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大東亜戦争の意義とその使命 情報局総裁 谷正之

 茲に皇紀二千六百二年の新春を迎ゆるに当り謹んで聖寿の万歳を寿
ぎ奉ります。
 昨年十二月八日、畏くも米英両国にたいする、宣戦の御詔勅が渙発
されましてから、僅かに一ケ月足らず、その間、わが忠勇なる皇軍は
広茫幾千粁の太平洋上、海に、陸に、空に、赫々たる戦果を挙げて、
国威を中外に輝かしつゝあります。これ全く、御稜威の然らしむると
ころでありまして、たゞ/\感激にたへぬところであります。
 かくて帝国が、全力を尽してその完遂を期しつゝある大東亜戦争は
先づその緒戦において、世界を驚倒せしめ、大東亜新秩序の端緒、早
くも成る、の概を示してをります。
 この大勝利に直面し、この盛事に翼賛の機会を与へられたるわれわ
れが、光栄と、歓喜の念とに満つるも、また当然でありますが、しか
し、同時にわれ/\は、この歓喜とこの感激とを、常時その職域奉公
の実践に移して、各自がこれを、その生活の中に燃やしつゞけて行か
ねばならない。すなはち銃後一億の力が、一丸となつて燃え上つてゐ
る、この火の玉のごとき熱意と、団結とを永く維持し、屈せず撓ま
ず、万難を突破して、征戦目的の貫徹に邁進せねばならないのであり
ます。これがためには、われ/\が一人として洩れることなく、今次
大戦争の意義とその使命とについて、確固たる認識を持つことが、絶
対に肝要であります。この意味において、私は、新なる年の門出に当
り、皆様とともにこの点につき、更に認識を新にしたいと存ずるので
あります。
 いはゆる大東亜戦争といふ言葉の意味につきましては、昨年十二月
十三日、情報局から、「今次の対米英戦争は、支那事変をも含めて、こ
れを大東亜戦争と称ふことになつた。大東亜戦争とは、大東亜の新秩
序建設を目的とする戦争といふ意味であつて、戦争の遂行される地域
を、大東亜だけに限定するわけではない」といふ趣旨の発表をいたし
ましたが、このことは皆様もよく御記憶のことと思ひます。
 すなはち、これにより明かなるごとく、大東亜戦争は、大東亜にお
いて新なる秩序を建設せむがための戦争であり、従つてこの戦争は、
欧州における、独伊両国を中心としての欧州新秩序のための戦争と、
密接なる関係を有し、欧州新秩序の建設と相俟つて、世界新秩序建設
の上に、極めて重大な役割を有してゐるのであります。しかして、帝
国が世界に比類なき肇國の大理想を基本とし、陸海両軍無敵の実力を
背景として、新秩序建設に進みつゝある点において、今や、将来の世
界新秩序建設の上に、指導的な役割を有するに至つてゐるのでありま
す。
 新なる秩序を建設せんがためには、大東亜をして、旧秩序より解放
せしむるの肝要なるは申すまでもありません。この意味において、欧
米依存、排日抗日の支那を、その旧套より蝉脱せしめて、帝国と善隣
友好、共存共栄、支那本来の姿に還元せしめんがため、すでに多大
なる努力をはらひ来つた支那事変は、今次大東亜戦争の準備戦たりし
ことにおいて、新なる意義を加ふると同時に、当然、大東亜戦争に発
展帰一するものであります。また間接には、満洲事変はもとより、日
清日露の両役といへども、この大東亜戦争と密接なる歴史的の連関を
有するものであります。
 顧みれば明治維新の偉業も、またその後の数十年にわたる東洋平和
のための努力も、否帝国自身の存立すらも、米英の飽くことなき東洋
制覇の野望のため、また帝国を屈服せしめんとしたる彼等の態度の為
め、正に累卵の危きに瀕したる一刹那、畏くも宣戦の御詔勅は渙発せ
られ、大命一下、破邪顕正の剣は鞘を払ひ、勇猛果敢皇軍の向ふとこ
ろ、天佑神助随所に起り、ハワイに、マレーに、香港に、比島に、ま
た支那大陸に、米英多年の覇権はすでに覆され、今や、大東亜はおほ
むねその本然の姿に帰りつゝあるのであります。
 すなはち、満洲国及び中華民国が、帝国と一徳一心の誓ます/\鞏
固なるはもとより、新に盟約を結んだ泰国もまた、アジア人のための
アジアを叫んで、支那残存政権の反省を促し、他方、米英後退の晩鐘
と、大東亜黎明の暁鐘とは相錯綜し、宗教の相違、人種のいかんを問
