262(1941・10・15)
読者頁新設
「通風塔」に皆さんの寄稿をお願ひします
週報創刊五周年を迎へ、さらに皆さん方との結び付きを緊密にするため、次号を期してあらたに「通風塔」を新設することになりました。広く読者諸君の御協力を願ひます。
寄稿は政治、経済、文化その他あらゆる問題についての意見、感想等何でも結好ですが、たゞ、真面目なものを希望します。要するに、真剣な「一億の声」を寄せて下さい。問題によつては、こちらからお答へもしたいと思つてをります。
なほ、限られた誌面で掲載し切れない場合も多いと思ひますから、その点は予じめ御含みおき下さい。しかし掲載しない分でも、政府その他に対する真面目な希望などは、それ/"\関係方面へ通達して、今後の施政、施策に参考とするやうに取計らひたいと考へてをります。
投稿規定
一、長さは、四百字以内
一、特別に〆切期日は設けません、到着の分から適宜掲載します
一、原稿は一切返却致しません
一、誌上の匿名は随意ですが、原稿には必ず住所氏名を記して下さい
一、送り先、東京市麹町区丸ノ内情報局週報編輯室「通風塔」掛
263(1941・10・22)
強力政治の要望
今日を明日とも分かたぬ激動する国際情勢下に、わが国は前古未曽有の大国難に遭遇しつゝあるのであつて、今や一億国民は一丸となつてこの国難を打開せんと決意してゐる。かくの如き非常時局にあたり、吾人の翹望して止まざるものは、鉄の如き力の政治である。今日わが国が何をなすべきやは、既に決定されてゐる如く、内は高度国防国家の建設であり、外は支那事変の処理と東亜共栄圏の確立である。
政府は国家総動員法によつて、この目的達成のための一切の施策の全権を有してゐるのであるから、思ひ切つて戦時諸対策を断行してもらひたい。
法にうつたへてはいかぬとか、国民の反対がありはせぬかとか、そんな遠慮気兼ねをしてゐては、断じて強力政治はできないと思ふ。少くとも戦時内閣では一部国民の反対は押切つても、必要なる政策を断行する底(てい)の強力さが要請される。国民は今やかくの如き強力政治を渇望してゐる。それがやがては一億国民を駆つて、時艱突破に奮ひ起たしむる所以だと信ずる。
(Y・M生)
地方への転住者
最近小生の田舎の方へ都会から頻りに豪奢な邸宅を構へて転住する者が多くなつた。勿論、転住する方では自分の金で建築して住むのであるから、他から云々されることはない、と思ふかも知れぬが、われ/\田舎人は臨戦下の今日、豪奢な邸宅を建てゝ住まれては何かしら割り切れぬものが感じられる。その敷地となつた畠地は何れ相当な価格で買取つたもので、売つた方にも異論はなかつたのだらうが、一粒でも多くと食糧増産が叫ばれてゐるとき、畠地をつぶすといふことは、国家的に問題ではないかと思ふ。何かこの転住について防止する方法を講じたらと思ふ。
(神奈川 M・T生)
体格検査と体力章
体力章検定によると、数へ年十五歳から二十五歳までのものは必ずこの検定を受け、合格したものには国家が検定章を与へることになつてゐる。従つて、体力検定合格者は国家の要求する体力保持者といふわけである。
然し学生としては、体力検定に合格しても上級学校へ進むためには何の役にも立たない。のみならず却つて勉強の妨げとなるのである。そこで学生及びその父兄等は、まづ体力検定などは第二義として考へる。従つて政府の折角の指導奨励にも拘らず、その効果は十分に発揮されない結果となる。
この意味から、私は身体検査合格者を学科試験合格者、又は体力検定合格者を以て受験資格とすることを提唱するものである。
(秋田 田中敏文)
防空に関する質問
☆週報九月三日「家庭防空の手引」灯火管制の個所には乙地域のことだけで甲地域のことが書いてありませんが・・・ (この質問は数通ありました)
甲地域は特殊の限られた地域であり、この地域では特殊地域であることが徹底してゐる筈であり、且つ甲地域は明示することを差控へねばならぬので、家庭防空の手引では一般の地域(乙地域)のことだけを書きました。
しかし相当誤解も生じたやうなので増刷分には、甲地域の屋内灯管制の程度を追加し、また九月十七日号に追加訂正を出して置きました。特殊の灯火管制としてはこれ以外にもありますが、紙面の都合上省略してありますから、誤解のないやうに願ひます。
☆警戒管制中は自転車燈、懐中電灯、炭火、マッチ、ライター、煙草、写真撮影用閃光等は屋外でも平常通りとありますが、甲地域では制限があるのではありませんか。
