愛国心を嘲罵するものあり
国を愛するの心は国民として最も貴むべき心なり。其の動もすれば排外自尊に僻し、頑迷固陋に陥るは、吾人の大に警戒せざるべからざる所なりと雖も、其の精神に至りては実に国家の元気なり。一国の進歩富強は一に是の心の強盛に待たざるべからず。道は時と共に移り、徳は勢と共に変ずと雖も、愛国は国民至高の道徳なり。国民閧ノ愛国心を嘲罵するの風習を生ずるは、是れ即ち一国元気の実力なきを意味す。我邦今日往々にして是の如き徒輩を見るは、吾等の慷慨に堪へざる所なり。
(30年9月)