明らかである.研が−方今
後事筆に伴ひ京額の資金が政府より支沸はる1関係上
 】般に各種の物資の帝挙が呼び起される傾向があるこ
とは否むことが椚水ないのであつて、徒つて此の際之
を放乾して壇けば、勢ひ首両国蒙の目的逸行の為には
 左担必宰でない物資の寓妥が椅加するのみならず、折
 角の物資が比較的不急なる方面に費治せらる1こと1
   わlてれ
 なる傾がある.共の結典は、常南必要なる方面に封
             けん‡い
 する物資の供給力が夫れ丈減殺せらる1ことゝなり、
 必要なる軍需資材等の供給に支持を発たす惧なしとし
 ないのである.徒つて此の際としては一面に於て国際
     小ん†,
 決済力の満養に努め、常面必要なる物資の輸入力を川
 本得る眠り璧宮にするやうカを轟すと共に、物資が此
 の際としては不急又は不必要と認めらる1方南に使用
       一くし.   ●ん●∫
 せらるゝことを抑止し、之を緊急且必尊なる方面に振
 向け以て、軍寓資材故に軍事上必要なる基礎産業の資
 材の供給に手放かねやうにすることが最も肝婆なので
 あ」る●
  而して本来物資と資金とは常に相互密凍なる闊係に
 凝るものであるから、物資の使用の調基は資金の使用

 を調整すろことに依つて共の目的を達し得るのであ
 る.如ち臨時資金調亜法は資金の調亜といふことが東
 和に現れては居るが、共の主たる目的は宮村我が軍事
 行動に伴ふ桝妥資材の需給を朋亜せんとするに在るの
                    1ん一
 である.之と同時に穴瀕の公倍挙行に伴ひ撒布せらる
 る新たなる偶川に付ても必要なる調鼻を壊さぎる眼
             もん川∨
 り、消費を増大し溌材の涯費を来たすのみならず、一
          一・か′▼い
 般の物情騰☆を招氷し、研謂悪性イソフレーショyの
 先んし一
 粥緒を開くこと1なるので、此の際としては一方貯曹
                    ▲▼んえ・,
 を嘆拗すると兆にこれ婁金が時局に緊宴なる方面忙
 使川せらる1やう適切なる調整を加ふる必妥があるの
 である.
  以上は政府が今岡臨時資金調豊浜を制史するに室つ
 た析以の概嬰であつて、此の趣旨の下に本法は以下に
 践ぶる如き各種の規定を包曾して居るのであち.

   〓 事業費金の調整

  *法の中心を薦すものは謂ふ進もなく事業費金の詞
                            ●ん●▲
 鼓に帥する規定である.即ち物資及資金が必要且緊急

