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土曜放送

 情報と宣伝  情報局総裁 伊藤述史

 情報局は御承知の通り昨年の十二月に設けられ、国家の情報、宣伝
を掌ることと相成りました。この機会に我々はなにをするのかと云ふ
ことをお話し致します。
 国家総力戦と云ふことを提唱して有名なルーデンドルフと云ふ将軍
は「総力戦に於ける軍の強弱は国民の健康、物質的及び精神的強弱に
よつて支配される。就中精神力は非常な長期に亙る戦争に際し、国民
の団結力を与へるものであり、この団結はまた国家存亡の為めに行ふ
この種戦争に最後の決を与へるものである。」と断じてをります。
 我が国はいま明治御一新と並ぶべき重大な時局に立つてゐるのであ
りまして、この時局を突破し得まするか否かは、我が国の将来を卜す
るものでありまして、その成否は全く懸つて国民の精神力如何、国民
の団結力如何にあると申して過言ではありません。
 情報局が新らたに設けられましたのはこの国民の精神力を昂め、国
民の団結力を強める趣旨に出でたものであります。
 情報や宣伝と云ふことにつきましては、世上ではいろいろに解釈さ
れ、また考へられてをりますが、私共情報局の任務は我が国の肇國の
精神を国民に徹底し、またこれを世界に対して明らかにすることがそ
の基本でなければならぬと信ずるものであります。我が肇國の精神は
これを平易に申せば、陛下の知ろしめす国、即ち日本が永久に隆盛に
なり万民がその処を得るのが我が国の国本であり、我が国の国策の根
本義であります。これとともにこの精神を世界におしひろめまして、
全世界をも恰も一家の中のやうに悉くその処を得しむる楽土とするこ
とが即ち「八紘を掩ひて宇と為さむ」と云ふ神武御創業の御聖旨であ
りまして、これが我が肇國以来の国策の大方針を為すものであらうと
存じます。従ひまして、我が国におきまして情報宣伝の根本方針もま
たこの大方針に基づくものであり、またこれ以外に出るものではない
のであります。
 情報局は国策に関する情報、報道と宣伝を掌るものでありまして、
その対象となりますものは新聞であり、出版物であり、放送であり、
また国民の士気を昂め、国民の精神を健全且つ明朗にし、真に剛健且
つ清新なる国民気風を養ふ為め、これに関聯の多い映画、音楽、演劇、
演芸につきましても、国策的見地からこれを助長し、指導することに
なつてをります。仕事の方向から分ちますと、対内、対外の二つにな
つてをります。
 まづ情報につきましては政府がしつかりした政策を樹ててこれを押
し進めるには国内、国際の情勢を十分詳かにしてゐる必要があります。
殊に今日の複雑した世界の状態の下におきましては、我が国としては
絶えず国際情勢を研究し、常に誤りのない見透しをつけなければなら
ないのであります。
 つぎに報道につきましては、先に申しました基本方針に則りまして
常に政府は国民各位に対し皇國の進むべき道をハツキリと示しまする
と同時に、政府の方針や考へを十分に一般に徹底致しまして、その理
解と納得を得たいと存じます。情報局と致しましては今後あらゆる手
段、あらゆる機会を用ひまして、この方面に努力いたしたい所存であ
ります。
 外国に対する関係におきましては、その時に依り、場合に応じ、方
法や内容に変化がありましても、その基本とするところはあくまでも
我が建国の崇高なる理想、我が国策の真意の理解徹底を図りますると
同時に、我が国の真実の姿を示してその認識を深めること以外には何
物もないと存じます。
 この放送につきましても、一方国策の普及徹底を図ることに努めま
すると同時に、他方国外情勢、国内情勢を明らかに致したいと存じま
す。また外に対しましては、海外放送に依りまして我が国の真意主張
を十分に反映する所存であります。
 時局はいま国民が、その全能力を発揮すべきことを要求してゐるも
のでありますが、しかし人間も二十四時間中緊張を継続して行くこと
は不可能であります。国民にしても偉大な活動をしようと致しますに
は、その情操を養ひ、心にゆとりを持ちそれで始めて沈着冷静且つ大
胆に、国家の前途を切り開いて行けるのでは無いかと考へます。茲に
慰安や休息と云ふことが、時局下に於て国家的に重要性を有する所以
でありまして、今日に於いては、特に国民一人一人が明かるく朗かな
気持を以て胸を張り、頭を挙げて、勇ましく日々の御奉公をして行く
ことが最も必要であります。
 国民精神の昂揚と、国家総力の発揮に協力することを使命とする情
報局と致しまして、国策の遂行の為め映画、音楽、演劇、演芸の協力
を求めまする所以も茲にあるのでありまして、私共はこれらを通じま
して国民精神の昂揚、国民感情の高潮を図らうとする考へでゐる次第
であります。
 この放送に於きましても、私共は一面国策伝達の機関としてその機
能を十分発揮させますと同時に、娯楽慰安放送につきましては出来る
だけ、明かるく、楽しくし、且つこれを家庭的なものと致すことに力を
協せまして、放送が国民の士気を鼓舞し、現在我が国の直面してゐる
難局を突破する為め、国民一人一人が勇んで各々その職域の御奉公を
するやうに努力致したいと存じます。各位におかれましても、私ども
の考へてゐるところを諒解せられまして、放送に対し忌憚なき御意見、
御希望を述べられたいのであります。

                         (二月十五日放送)