米英討滅の国民運動と文化動員 情報局第五部長 川面隆三

 この度の大東亜戦争に於きまして、われ/\日本国民として、最も
必要なことは、申す迄もなく一億の国民が、老いも若きも、男も女
も、一人残らず、捨身になつて、国難に当るの気概を奮ひ起し、必ず
勝つといふ信念の下に、各々その持場々々を固め何時どこに在りまし
ても長期持久尽忠の誠を效すといふことであります。
 そのためには、全国民の足並が、大東亜の新秩序建設といふ最高の
目的に向つて、揃ふといふことが、最も必要であります。国民運動
は、この一億総進撃の足並を揃へるための運動であります。
 支那事変以来、われ/\国民が足並を揃へて実行して来た運動は、
実に数多いのであります。あるは食糧の増産といひ、金属の回収とい
ひ、貯蓄の励行といひ、国民皆働といひ、体力の向上といひ、あるひ
は防空、防諜、デマの防止といひ、また一日の疲れを癒し、明日の活
動の源泉にするための国民娯楽の確立といひ、すべて聖戦の目的を完
遂するたあの一大国民運動なのであります。
 これ等の事柄は、個人々々についてみれば、支那事変勃発の以前か
らも、自分一個の処世訓として、熱心に実行してゐた人々も、決して
尠くはなかつたと思ふのであります。浪費を戒め、奢侈と逸楽を排
し、貯蓄や鍛錬を以て堅実な家風としてきた家庭も、相当に多かつた
と信ずるのであります。しかし国民の全般からみて、それ等の事柄
が、国民全部が歩調を揃へて実行しなければならない所謂国民運動に
なつてゐたかといへば、遺憾ながらさうではなかつたといはねばなら
ないのであわます。
 国民運動といふ以上は、個人的な処世訓や家憲などといつたものを
遙かに超えた国家的要請に基くものであり、あらゆる家庭、あらゆる
地方で、国家の目的と密接に結びあつて実行されねばならないのであ
ります。即ち、われ/\国民が貯蓄をするのは、単に、個人の老後の
生活の安定のためや、または不時の支出に備へるといふことばかりで
はなく、あるひは米国艦隊を壊滅させ、シンガポールを陥落させるた
めの軍事費を賄ひ、あるひは物価の昂騰から起る国民生活の破壊を沮
止するといふやうな国家の目的貫徹に向つて国家自体を建設するいは
ば国運を左右する程の重大な意義をもつた国民貯蓄なのであります。
国民皆働といふことも、単に、働かねば食へないから食ふために働く
といつたふうな単純な、個人的な事情によるのではなく、前線将兵の
勇戦力闘に呼応して、国内に在る働くことの出来る国民全てがあるひ
は工場に、あるひは田園に、自分の満身の汗と力とを捧げて、国家の
経済力を増進させて行くといふところに、その高い尊い意味があるの
であります。
 国民運動のうちには、むろん法令を以て実行を強制して差支へのな
いものもあります。しかしながら、皇国の隆替、東亜の興廃の岐るる
ところといふが如く、苟くも国家が興廃の関頭に立つてゐる時に当つ
て、法律が命ずるから耳行する、法律がないから竣行しないなどとい
ふことほ、利己童戌、個人鼓壊の線本山である米英の軌民ならばいぎ
ヽノ

