海運人に愬ふ 逓信大臣 村田省蔵
海を刺する老は世界を刺すといはれてゐる.太陽の没せぎる図とし
て久しい聞世界に閤を喝へてゐた大爽靖園の興際が、その場大なる海
軍力と商船除とによつてから得られたものであることはいふまでもな
いところである.四面に海を項らし、茶幽南中瀬に跨り贋犬なろ抱揖
地を搾するイギリスにとつてほ.この海軍力と商船隙とが他生である
ことは、同家の存立竣屁に必嬰快くペからぎ・り支杭である.この二つ
の支蛙の何れか一方が打ち砕かれた時には、澱早や大英節南といふも
のは没落の】壌を辿るの外はないのである.
今次の欺榊戦撃に於いてイギリス例の秋色が扇いことは御承知のと
ほりで、今後イギリスが果して楠軸開例の攻準に封杭Lて行けるかど
うか.種々の万両から山喝湖せられるのであるが、こ九はやはりイギリ
スの海軍力と衝粁除とが、触在であろか杏かによつて決せられるとい
つても過言でないと思ふ。海軍力の憫鼠は暫く椅いて商船隙、すなは
ち海藻の方面上り眺めれば.今日、イギリスは非常なる危健に直行し
てゐるものと見られるのであろ。一関戦前に於ける英瀦覿の鮮職何湘盤
は二千首苫噸飴りあ′/たのであつて、開放後、ノルウェー、オランダ
ギガyヤ、フヲyス等の働瀬をその手中に点き集めるとともに、前周
の欺珊大敵の解放に虎み、ドイツ仰の組商破壊職に備へて若から楷
故を和み、軍賦によつて護送する集囲痩迭制度む丈施して、海上碗迭
の相伴に懸命の努力を硬けてゐるのであるが、ドイツ即の済水煙や爆
撃機や水上経験の問雛に意地して、既に六、七男鹿嘲り賠舶が海底の
韻潜となり、先月中に撃沈ざれたものぽかりでも、ギリシャ方面の水
城に於いて四十瓦嘲、その他の水城に於いて入†萬嘲、合計百二十甫
頓に上るといはれてゐるのである.かやぅに小田に於いて舶陽の確地
盤が急激に減少して行くぼかりでなく、他面に於いては報頗題庖制度
による漑凝、多澱の舶鮒が同時に油に付入する績め荷物のあげおろし
に手間取り、舶悔ヰは析足の一裔混い楷に逮堆を合はせて行かねばな
らず、しかも従来手放かな散剤大陸粥吼から仰いでゐた物衆まで温く
西年増の話園や、インド、憤洲万両から遊ばねばならないこととなつ
て、櫻瀬舶率が低下したことや、旅逮航離が速くなつたこと、また燈
火管制の満め夜潤滑役潮潮来ないこと.絶や治漑断の施設が破塊され
たこと確史相沢つて、一潜船堀の不足を憮刻ならしめ、その枯架革帯
晶や食糧の輸入に離酎を嫉たし、非常な苦境に佑つてゐることは宜し
想傾に難くないところである.
イギリスに絶大の好意を帯すろアメリカ合衆園は、窮邑エ一首.武糠黛
粥洩寮を可決し、七十億邦といふ特別禽計としては.前例のない尤大
な憤激を通過せしめ、金に織目をつけず、自ら民鼓竜卒園家の兵稗廠
と倒して、幣英傑働に粥起となつてゐるのであるが、アメリカにどの
やぅに物針が盤冴であり、絆山の武堆が製赦せられたとしても、単に
そればかりで打♯に青いた餅も同群で卦つて、これが大西洋を渡つて、
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緒‡にイギリスに送り届けられなければ、意味をなさないのである.
