第二三号(昭一二・三・二四)
 東北振興計画の要領        内閣東北局
 欧州の観光事業           国際観光局
 我国の自動車数          資 源 局
 在米邦人の現況          外務省情報部

 

  東北振興計蓋の要領
                     内 閣 東 北 局
   一 緒   言
                                  .1た′_ 一すい′ヽb
 凹作と云へば、直ちに、東北地方を聯想するほと、此の地方民は自怨の粛す災鯛の前に屈服せあ
ばならなかつた。元凍同地方は本州の東北部を占め、気候塞冷托して春を迎ふる乙と遅く、款は他地
方に此して早く訪れ、其の大牛は数月間深雪の底に埋もれ、農を以て生薬とするに最も慈まれ瓜條
                    へ真ん             ・さ                           モがい
件の多くを有し、加ふるに僻遠に位して大泊費地を距る乙と速く、為に産業の発達は著しく阻碍せら
れ、勢ひ人文的にも立ち遅れて今日に至った。加之周期的に弟ひきたる天災地鍵は同地方住民の生活
        お             ゐ 打ちんたい   たと
を一層窮乏胱態に故ひやり、蒸発的に経済的に唯萎靡沈滞の一逸を辿るのみで参る。試みに最正に於
ける記録を赦へて見ても、昭和六年の大凶作、七年の三陸大東兇、九年の大冷審、十年の大水事と建
     つ
年災審相成ぐの有成で参る。就中昭和九年の冷書は其の故事の甚大なる黙に於て到底従来の此ではな
かつた。農村は云ふに及ばデ、山村、漁村に於て喰ふに食なく、働くに仕事無く、住民の天を仰いで
長欺息する姿は、何人も渓なくして之を正観する乙とは出水なかった。

                                                  し●ヽq▲ヽ
 良くも 天皇 亀后榊陛下に於かゼられては、此の大冷審に憎む常北民の上を深く御枠念遊ばさ
               ね−い と
れ、昭和九年十一月十‖御内筋金五十萌夙を御下朋為らゼられ、更に同年十二月十七日 鼻后陛下に
於かゼられては川地方貧困農家の乳幼兇を不憫ほ思召され、骨才の者約一帯六千名に封し著物橋祥一
                         ひと     かlノ
約宛御下朋参らゼられ、蚤ね束ねの材雑き思召に同氏脅しく聖思の浩大熊遽なるに戚泣した次第で参
る〇

   二 東北振興調査禽の設置

 此の打績く惨劣に揖朔して、根本的に災綱を除き撮輿に資ずべき適切なる方漁を樹立し、速に之が
拭現を馬ずべしとずる加北振興の要繋は期ゼヂして朝野に昂芝つた。政府に於ても夙に東北地方振興
の鶉に紋本纂腺の方姪を考究しっゝ参つた際で参るから、朝野の械者を集めて昭和九年十二月内濁に
氷北振興調衣食を設け、更に現十年五月内閣に氷北振興事務局(現在の東北局)を設擬し、以て根本的
振興封策の樹立故に之が貸施に爽‖す乙とになつた。
 斯くて東北振興調査曾は直ちに活動を開始し、十年一月十日以水度次組合を開催、其の開應急的方
策及根本的方策に槻し眈に救項目畑五つて政肘に答申ゼられたので参るが、就中昭和十年九月十九日・
節七同組合に於て答申した東北興業株式禽敢及来北振興電力株式曾敢設立要綱故に昭和十】年七月八









                     モ・’がふ
日筋九同組合に於て答申した東北振興第一期結合計董賓施要綱は其の根幹を為すもので参る。是を以
て、政府に於ては冶渚答申に基き、昭和十年皮預算として約三宮五十萬固及十一年皮橡算とんて約一
千常軌を計上し、眈に之が賓行を見、又凍るべき十二年度預算としては二千飴萬固を計上し今譲合に
提出して共の貸現を期してゐる次第で参る〇