はず、全世界人類の深き反省を促してゐる有様であります。
 しかしながら、執拗なる米英両国は、その歴史にも鑑み、今後その
太平洋における敗残の余勢を糾合して、我にたいする反撃の機会を窺
ふのみならず、進んで、大東亜戦争に関係なく、かへつて将来、大東
亜共栄圏との間に有無相通じ、共存共栄の実を挙げ得べき中立諸国を
も誘引せんとするなど、我にたいし、種々の対抗策を講ずべきは、想
像に難からぬ処であります。もとより、これ等中立諸国においては、
わが大東亜戦争の目的が、ひたすら大東亜の共栄をはかり、ひいて、
世界の共栄に寄与せんとするに在ることを、とくと諒解するとともに
すでに太平洋の覇権を喪失したる米英の実力と、他国を犠牲として、
恬然顧みざる彼等の従来の実跡とに深く思をいたし、あくまで自主独
立、賢明にして堂々たる態度を持すべきを、疑はぬ次第でありますが
策動至らざるなき米英の使嗾に乗ぜられ、万一中立国たるの地位を捨
て、戦争の渦中に投ずるがごときものあらむか、これに伴ひ、わが戦
争遂行の地域もまた、大東亜に限定し得ざるは理の当然といはねばな
りません。
 かくのごとく、大東亜戦争は、わが民族の死活、従つて、大東亜諸
民族の運命を決定すべき、世界的意義を有し、雄渾無比の大建設を目
的とするものでありまして、すでに大詔の下、わが民族は死中活を得、
大東亜建設の前提たる米英勢力の撃攘は、その緒に就いた次第であり
ますが、来るべき大建設こそは、わが大和民族の一大試練を求むるも
のであります。
 すなはち、米英の反撃は、今後あらゆる方面にたいし、執劫にくり
かへさるべきは当然であり、殊にわが思想界、及び経済金融界等に働
きかけ、国論の分裂を企図し、安価なる妥協を以て、大東亜建設の大
業を中道にして挫折せしめ、以てわが帝国をして、昨年十二月八日以
前の、戦慄すべき米英依存の状態に、復帰せしむと試むべきことは、
容易に想像せらるゝところであります。
 かゝる場合に際会し、わが帝国がよく、政治に、経済に、文化に、
東亜の諸民族を、過去幾十年にわたる米英の隷属的地位より解放し、
大東亜の新天地に、肇國以来の大理想を顕現し得るや否やは、一に懸
つて、一億同胞の心構へ、及び今後の錬成に存するのであります。す
なはち、われ/\が一人々々、常に今次大戦争の意義と、その使命と
に透徹すると同時に、この大業翼賛にふさはしき、偉大なる精神力と
強靱なる体力とを、有するや否やに懸つてゐるのであります。
 言ひかへれば、本戦争完遂のためには、われ/\各自が、世界の歴
史的大勢を達観して惑はざる聡明さと、他民族を率ゐるに足る徳の力
と、さらに、万難に打克つ強健なる体力とを有することが、絶対に必
要なのであります。この際、わが同胞全部が、いかなる職域にあるを
問はず、精神的自覚を旺盛にするは勿論、体力的にも強く更生するの
要、切なるものがあります。 
 この意味におきまして、私は昔からその国の将来を知らむと欲せば
その青年を見よ、その子を知らむと欲せば、その母を見よといはれて
をりますごとく、この際特に、わが国の青年諸君と、その母上たちの
奮起を希望してやまない次第であります。
 すでに、大詔の渙発により、一億同胞は、妖雲を排して天日を望む
がごとく、心気清朗、勇気百倍、何事か成らざらんやの心境に一変し
たのであります。この心境を以て、永く各自の心境とし、國體の本源
に則して各自の徳性を磨き、御鏡のごとき叡智と、御玉のごとき仁徳
と、御剣のごとき強靱とを以て、大東亜諸民族の盟主となり、これと
共栄の実を挙げますならば、米英その他の妨害も、やがて雲散霧消し
て、天空開豁なる大東亜共栄圏の出現を見、延いて大東亜をして、新
しき世界の中心たらしむるの日も、遠きにあらざるベし、と信ずるも
のであります。
 静かに眼を放てば、わが帝国の南方には、万里の波濤を隔てゝ大小
幾千の島々あり、そこには無限の宝庫と、無限の機会とが、わが民族
の飛躍を待つものゝごとくであります。一億同胞は、かゝる聖代に生
を享け、この民族的飛躍の機会に際会せることを、深く光栄とし、且
つ幸福とすると同時に、いよ/\その責任の重大なるに、襟を正し、
天恩の限りなきに、酬ひ奉らんことを期すべきであります。

                       (一月六日放送)