なる方南忙充分供給せられると共に時局に顧み不必要
 なる方面に向けられることを抑止しなければならない
 のであつて、之が鶉には一方に於て事菜主憤たる合杜
 の設立、増資、未沸込株金の徴収等に付て政府の認可
 又は許可を受けしむること1すると井に、他方に放て
           くわくt−†1T
 事業設備の新設、横張、改良に紳する資金の貸付及
 有債詑券の廠葦、引受等に付ては金融撥閑等の側に放
 て許可を受けしむること1したのである.
 ハ〓 婁業主稚ま中心とナる調整
 資本金五十南風以上の曾杜を設立する場合又は資本
 金五十南風以上の曾敢が資本を増加し、合併宕は目的
 の襲吏を為し、又は未沸込の株金を徴収し、自己資金
 等に依り十萬固以上の事柴設備の新設、演張」改良を
 名し宕は祀倍を公募する場合に放ては主紛大臣の許可
 又は認可を受けることが必要なのである.又資本増加
 又は合併に因て資本金五十萬減以上の曾敢となる場合
 忙放ても常該増資又はAH併に付同様許可を受けること
 が必要なのである.
  ▲右の許可又は認可の申請ありたる場合に放て共の
 許杏を映する槙準が必婆鬼のであるが、共の棲準とし
 ては禽敵の目的とする事紫を軍需との帥係、圃際牧支
                       小ん山
 との帥係及現在の生産能力共の他の事情より稽へ甲、
 乙、円の三秤に分封したのである.即ち甲に属する
 市来収牟 朗、.鋳、石瀦、石油等の抹鍼兼、自動
                  一り・つもん
 革・舵峯抑製法紫、兵群袈鴇柴、硫安製造業専有飴の
 事紫を選んであるのであつて、軍需に壇接閑係ある産
 紫及之と碑接なる開係にある産業で、現在生産設備の
 不足せるもの又は時局の閑係上需要激増し輿の結果
 生成設備の不足を発たすと竣忽せらる1事業なのであ
 そ而して甲類に属する事共に謝するものに付ては拷
 際牧真に及ぽす直接の彩智等の上に放て特に美文あり
 と認められたるもの1外は之を許可す有方針であつ
 て、唯事実の鹿要なるもの及不許可の虞分をする場合
 に放ては本法施行と弗に設頓せられた臨時資金藤査零
 点せの議に附して之を決放するのである.
 攻に乙軒に属する寄集に紬するものに付ては革帯と
 の紳確、国際牧安故事との抑係、資金の状況1常鞍手
               かん山
車の斯宰資材の帝給状況等を持へて・通常と認めたる
 ものに限り之を許可する方針であづて、事業の重要な
 るものに付ては臨時資金藤森委月曾の講を経て之を決
 史するこ七になつて居る.而して乙顆に属する妾と
       ‘んゐ
 しては人蹟繊絆製造菜、バルナ製造菜、・家畜飼料加ユ
 紫、製材数等二首十飴のものが列拳せられて慮る.
 次に河野に属する事発としては紡栂共、農梯著琴
 樺製法紫、石鹸化粧品如の製鴇紫、酒揖菜、首紫舵畏
 等青息斗飴の紫秤が奉げられて居るのであるが、これ.
 尋は常南開家全般の見地より見て必要薄き物品潮ち不
 急不誓笈毀洋品等に閑する蕗菜であるか、或は重罪′
 なj蒸発であつてもJ現在生産力過剰で生産制限等を行
 って居るもの等であつて、これ等の妾に粥するもの
 に付ては特別の事情あ.や且臨時資金象奄委昂曾の警・
 経たるもの1外は之を許可しない方針である.
 上並の甲乙円の棲準を作製することは音際開局とし
 て粛の真に属すl最傭の新設、瑞浪、改良等の上に
京大な閑係があるので、耽府は九月初め之が頚に盤鎗
委月曾を設け国葬月食は前後六阿に亙り憤乗客議を奉
げて庶案の作成忙努め「去る九月二十−日官民ム町同の・

 臨時資金調盤委員曾忙於て井の原案が決定せられた次
 粛である.
  然し乍ら此の介顆は一旦決定した以上奨吏を認めぎ
 るものではないのであつて、今後の情勢の費化に依り、
 又常時研究の結果不適音と認めたるときは委員曾の執
 に附し随時之を襲吏する方針である.
 ハニ) 資金の供給尊皇中心とナる調整
  銀行「信託合鍵、保険曾批等の金融横閑が井の事業
 に属する設備の新設、横張、改良に関する資金の貸付
 又は社債等の引受専を残す場合には一口の貸付金額が
 十萬卸以上のものに付ては主紆大臣の許可を必婆とす
 るのであつて、同一の事業設備に委する資金を数回に
一且り貸付くる場合に於ても、共の線瀬が十苗凰以上と
 なるもの忙付ては同様に許可を婆するのであり、又経
 券引受業者に付て漑社債等の應募、引受又は募集の取
 扱を為す場A晶傭等の窮面総額が十甫活ネ上なる場合
 同じく許可を必要とするのである.
  此の許香を決する梯準は前述の曾杜の新設、増資、
 梯込等の場合と同様であつて、やはり甲乙丙の介薪に