   三 東北振興第一期綜合計重苦施要綱

 末北振興調査曾は前節にも述べたやうに設置以家来北振興の故本策に付鋭意調査研究を進め、東北
      かんが
地方の賓備に鑑みて最も急を要する施設より若手し成案を得たものより直ちに答申の手持を珠つた
ので参るが、昨昭和十一年七月八日欝九同組合に於て綜合的な根本発として東北振興第一期綜合計重
貿施要綱を答申したのである。L即ち其の要綱は
 (一) 東北振興結合計姦の目的は東北地方に於ける産業の撮輿を周りて同地方住民の生活の安定を
  期すると共に、同家内外の情勢に銘み国防上の人的及物的基礎の確立に資ずる名所謂廣義固防の
  賓を拳ぐるに・花るものとす0
                                 ●■
 ハニ) 本計葺は東北地方住民の自力更生と相侯って始めて其の目的を達成し得べきものにして、珂
  費多端の今日徒らに其の費穎の多大なるを望むべからざるは固よりなるも、政府は前項の趣旨に

  銘み之が耗費の支出に閲し其の目的達成上道憾なきを期するものとす。
 (三) 本計室は弟常り昭和十二年度以降五箇年を以て第一期と為し糠線賓施するを要するものと
   す0
 (凹) 来北振興節一期綜合計室は五箇年間の事業に封する政府玲算額約三億卸を以て之姦施する
   租Yのとす0
 (五) 釆北六螺の角碑部分ほ封しては固に於て低利資金の融池を為ザと非に、其の利子を補給し又
  は必要に依り元利を祁給ずるものとす。
 (六) 本計立として賓施すべき事項は概ね別記東北振興第一期綜合計婁要綱中に掲ぐるものたる乙
  とを要するものとす0
 (七) 本計敦…費施に要する綬費は東北地方振興費たるの趣旨を明ちかにし船積費として閲條各省の
  浄罪に計上するものとず。何本経費は必要に感じ公債収入に依る乙とを得るものとす。
 (八) 本計轟の雉算の執行共の他施設の資施に賄しては内閣東北振興事務局ハ現在の東北局)に於て
  之が連絡統一に努むるものとす勺
等の諸項日であつて、此の趣旨のもとに左記三十の施設項目に付て夫々詳細なる箕施方針を確立した
 のでh参る0


一、道路の新設及改修
 ニ、港仙曙の修築
 三、蛾道網の盤備改書及蛾逆窪賃の軽減
 四、治水番発
   つなみ
 五、津浪等防備施設の盤備
  くh▲フはい
 六、荒廃地復沓事業
 七、災審防止林の造成
 入、林道の開設公私有林造成及虚栄用務革地の
  改良其の他施米改血管
九、固有林野の開放
 十、耕地改良事業
   かいこん
 十一、開墾事業
十ニ、自作農の創設維持
十三、畜産雄設の整備
十四、水産施設の整備
            ▲吉しん
十五、農山漁村経済更生の促堆

 十六、産業試励研究指導機関の整備
 †七、工業振興施設の卜整備
 十八、商業撮輿施設の」整備
 十九、銘菓振興施設の整備
 二十、農村工業及副業施設の整備
 二十∵、航基施設の整備
        かうろへうしき
 二十ニ、航路及航路標識の簸健
 二十三、海洋観測及測候施設泣に陸地測長瀬投
     の盤備
 二十凹、草枕教育及融合教育施設の整備
 二十五、敢曾苑設の盤備
 二十六、負債整理の促進
 二十七、金融施設の整備改善
 二十八、租枕其の他公諷の軽減
 二十九、地方囲饅財政の援助
 三十、東北槻係行政機構の整備

 政肘に於て明年皮預算として目下帝固窮曾に鴇出中の二千飴南風の経費は右の租旨に基いて其の貿
現を糊つたものである。然し本計董の賓現としイは未だ必ずしも十分と云ふ乙とは出水ないので、今
後史に一層の努力を要ずるものである。

   由 東北興第株式曾祀及東北振興電力株式曾祀の設立
 求北地方撮輿の徹底を和する為には、眈に述べたやうに行政的の立場から各種の施設又は援助を為
す乙とが必要で為る乙とは勿論であるが、更に之等の施設と併行して事業的の立場から、或は資源の
閑塘有利都菜の促進等を周り或は各種渡米発展の基礎的要件たる電力を低廉柴富に供給する等、政府
と民間との中開的立場に立ち水北振興の第一線に活躍す.る朗の療殊曾敢を設立ずる乙とは極めて緊要
と認められる。東北振興調査曾に於ても夙に此の鮎に著眼して、昭和十年九月十九日第七同組合に於
て水北興業株式禽敢及水北振興電力株式曾敢設立要綱を可決答申したので参る。仇つて政府に於ては
朽ちに之に閑する法砕案共の他の準備に著手し、成案を得て之を第六十九回顧開講曾に提出し其の
 けふきん
協賛を触、昭和十一年六月一日より之を賓施ずるに室つたので参る0次いで政府に於て虹同日附を以
て合敢設立委員を任命したので、同黍貝は直ちに曾敢設立の準備に薯手し同年十月七日創立組合を終
了し完全に曾敢の成立を見るに至つ瀧。之と同時に政府より役員帥ち東北興業株式曾敢の総裁、副地
裁ハ各一名)理事ハ三名)及来北振興電力株式曾敢の社長、副社長(各一名)理事(三名)の任命が行はれ、