あります。詳しくいひますと、甲地域では、自転車燈類は原則として一燭光以下に減光した上、三百米以上のどこから見ても火が見えないやうに遮光します。但し懐中電灯式の点滅装置があるもので0・3燭光以下に減光した場合には遮光はしなくともよろしい。
マッチやライター、炭火、煙草の火、写真撮影用閃光等は警戒管制甲の場合でも原則として平常のまゝで結構ですが、但し炭火は三百米以上のどこから見えないやうに減光します。
264(1941・10・29)
飛躍した人生
まづ第一に多年念願してゐた週報に通風塔を創設せしめた気運を喜ぶと同時に、責任のます/\重大なるを感ずる。八紘一宇、大東亜共栄圏建設、想ふだに血湧くではないか。人一度生を享けて何かなすべきと誓ふ。人それ/"\の職域にあつて、はりきる。真剣実力ある人は全く働き甲斐のある世界情勢ではある。然り、今日ほど世界の歴史を各人の掌中にゆだねられてゐることは稀である。定めし木下藤吉郎、二宮金次郎先生等が、あの世から飛出したくて腕を撫して、口惜しがつておいでであらう。かほどの秋に未だ旧態の夢を追つて、日々の革新生活をいたづらに慨歎のみする人は、温室育ちの自信のない人である。さるにしても、従来個人の生死は単に一個人の生死に過ぎなかつたが、現在は、世界に燦と輝く国家を背景に頗る意義づけられてゐる。実に生き甲斐のある、死に甲斐のある幸運な吾々である。
(名古屋 伊藤文四郎)
弁当箱の回収
今回鉄類の回収により、家庭に、工場に、その他の各所にある鉄製品の中で、代用に足るものは殆んど回収されることになつた。誠に時局に適切な行事である。戦争は科学戦になるにつれて、より大多量の金属とガソリンを消費することは論を俟たない。この際、軍需関係を除き全国の学校・会社・官庁・公共団体・事務所に関係ある人々から姻族製の弁当箱を強制回収し、国家のため御役に立たせることを政府に要望する。日本には古来から木製の弁当箱があり、また握り飯といふ理想的のものがある。全国から弁当箱を回収すれば、その総量は想像以上に莫大なものであらう。
(静岡 木村茂)
経済違反者の訴へ
私は或る商店の店員ですが丁度昭和十四年の九・一八物価停止令の発令直後の十一月に、法令と時局に対する認識の足らなかつた結果、旧来の経済観念と店のためと店主の命で違反を起し、店主と共に罰金刑に処せられました。その後、店主も私も大いに時局を認識して商売上は勿論、凡ゆることに国策に副ふやうに努力し、そのために同業者の中には快く思はぬ者もある程です。又、なり手の少い町内の役員にもなつて、献身的に町内への奉仕と町内の指導に努めてゐますが、この過ちを思ふと、思ひ切り働けない引け目を感じます。さき頃も翼賛会の推進員の推挙を受けましたが、町内でお受けしても、支部なり本部なりで前科のために資格を取り上げられては面目ないと辞退しました。今回、壮年団にも入団して、大いに尽したいと思つて張り切る気持とはやる心を持ちながらも、我が身を顧みて躊躇されます。かうした者は資格がないものでせうか。ないとすれば救ふ道を講じて戴きたいと存じます。
(忘名生)
銃後国民の覚悟
空襲のために少々の犠牲が出るのは当然である。防火の方が大切だ。国民総意の要請が戦争となるのは、国民各自が生命を国家のために捧げたといふことでなければならない。他人の生命の犠牲において戦争せんとするが如きは、苟くも祖国を持つた人間の考へるべきことではない。真に滅私奉公せねばならない時が来たのである。種々のデマを信じて、買溜をしたり、田舎へ避難したりする者は第五列である。自ら第五列たらんとするやうな非国民は一人もゐないだらうが、たゞ単に大変だ大変だと騒ぐことによつて立派に第五列を働いてゐるのである。何が大変だか考へて見ればよい。大変なものはなにもない。職域奉公あるのみ、人事を尽して天命を待つ。そこに新たな境地が開かれると思ふ。
(一億の声)
265(1941・11・5)
266(1941・11・12)
267(1941・11・19)
団体の構成について
団体が次第に統合されて誠に結構だが、更に一考を要することは、一人が二つ以上の団体員であることである。例へば青年団員は警防団員を兼ね更に幹部団員中には在郷軍人分会員をも兼ねてゐる者が多い。なほ新生の婦人会は二十歳以上の女子青年団員をも含むといふことである。こゝにおいて命令は二途に出で、これを受くる者は一人であるし団体独自の使命に向つて各々団員を訓練する場合結局 13
268(1941・11・26)
269(1941・12・3)
270(1941・12・10)
270付録(1941・12・10)
271(1941・12・17)
272(1941・12・24)
273(1941・12・31)