人民の釈義 人民の稗義は政治語彙にも見えたり、此語を最多く使用するは、雇吏、 官署給仕、巡査等にて、日本服を着用したる者に向て、最も多く冒らす る普通名辞なり。小倉の制服着て、草履はきたる役人が、人民の入口は ソコでないなど各めることあり、誤て交番所の便所に趣く者を遽つて、 人民の便所ハアチラですなどいふ。時としては従二位伯欝某の大臣など いふ人民を叱りて、跡にて大に頭痛する響官もあるなり。 (明治二十四年十月十九日「亜細亜」第一七競)