官製婦人会よりも女子教育
先月初めの新聞に、内務省では先々月末約一週間各府県の理事会、郡市町村其の他の為めに自治及民力涵養の普及及徹底を期すべく、協議会及講演会を開いたが、此協議会に於て内務省の肝入れで「国家的及社会的活動と覚醒とを促す為め婦人会を設立」し、之を全国的に統一しようといふ考で役人連中が具体案を相談中だといふやうな記事が載つて居た。併し官製の会合の為す無きは已に青年会に於ても明かである。真に婦人の活動と覚醒とを促さんとするなら、もつと婦人の教育の振興を図つたがいゝ。殊にあらゆる法律上の拘束から婦人活動の自由を解放したがいゝ。婦人をして殊更に公事に興味を有せしめず、且つ教育の機会を大いに制限して居つては、婦人会も何もあつたものではない。
〔『中央公論』一九二〇年一一月「小題小言」 のうち〕