辞柄的憲政


 憲法の明許する限りに於て、又は、憲法の明禁せざる限りに於て、檀悉
 放慢し得ることを憲法政治なりとせば、所謂る立憲政治なるものは、人
 をしてロを憲法の條現に滞り自ら其の揖悉放慢を村護せしむるだけ、反
                                       
 て無憲法政治に劣るの結果を生ずべし、無憲法の政治に在ては道理と徳
卦cが帥封針砕すが押掛で絆封肘陛が肘が肘掛h斯いで軒Wザ〜a肝
  
 なし、故に正邪得喪曲直利害は矢張り正邪待喪曲直利害として世人の倶
 瞼する所と為り、其の結果や早晩必す官事者の頭上に貴任の辟着するあ

 るを見る、唯た此の青任の厨着は往々にして鍋乱を伴ふこと是れ悪政と
 異なる所以。
 憲政に伶ふ所の一特性は他なし、政事効績の善意と政府威信の存亡とは
 衆議に刺せられ、一旦輿望に排斥せられて其の貴を引くも、曾て鍋乱を
                                           
 伴ふことなく平穏に経過するは其の一特性なり、然れども若し憲法の朋
                                
 許又は憲法の不明禁を口賓とし、悪政亡信をも強ひて人に正常祀せしめ
                                
 んと欲する者あらば、此の者の為めには憲政なるもの殆ど盗に貸すの鍵
                   
 たらんとす、憲政此に至らば無憲政に劣る、或る入日く、輿望衆議も時
 ありてか其の首を得ず故に必ずしも従ふ可らずと、是れ固より一説なり、
 但だ其嘗を得ざるも輿望衆議は則ち輿望衆議たるを失はず、従ふ可らず
 と言はゞ初より憲法を建てざるに如かじ。
 今や自ら憲政を建つるに献香して而して又た自ら輿望衆議に従ふぺから
 ずと揚言す、是れ資に其の献香の誤れるを自澄する者なり、吾輩は思ふ、
                                         
 此の一事既に君国に封して引責すぺきの償ありと、伊藤内閣の機関紙は
                                
 毎に言へり、議院の決議も取るぺからざるものは不裁可を奏請すぺしと、
                                
 夫れ議院の決議に不裁可を奏請すとせば、此場合は議院を無観せんこと
                                
 を奏話するに同じからずや、議院を無現せんことを奏請するは、殆ど憲
         
 法を有害成するなり、憲政を建つるに猷香せしは誰ぞ、義曾を開きて輿
 望衆議に敢くの制を建つるに献替せしは果して何人ぞ、伊藤伯は其の一
 人にあらずや、而して其機関紙の言ふ所此の如し。
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 機関紙即ち日日新聞の輩は乃ち日はん、議合の決議に対して不裁可を奏
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 請するは憲法の明禁せざる所香な憲法の明許する所なり何の鮎に於てか
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 憲法に達ひ非立憲的挙動なると、然り、院議未た決せざるに其の案を理
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 由として解散を奏話するも憲法の不明禁、同一問題に付き同一内閣が二
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 同三岡解散を行ふも憲法の不明禁、未た聞合せざるの前に其の議院を解
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 散するも亦た是れ憲法の不明禁、解散して而して其の理由を公言せざる
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 も亦た固より憲法の不明禁、彼れ賓に憲法の明禁せざる限りに於ては何
 事も自由自在なりと為すものなり、其の結果は如何。

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彼れ賓に憲法不明禁の中に自由自在を主張す、既に自由自在なり、然ら
は彼れは其の所為に付きて固より黄任を負ふの覚悟あるぺし、彼れ既に
費任を魚ふ、然らば輿論衆議に厳みて自ら引決するか、彼れ日く、輿望
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衆議に顧みて自ら引決するは憲法不明許の中に在り大臣は唯だ君主の任
                                 
免を倹つと、夫れ大臣の任免は大権に属すと錐ども大権は議院の辟故に
    P O O                          
輔弼の秦請を倹つと同じく、大臣の任免亦た輔弼の奏請に依る、輔弼の
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 職に在る大臣既に奏話せずして唯た大権に侯つとせば憲法明許又は憲法
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 不明禁の中に在るも、憲法の特性は其れ何に因てか囲に鱗はる、吾輩は
 今の憲法政治に従事する者の言動に付き深く将来に恐る1所あり、彼れ
 賓に憲政の建立に献替せし者なり、而して其の言動は毎に憲政の培植を
 障碍す。
 (一)憲法明許又は憲法不明禁の中に於て自由自在也
 (ニ)道理又は徳義に於ての檀悉放慢は憲法に遽はす
 (三)憲法に蓮はざれは揖慈放慢も亦た正常なりとす
 (四)映信又は失政といふの衆議輿望は厳るに足らす
 (五)衆議輿望は願ろに足らす大臣は唯た大権に従ふ
  (六)大横は絶ぺて輔弼の奏請に因りて動くものなり
 (七)輔弼の大臣は唯大横に倹つ是れ彼の所謂る憲政
 斯の如き辞柄を以て立つが故に、立憲の一特性を饅経せんと欲せは、彼
 れは直に稀して乱臣賊子と為し以て之を抑ゆ、憲政斯の如きに馴致せは
 其れ無憲政と執れか勝る、敢て大方に間ふ。
                     (明治二十七年六月一日「日本」)