 徒ひ許否の決定を残すのである.
 (三) 金融横紳等の自治的調丑
  金融横閑が資金の貸付、社債の引受等を残す場合に
 は前述した許可を必要とするのであるが、若しこれ等
 の金融横開が資金の貸付又は社債等の引受等を残すに
 付き、政府の通常と認むる方法に依り自治的に調教と
 名す場合には、之に封して一々許可を受けしめる必妥
 もないと認められるので、斯の如き場合には金融横…坤
 等の自治的調教を認め*法に依る許可の申甜を焦すモ
 要せざること1したのである.而して政府に放ては此
 の自治的調基に依つて此の法律の趣旨が売うされるや
 う希望する次第である.
  金融横閑が事業設備資金の貸付、靴使等の引受等忙
 付て自治的調亜を為す場合に放ても甲乙丙の規準に従
 ふこと勿論であるが、此の場合には甲、乙、丙の三段
 階の直分だけでは‡際の取扱の上に放て茶の判断に困
      ▲−々れ
 斯を伴ふ虞があるので、甲朔に付ては更に之をハイ)及
 (ロ)忙唇分し、乙斯に付ては更に之を(イ)∴ロ)、
 (〇に萌介し乙のハイ)は甲の(ヱに凍近する扱ひと一環

 し、乙の(ハ)は丙に接乾する扱を壊すこと1し、其の
 判断を域るべく容易ならしむること1したのである.
 即ち甲に和しては(イ)は(ヱに康先すること1し、乙
 に翔しては(イ)に属するものは一件の金補五十常例を
 超ゆるときは一應日本銀行に協議をした上で貸付等を
■ 行ふこと1し、(ヱに属するものは貸付等を濁すを通
 常と認むるものに付ては凡て日本銀行に協議すること
 となつて居るのである.乙の(ハ)に属するものに付て
 妓或るべく貸付等を養撞ふるを通常と認むるのである
 が、・特に之を馬すを必要と認むる事情あるときは日本
 銀行に協講すること1し、丙に属するものに関しては
 貸付等を壊さざることを原則とし、唯此の場合にも特
 殊の事情あるときは日本銀行に協鶏の上特別の扱ひを
 名し得るのである.冷貸付等を差撞へる菜種に付ても
 事黄の蓬樽に竜縛を木たさぎる焉必要なる経度の設備
 の改良ハ安全及保健上の見地より必要なる改良、或は災
 専従曹に封する貸付に付ては右の棟準の分類に拘ら
 す、特別の取扱を璃し得るのであるが、一件の金額が
 十苫笈ネ上となる場合には日本銀行に協洪するととが

 必宰なのである.叉地方公共国債の事菜、政府が神助
                    Lrゐ小−
 金等を交付する事菜其の他政府が英の遂行を承認した
 事菜忙関するものに付ても特別の取扱を壊し得るので
 ある.其の他外地、浦洲、港外に放ける事業に封する
 投資に関するものに付ても右の槙準に依ることが不適
 常と認めらる1場合には日本銀行に協議の上特別の取
 扱と為し得る遽を開いて在るのである.
                                        1一
 以上は金融樺閑が自治的調鼻を為す場合に操るべき
 基準であるが何攻の拷鮎に注意することを要する.
…本法の施行に依り調整せらるべき資金の貸付等は
 立尭設備の新設、横張、改良に閑するものに眠るの
 であつて、一般事発の蓬樽資金は本詞基の範馳外に
  轟るのである.
何事業設備の敷設、横張、改良に要する貸付等であ
  つても飴りに少額めもの迄此の榛準に依らしむるこ
 とは不嶺常であるから、一件の金瀕三者潮来浦のも
 のに付て.は是亦本法の網島の範亀外に置いたのであ
 −々●
 )
 川.千金の貸付の場合と曾杜の新改、掌等の場合と