               ●−いしん
今日雨曾敢共各ぐ其の使命に邁進しっゝ参る次第で参る。雨曾敢の役員の人選に付ては政府は南曾敢
の使命に盤みて極めて慎重に官民の差別なノ上唇く人材を求める方針の下に人達を行ひ、南曾敢の使命
達成に遺械なきを期した次第で参る。
                      さIl▼
 東北興業株式合敢の顔立目的は、褒に述べたやうに東北撮輿に粥する政府の各種の施設と相侯つ
て、各種の東栄に五つて統一的方針の下に資源の開敬利丹と経済の振興を周らんとするもので、(イ)
肥料工業其の他電気化畢工業 (こ水産、鋸産資源の開発事栄 (こ水面埋立事業 (こ農村工業
(ホ)共の他東北地方振興に関する諸事米等を曾敢自ら総督し、或は之等の諸事菜に投真の他の助成を
為す乙とを其の革紫自的と定められてゐるので、其の活動範囲は極めて虜汎に五つて居り東北振興の目
的を達成するのに鵡械なきを期して居る。本曾敢に於ては其の成立以水上並の諸事栄に崩する運沓の
具鰻尭を樹立する乙とに鋭意努力して居るので、遠からず賓行に著手されるものも砂くないであき・ノ。
 次に東北振興電力株式曾敢の設立目的は低廉豊富なる電力を供給して東北地方の産業の尊展と経済
                              おも
 の振興とを図らんとするもので参る乙とは奴に述べた朗である。惟ふに同地方に於ける電気事業は概
ね規模が小さく建設費も高く、其.の施設は局部的に止会り、事業相互開の迭電連絡不充分で参る等著
しく施設経沓上の押力性に乏しく、各種の需要を綜合し水力鞍電の大規模開発を為す等発注電施設の
      き と
経済化を金岡する乙とは極めて困難な状態に在るので、本曾敢の設立に依つて有利な水力地黙を合理
的に掲卑し、以て低廉豊富な電力を供給ゼんとするもので参る。本曾敢の事業計婁を見るに、曾敢は

熊歯り昭和十一年から昭和二十年に至る十年間に阿武隈川、田澤湖外政ケ所ほ水力発電朗出力約十五
前キロワットを閑教し、同時に其の電力を供給するに必要な迭電線路、襲電朗を雄設して尊電朗落成
と弗に逐次某を開始し、叉必要に應じて補給用の火力額電朗をも建設して水力の有数なる利用を周
 る預定で参る。而して低廉柴富なる電力の供給は煎来聴展上一日も早く其の賓現を希望ゼられるもの
で挙るから、事情の許す限り本計塞を繰上げ蟹施ずる方針を針め、昨年十月曾敢成立と同時に誉事
光を進めつゝ参るが、眈に阿武隈川教電朗に於ては測最設計を了し工事を開始しで居り、岩手疎開伊
                                        と   ●■
 川敬屯所及青森螺奥入瀬川教電朗も測免役計を完了し、本瀬専融けを侯って直ちに工事を開始する鎚
 になつて居り、又田樺湖教電朗共の他に於ても昔々準備を進めつ1参るから、骨初の十年計婁は和音
 飼締されるものと期待して居る次第で参る。

    五 結   言
 かくして、今や、東北振興に関する叔本的綜合計塞が確定せられ、雨特殊曾敢も赤線箕の緒に就
                               ちん・りん
 き末北地方は漸く光を見んとして居る。久しく窮乏の底に沈治した東北地方の振興は、一朝一夕に其
                                      はつらつ
 の目的を達成する乙との困難である乙上は云ふ迄もないが、率に東北地方民の鞍刺たる振興の意気
 と、同氏各般の深き理解とを得陀周らば、東北地方民は共の永き弘昔の窮境よけ況して、聖代の京澤
 に搭し得る乙と1鳳ふので参る。