 ー


′.ヽ

知らす、均似の血が脈々としじ満身に波与つてゐろわが大和民族にと
つては、食に恥づべき不名替だといはねばなりません¢畠軍の将兵
は1何等、法律的な強制や−上官からの命令がな〈ても、常に爆撃一
男士となつて、敵挿に製ひかかり挺身敵を撃破するeほありません
か中国民運動は燃え上る〓慣の赤心を基調として、轟帯し、池廃する
ところに、瓜の力独さがあるのであります0狽制がなくても、罰則が
たくじも、そんなことはどうでも1い、止むに止まれぬÅ心から二
家全壊、村会艶、町会捷、国会陛が、火の玉となつて、足淑を棉へて
慣行するとい・首ころに大和民族としての狩りがあり感激があるので
ありま†.
 この押出的な自亀と誇りがなくては、いくら法律を網のや〜に、張
りめぐらしても、必ず、その択の日をくぐら〜と†る不心得者が出て
くるであむませ与・またもし、それを防ぐために、駒の日な醜聞にこ
まかく†れば、匪民ほ駒昏這窒息することもありませ〜.がこれを
国民濫勅に上るならば、その在勤が強化幾度してゆくに促つて、最も
合理的にしかも、明朗に、払投網に・その目的を達してゆくことがで
ぎるのであbま†.一億印民の駒に燃え上古愛甲の火ほ、われ〈の
前途に、苛縦が増せば粁すほど、い上く烈しく燃え上ちでありませ
う0ルーズグ・ルトもチャーチルも、世界何人と喋もこの日木岨民の
駒に燃えさかる地を滑すことは絶対に出来ないのであゎます.
 ドイツに於いても、イタリアに敬いても、政治に、経済に、文化
に、南民の全ての歩網を由家政設といふ目標に向つ〔∵つに樟集する
 国民窪朗が、購んに行はれでゐろことほ、†でに御承知のところであ
 らうと息ひますさ今日の如き宵摂世同に度してたほ酵民の歩綱が.ハラ
 メタであも・有挿的な統一を炊くといふ貯〜なことは自由主点的民主
主義的軌象に敬いて見ちれる柁教であろと存じます.
 さ〔大鹿恋敵申敷行下に於きま†る我が明の圃比逮利は、申す塩も
な〈最も親株に、敏活に、且つ力強く行はれなけかばなりません。が併
し領民在勤であbま†る以上、政府からのいほゆる天降りでほなく、
国民日払の中から燃え上る窪如であることが、最も望ましいのであり
ま†∵−Jの意味におきまし1憫和局は大政翼賛禽と密故に損耗すると
共に、大8本意築報声曾1大日本青少年甲宗教幽畦、掃人観拉、そ
の他の各楢の軋馳、あるひは文参篭、民間有力者などと、定期駒に、
または馳特に私鉄して、あるひは政府側の意向や情勢判断をお侍へし
あるじは民間側の和布望を閲ぎ、輿論の緒埠や、唇草食侍の行ひ方に
租様なきを期してゐるのであります。咄カに放きましても亦、全賦の
各盈府蝋に於いて開かれまする定糊的又ほ、臨時的の各地時局協講官
等を滴じまして、政治、軍事−外交、梓済、文化等各般の開祖につい
て、中央と地方官氏有力者との濠挽携を掛り、国光の凧滑なろ挫遜
に努めてゐるのでありますご」れ等の所謂指噂者の方々に封してばか
りではありません〇一般大衆につきましても、内接省及ひ大政式址育
と協力の上、所俸常曾に徹底すべき事項を均月決定し、国民組枯の粥
租の端に至るまで、国策が急遽に、⊥かも悼催的に浸透するやうに、
努めてゐる次鵠でありますせ
 又所謂文化の傾城に放きましても、支那¢牢勃牢筏、その各部門に
放きまして、従来のやうに文化を単なる倹l的な慰みや金儲の判粂と
耗ないで、国民を掃紳的に訓蛛し陶冶する拡大な国家的使命を粒ふも
のであるといふ正しい見方を†ろ傾向が勃然として列つて水たのであ
bまするが、情報局と致しましても、この民間の自考的な響に呼也
 し各粥係官転と架帯に建格致しまして、現在埠に堆々の蝕噸をつくる
ヽノ