l 悶…gf…穴氈c…硝g卵…………川…
  其の節材に付輸入湾替の醇可あるものとは限らない
   のである.
  伶故後に以上の許可又は認可を受くるを妥する事項
 に付て非の許可又は認可に閑する事抄は、金融界の蜜
 扮忙円熟せるH*銀行をして之を牧扱はしむることゝ
 したのであつて、日本銀行は本法の施行せられたる九
 月廿七日より新たに資金調弗局を設けこれ等の事抒む
 取扱に常らしめて居る.
   1ニ時局に緊要なる事共に封する資金の供
     給
  濁水の時局に.封廃する為には各方面から資金が不
 要、不急の妾に向ふことを抑止し、共の結果として
 賛金が必宴なる方面に流れて行くことを期待するだけ
 では不充分なのであつて、時局に緊要なる真に封し
 で収容ろ琉頼的に資金が向ふやうにしなければならな
 いのであを。本法払放て興柴倍券の敢行眼底を横張し
 又株式曾杜の村費、敢倍の敢行に付て商法の特例を認
 めたのは此の趣旨に椚づるものに外ならない.
 ハー) 興業領券の発行限度抹浅.
 必要なる事発資金の供給に付ては一般の金融槻閑の
         _
 供給に侯つことは常然なのであるが、d此の際特に日本
 兵菜銀行の輿菜倍券の敢行限度を五億囲横張しで之を
 十億固とし、此の新たに掘張した五億汲ノ付ては政府
 が共の元利梯を保辞すること1したのである.
 蓋し此の輿兼備券の敏行限度の横張ば時局忙緊宰な
        くわくドレ●l
 る産集の生産力珠充に必単なる資金を充分町供給す
 る為此の方南の特殊的金融梯閑たる輿発鈍行をして弗
 素債券を敢行させ、とれ等の手先に供給すべき資金の
 河鹿を行はしめる趣旨に外ならない.
 ハニ) 埠賛助に敢銃の発行に脚ナる特例
     ▲■んえ▲J
 時局に緊要なる事発を営む曾敢に封しては、特に資
 金調達を容易ならしむることが必要であ.ると考へられ
 るので、舵基線製法事業、金属エ捜挽製法事費、産
 金藁、石衆鰊発等偲種月を指定し、これ等の事弟を
 費む曾杜に封しては特に商法の規定忙拘らず政府の許

 可を受けて株金仝稲彿込前の資本を増加卜又は沸込株
 金額の二倍迄批僧を叢集することを得しめ、現凝固家
 的に特に必畢なりと認めらる1此等の事共の途行に支
 持領からしむることを期したのである.
   四 割増金附貯蓄債券の苧
¶ 今岡の事変中には労銀其の他として固内に批和せら
 るゝ金額も相常京額に達するものと認められちのであ
 るが、これ等労銀牧人等の急激に増加した方面に放て
 は必ずしも半生貯嘗の習慣が行渡つて居らない析もあ
 ると考へられるので、此の際各方面の濫費を防ぎ貯蓄
 姦勘するの婁があり、粂ねてこれ等の軒批資金を遽
 甘に吸牧することが金融上其の他の見地より通常と考
 へられるので、収入金二億桝を眠り安川慣格の首五十
 倍以内の割増金附貯蓄倍券と日本勧業銀行をして孝行
 せしむることゝしたのである.而して右の券面金額は
 〓十咄以下、併遭期限は三十五争乱内とし、命割増金
 は再任詑券を以て之を交付し縛るとと1し→舟貯著の
 血管の徹底を期したのである.


  五 金融事墳の調査
 政府は資金の調亀井の他一般金融に閲し各埠の方発
と樽する名に、正確なる資料を亜ふるの必要があるの
で資金の常給及移動、有償詑券、国際牧支又は事業の.
安金計婁等に付閥係者より報曾を徽し又は捻奄を為し
得ること1したのである.

  穴 鈷 括

 以上臨時資金調亜故に閲し共の大要を也めて簡単に
汝明したのであるが、資金の調亜漑事業界砂金般を逸
じ極めて簾汎に亙るものであつて、濁り政府のカのみ
を以てしては能く共の目的を達することは出来ないの
である.従つて本法の潮滑なる施行に付ては自治的に
‡金の網島を為す金融鍵甜川等は勿論、庚く】般の事業
に徒事せらるゝ国民各位に放ても拘束全局の見地に立
             こ′ヽ・∫く
たれ曹画せる非常時局克服の薦切に協力あらんことを
切乾する次煮である.