イギリスの苦境を見て堪り粂ねたアメリカは、軍粧を果つたり商船を
放つたり、また海上輸蓮の櫛架女川「る岱め、最近哨沼隈域の躾張、
つまりγメリカの海軍力で海卜影拡仙1てやるといふことを塩害寸る
ところまできたのである.いふまでもなくこれはアメリカが歩数の方
向にさらに一歩汝寄つたのであつて、いまや海卜放逸の阿包、いひ換
ふれば海報圃悩を耗つて、イギリスは環後の土硬場に迫ひ拝められ、
アメリカは参戦の危機に腕り立てられつハあるものといふべきで、青
々ほいまさらながら海藻といふものが、同家の安危に如何に充大なる
関係を有ナるかといふことについて、生きた梁例を日の営り見せつけ
られたわけである。
排つて我が開に於いてはどうであるか、未曾有の笠大時局に海南し
てゐる今日、その地理的條件から見(、海運が如何に濁大なる役割を
荷つて立つものであるかは、‡に】般の想條以上のものがあるのであ
る.大陸に兵を纏めるのにも、弗攻囲内の染渡を湘致するものに先立
つものは海寝である.薦革の原動力たる石盤や鍼鉄石にしても.熊武
生活の黎素たる米や楚に放しても、料に地下に在り、産地に雀る、と
いふだけでは何等の用も流さす、必笹な場所に蓮ばれてはじめて物資
未来の敷用を攣拝しねうちがでてくるのである。すなはちここに海上
砕幾の定率牲があろのであつて、我々が今崩を挙げて邁進してゐる、
高鼓周防商家の建設を目標とする生箆力横売計萱の建行も、自給自足
の禁漁制の確立も、先づ海上放逸といふ閑職を解決しなければ、親
睦にその朱規を見ることができないのである.それで昨年までは民聞
畳mの革衝強化を材るとともに、新治建造の促進.外国瀦の購入及び
傭人、配船の合理化琴瑞塩渦穣両様の糖腹槻売方嫌を甘施して、略ヱ
所期の成果む収め得たのであるが、本年度に入りましては、五平物朱
捺染長の急激な堵加と、これが愉確に普るペき柑性史の激洪とにユつ
て、海上掛幾力は著ろしく、緊沖を告げて歩つたのである。すなはち
本年鹿又黎物資の海上除逸丑は生藷力挿充打者の強化、屠報の触入不
能による鏡石ポ敦等の嵩高な物キヘの敷堵、外米の取入糖加等に一つ
て、昨年既に比し少くとも】刺程度の増加は必至と認められるのであ
るが、一方、結膜は新治賠の増加を見たるにも係らず、外南僻胎の馨
るしき河少、故線嫌犬に伴ふ軍帝品取漁の坤加等を考鹿すれば、民帝
に兼営し得べき糖腹は柏嘗丑の液少たなつてゐるのである.
かくて睡蓮†ペき物資と、これが愉逸に昔るヾき楷隠との不均衡は
著るしく堵大し、年間を漁じ多丑の秋板不能を甘頻せらるるのであつ
て、四月、五月の雨月に於ける腑係官鹿上りの雀密牧牛漁逸申求旦に
射し・柏常貴の按延または側減を飴観れくせられたことほ、既に新糊
等により卸諌知のことと存ずる.
政府と致しては、かかる‡態に材應する摘め、触媒稚充の世久万艶
を併しエーるとともに、差普勺本年辟に於ける栗平物資の特急荒盤を目
致ししして、緊急措辞し得べき尚施雄の強化とこれが†施に普つてゐる
のである.その触髄の救項について申妨へれば
その一は新造胎の注進促進であつて、戎延髄行中の糖舶に#し、斬
酵の資材.労力、簸び軌力等を算盤主単的に配給し得らるるやう銃♯
努力してゐる.
その二は外欄船腹の確倖である.外国船に射しては.世泉各世のZ
に物凄き雫帝政が行はれてゐて、現在これを牲得†るには、‡†塵搬
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な‡何にあるが、あらゆる手僚を軸Lてこれが確保に努力を沸つてゐ
るのでlる.
その≡は現有確腹の活用である.資材及び努力不尽の現偶に漑らし
て、.現存船佐を能ふ限り馳卒的に利用してその凛舶能力を教材せしめ
ることは、政府として澱もカを払いでゐるところであるが、さらに現
在の鞋渾統制血蔦を徹底強化し、本格的なる計黎和船を行ひ、我が堵
楷瀬の貴槻能を土市正に牽挿し侍らるべき絶倒が既に弄成し、また今
日まで輸耗牌湘として、比較的輌祝されてを〜、而も興宮なる愉幾刈
を持つてゐる渉帆船の捜制を♯倫郷化して、その活用を計ること等・
各般の方架につき具雄化してゐるのであろ.