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′ヽ
 なり、ちるひは増昔な相吋む稚ずるなり致しまして、その放果た十分
 に襲拝させるや与野カしてまゐつたのでありま†.恰も今次大友正也
 争の勃数に取掛致しまして、取上官良一鞄となつてこの文化部門の動
員制を強化することの必黎を砧賎してをる次鶉でありま†。
 均在までに文化の各部門に放いて行ほれました動員也刺生瀬の一端
をお語数しま†れば、例へば、映野に放きましては、所謂映‡研性別
女権止して、喫‡の輿作、配給の槻耗を盤確統合し、限られたる資樹
を山ニ、最大の働きが出来るやうに致したのであbま†¢又国民映誓、
申兇海朋の材北を抱唱して、硬く一般から鍵罪なる映宅脚本、演劇岬
本を募雑致しまナると共に、他方、増形断とか亀に零壊して戦争塩
狩下の内局士気の農地に賛する勝れた映驚の輿作、済劇の上牧を指導
Lてまゐり、これは映蛋に放いても、塀劇に於いても、拙者に大きな
成果を見てゐろと存じます。又塀劇、験さの分野に放きすしては舶休
各方南と臨力致して、日本移動済麒盟を梅成し、従来文化に恵まれ
ることの紗かつた戊山漁村、工場餅山等の勤労者に射して健全なる頼
朝、桝蕗を塊供し†の努帯に満ちた生活を潤ひあらしめ、蔽上生産増
売に式畜†ることが出来ますやう努力してをるのであります〇又我が
国の坪かLい耗史を愈よ光坤あらし心る積め、次代の由民を廉成して
Aの皇拘少閑民たらしめる目的をもつて日本少的民文化皆を桔成致
Lましたが、この場合に放きましても、凡ゆる兎藍の文化に師搾Lて
見られる方々が耗に抽カの蟹を哲押されまして、十殴部門に亙る少閑
民文化の各部門が打つて一丸となつて一つの大観緒をつくり上げるこ
とに成功されたのでありま†.今響Jの槻桝の弘化に伴つて少威民文
化を指堵する中髄槻繍として名慨ともに有力なる泊剣を展増すること
と考へてゐる衣桁でありまサぐ苛矩の分野に於きましてほ日本管触文
化協宙、出版の分封に放きまして日本肘脱文化学が希▲招成されま
してそれぞれ有放な措辞を行ひつつあります.
 かくの如〈文化の各領域に亙つていろ〈の粗描や思川が生れ出で
惜動致しまする所以のものほ複激煩多な統制に⊥る文化の抑匪とか破
ほ潤ひのない面白味のない文化の教生とかいふことを目換するのでは
晰じてありません.否むしろ女化とか娯柴とかいふ部面の活動が放ら
に放任の状静におかれることなく進んで閑家目的に投合し、吸ふ日本
の文化革訓耽に勤しそ、その槻媚を十分に変換泣んとするところにその
目的があるのであります。特にこの耗の大波退散辞は皇頭の鹿替女亜
の輿硬を決すべき有史以来の大戦申でありまして、相悠長期に亙るべ
き拘家他力搬でありま†るから、この長い期間を漁じまして常に的尺
士気句点漫を梢招致しまする用には、堆大にして埠全、明朗にして泄
沖なる文化乃至娯無の生転が掩封に必要であると確信してをるのであ
ります。私共と致しましては、今後とも文化の各分野に五つて民何の
文化他者者、否団塊全毯としつかりと手を頻り合つて、頓めて意襲あ
る襲来を介抱致したいと琴へてゐるのでありまするが、国民各位に於
かれましても、文化を単なる娯襲と見放したり、あろひは一部有閑人
土の転味性を稲尾させる蕉樺物と見傲Lたり、なほ進んでは文化を用
民生活から秩の速い無拍の長物馳したゎすろ見ガをこの際改めて頂き
たいと存ずるのであります.
 我々は詫邦に冠絶†る奄粗い「すめら御観」に生を革けて来たので
ありますが、今次大鹿亜戦中の勃哲と共に今野の如くこの有難さが同
属の一人々々の肋に轢く刻入込まれ、恰も黎明のサ挽朋としてさすが
如き感激を受げたのであります。日本の文化も常にこり嘩研しき煩徽
を革け併大なる前項を摺んだのであります。日本文化ほ叔劇も、吸盤