その四は推滑河笹力の糖強と、海性脈脇の凧柵化により・船舶の過
槻卒を特大することであつて、腑が和上む発つてゐる時間と、椎に碇
泊してゐる時打とは和牛ば†る井偶であるから、偵りに碇泊時間を一
剣短縮†ることが出来るとすれば、たちどころに汝†帯咽の撫幾力を
増加する頼果となるので、駐久施設の搬充上りはやろ現在の捲柄故事
に東鮎を甘いて、官能耕教の簡易化.好運蓮カの椅准、ウrの他欝施
世の運用につき、急遜なる改良方策を施し.,しれが具現に昔つてゐる
次第であるD
その五は党期楷を不澄期糖に払換へて、配糖の合邦化をさらに堵醸
すろことであるごJれは緊迫せる串態に斯虎する績めに、放逸物薮に
詫鮎主義を採用する似卜己むを和ないことと存ずる.きらに安和賠は
そのいはゆる定期に杓氾することなく、荷物の諜少なろ碇河瀬の省略
等も常々丈行して入る.そのつ訂は入輿の称蛙〔であるが、船舶の宅
淑または臨時の瞼査ほ粁舶の安全を椰保するに敏くへからざるもわで
はあるか、これもその鍵鹿如何を考慮して、暗舵の安全に支ヰ♯寡
少限度に止め、船舶の利用のや犬を計るとともに、他方楷喪を新盤悼
または銭縛楷エ耕の能率向上を念鹿したのである.舟頻に柳井の甘材
を命如したのであつて、柑棋槻木等については現下何れも胎鍵♯辞の
場合なるを似て.海運業者に於いては採算上如何と恩ほれる筋舶の♯
入、傭船も多々あるので、政府がこれが補撫頼を増崩することにした
のであろ。
以上は本年度に放ける悪事物考喩遠野米の概襲であるが.これ等諸
掛紫は現下の緊迫せる内外の状妙に鑑みて、一刻も掛漁し得ざるもの
と汲められるので、粥係官良初め各方面の革者の協力を得て、既にt
行に移して居るのであるが、そのはか交抑輸盤といつて、相互に貨物
が京頼鞭為されてゐるものの紡泡、近いところのも∂で間に合ふのに
態・撞拒敵よりすろ輸逸の親正、何等桃側なき榊油状懐の私横化等は、
舵舶節約の上に薯るしき教果があるので、これ時の鮎につき各方面の
業者し封し、→段の協力を牛凾オてゐる次鴇¢ある.
以J滅べましたところにより世界の大槻換和に略し、海濫の持つU
犬なる役割と、これが使命地成に感命の努力を沸つてゐることは.略
土御‖訳解軌へたかと存ずる.而Lて私がここに憩へたいと思ふのは、
特に海藻人に勤してであろ.私は徒らに時局の源大性を叫翻して鴇君
の郡起キ促さんとするものではない.鶉君の時局に射する馳弛は庇に
故に潔いのであろ.各位が瀕襲勃襲出水企発寒としてほ自滅自瀬、あ
らゆる尉家の坤帯に麒へ、船員としては鞋となく夜となく歎々として
粁舶の窪銑、確舵の教鞭に厳命の努力を排はれてゐることは、眈拉熟
知してゐるところである.知つてなほこの上の智魁を担ゆる所以のも
(9)
闊
のは、海運.ハ生電力娼充の上に最も電大なる蚕業たるがゆゑである.
我等が閥を挙げてその鐘設に邁進しっづある閑防絢家膣制も、鈷琵力
の槻罪伴ずしては秦珊峯徐に終るのである。我埠は今、資材を英米に
仰ぐを断念したのである.東魂の天地に於いてあらゆるものの自給自
足を雑することを決心し、いまやしやにむにその盤域の途に上¢づつ
あるのである。すなはち本年は之に酎脛する環め、讃産共の大綿威容
をなすべく、その節一歩む踏み出したのである。戊にこの一年が平時
の五十年にも欝年にも相常する大切なる時麟であるがゆゑに、国家興
隙の推進力ともいふペき我が海藍が、菖一にもその槻離に障害が起き、
定率物資の輪選に支障を来した場合には、如何なることになるのであ
らうか、膿盲の大桑たる支那事艶の鹿理も、斯秩序の建設もたうてい
その目的を撞せられないことはもちろん隆々たる髭畏途上にある鼻祓
の前途に由々しき椿果を招来することは、敢へて喋々を黎さない.海
運業者といはず、船員といほず、海藻人としての純君の磯窟には、均
しく閑寂の夏大なる鞋命が懸けられてゐるのである。詫欝の賛毅の歪
且つ大なることを私論せらるるはもとより、耗繋がこれに無上の光螢
と牧喜とを準えて、この迫迫せる時局下に仮令一噸にても多く、仮令
一分時にても早く、資金に物資を取逢して、以て嗣衆目的達成の推進
力として蔽ヱ革盈の決意を堅くせらるることは、私の確く信じて疑は
ないととろである.
以上私は主として海運人に掛し、屯人的の努力を率楷したのである
が、物資の弼滑なる散逸は、絹り海淫人のカのみにできるものでない
のはいふまでもないのであつて、荷主なり漁船革者なり、椎灘内の璃
蕾叩なゎ.また睦上費脾体者など、直♯脚耗梅私に粥係ある方々性
もちろん尻く富農の協力を得て、この至難なる使命の速成を庶稚した
く、切に御支援を念願する次第である。 ハ五月十三日放送レ