′■ヽ

ム、管窄も、文学晶吋なる文化も要し誰の指に奉仕するのでもな
く、】恵専心、餌国8本にこそ率仕†るものであります。祀醍日本の
禁買掛身しっつある全日本人の生持の原動力をな†ところの日本持
紳をガ冶し、せかにし、紀みあらしめるべきものでありまサゥ今後の
文化はかうした五大な国家的恍命、か〈の如き光菜ある托紡を渦督す
るものであり、かうした正しい文化軌があの十〓月入日を似て声良二
般の中にも、はつきりとうち逮てられたのであります.
 由来日本人は横倣に長じてゐるとJく首ほれました.併し革なる頓
倣は飽く迄覗を主墟とするものであつて自己の創造でほ紹封にありま
せん0曾つて世界の文化の朗泉であつたこの架誠に生を革くる我々日
本人は堵倣上りも創造を、撫自発な自己喪失の路上りも建設の大道を
雫芸きであります0近東我々のもつてゐる文化の内にもしも米英の
文化の横倣にのみ流れる傾向を増んでをつたもりがあつたと†ればそ
れほ班に由々しきことであります。私淑は払共の組頭日本が鵜を以て
世界の魅史を拷襖けしめんとしつつある今日、擦を正しつして自己の
恩侶に、尖替ト、文化に反省を↑し、この日を以て悠然として鞋飼の
裸恐に赦し、日本的なる瀬の毅を北塀すべきであります¢
 妨一次励洲大概終結の切米輿は如何なる形態と如何なる雀宮とをも
つてゐエちとも取牢としふものは、文化む破壊†る盤大の押鮎である
といふ取念を全世界に拙ゑつけたのであります。併し乍らこの「たた
かひは文化を破壊する」と宮ふ冒髄を触定見にちけいれてほなりませ
ん9大衆衣戦申ほ「すめらんいくさしであります。皇鱗の正しい他界
掛の上に賓まれる水盛及唯界新秋拝繋訊のたたかひであります。かゝ
 る【たたかひ〕こそ創造の父であり文化の母であります.新しき文化
 の一驚明は今、このたたかひの田上り興らんとしてかるのであらま†.
今や私兆ほかかるたたかひの内エセJそ也にH本的なる同出文化わ例
造するてふ餌塊と自信とみ掴んだのでありますU H本ほ大発柁の組立
となり、陛界の指革者となるべき使命を琴心ものであるといふ節帥以
来の大和想が文化の領域に於ても明瞭に諷執されたのであります。や
に日本文化ほ米共の不純、不正なる物質文明を破産して盟犬なる大水
並の姦城、杏会惟界に光瀬して砿妃をして仰いでその恩野に信服せ
しめる膣史的使命を持つてゐたのでありま†。
 併しかうして五大なる使命を完全に果し得る馬には、銘一には歪
文化財を生恋しあるひほこれが配給に耗つてゐる人達が犬死一破して
新時代の文化の位金を自牡し覚醒†ることが抱封に必要でありま†ろ
し、撃一にはこれに粥聯して国民一般の文化証教の向上が必宰快くべ
からぎるものであります。米英ほ従来我が国を8して非文明彗非文
化固と畦良し康たつたのでありまするが、頓申が皇宰の征く府ハワイ
に放て、とリタピyに於て、7二フに放て、粁又マレーに放て′完膚な
き迄にぜ破せられましたやうに、文化の髄切に於きましてもÅに日本
の直カと拘創性を哲洩して彼等に日にものみせてやらうではありませ
んか。
 今次大泉亜戦争は箪串的にも、政治的にも、大東屯所秩序、世界新
排斥の耗設戦やありま†恥これを文化の分野に撃Lみましても、8
本女化を中心としまする大丈菰新文化、世界新文化の仙慧訊敬でありま
す0否むしろこの思慮放、文化捷乾軌を完全に悦ひ抜くことこそ板木
的なm超でありまして、これに上り蛤ぬて革新的、政治的、群済的な
る新秩序の変乱が花を嘆かせ、耳を撃ヤことが出水るのであります。
この忠味に於きまして、我れは政治の分野に放きましても、確靖の分時
に放き甘L⊂も、】億捜海軍の取鳥篭勒を韓粥しなければならないの
ヽノ

′\
 でちb士†るが、些に文化の餅h竣に蛤きまして凡ゆる変化カセ虎加持
Lてこの巧かしき払読物埠の武雄たらしめると同時にÅに甘木酌なる
−へらかにして鞋かな文化が、射出の全ての心の中に∴蓉みこんで、全掛
民が絆々として大牢虫捷設といふ艦史的大革業を完な†る桔の指針的
累弛む籍ふに必弊な国民文化逸軌を良閂して行かねげならないと存ず
るのであります中        (】月一手四日故な)