平漢沿線の
都市を観る

　平漢線は北平と漠口をつ
なぐ鉄道で、津浦線、即ち
天津と南京の対岸浦口をつ
なぐ鉄道と共に、中部支那
と北支那とを連絡する大動
脈である。随つて沿線の都市が軍事上交通上或は商業上いろい
ろの意味で重要視される事はいふまでもない。
　さてこの平漢線に乗つて北平を出発し南へ向つて進み始める
と、まづ約十哩にして蘆溝橋畔に着く。今回の北支事変の発瑞
をなした支那側が演習中の我軍に向つて不法射撃の火蓋を切つ
た地点、この蘆溝橋の町は今は宛平県城となつて居る。平漢鉄
道は始め蘆漢鉄路と称したのであるがそれはこの鉄道が敷設さ
れた当時神聖な王城の地北京に、夷狄即ち外国人の手になる鉄
道の侵入は許し難いとして北京郊外のこの地を起点としたから
である。ここから分れて北寧線の豊台に連絡する線があり、又

北中城をめぐる頭状組も連なつてまことに四通八達の要衝であ る．永定河の上にかけられた馨猿橋は約七草二十年前に作られ たもの、その長さ六石ニハ十尺、全部御影石から成りマルコポー 。の改行記にもある関係から外人は之をマルコポーロ椿と呼ん で居る． たく更に南へ向へばやがて長辛店に達するが、更に列車を進めて 泳州へ向はう．漆州は北千の西南約四十哩の地鮎にあり、この 地は支部人の最も崇拝してゐる膏帝が、四千年前に都とした虚 城の塩は頗る壮大を極め其の局留は約四哩で明の時代に作られ たもの、城内には入口ニ萬飴を有し商業の地であると共に最も 古くから溌多の取壊をもつて居少、わけても三岡史で名高い昭 烈帝瑚渦物故郷である．最簸では率直戦常時現在の繚壌省政府 主席侍作義が山西軍の寡兵を以つてこの城に立て寵す、奉天軍 の大兵と哉つて敷箇月問龍城した事で有名になつてゐる．
泳州へ向はう。漆州は北千の西南約四十哩の地鮎にあり、この
地は支部人の最も崇拝してゐる膏帝が、四千年前に都とした虚
城の塩は頗る壮大を極め其の局留は約四哩で明の時代に作られ
たもの、城内には入口ニ萬飴を有し商業の地であると共に最も
古くから溌多の取壊をもつて居少、わけても三岡史で名高い昭
烈帝瑚渦物故郷である．最簸では率直戦常時現在の繚壌省政府
主席侍作義が山西軍の寡兵を以つてこの城に立て寵す、奉天軍
の大兵と哉つて敷箇月問龍城した事で有名になつてゐる．
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　　　　　　　　　　　かうひ　てん
　この漆州から甫すると高碑店がある．前敵指揮司令部を想い
たと音はれる虚で北乎から西南五十二哩の地鮎に常り、昔燕、
適所園の国境に首つてゐたため、この地に燕南鵡北ハ燕の南部
で鵡の北部に首る）の四文字を大きく刻んだ高い碑が立つてゐ
た虚からその高碑店の名が起つたのである。こゝから西へ分れ
　りヤ’かくさ’　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　えきL，
て良各荘へ向ふ支線があり、その途中に易州といふ鹿がある・
この易州の南を流れる易水は、例の『風粛々として易水蜜く、
壮士一度び去つて又逼らす』の有名な歌を逝した虚である0
（1S）

　高碑店から更に南下すること三十入哩即ち北千から九十咄の
地鮎に保定がある．保見は平漠滑線の最も大きな都合で、聯は
城から飴程離れて居る．この地は河北描赫維隷省と呼ばれてゐ
た頃の省の首府で直裁総督街門以下の籍官街が皆この地にあつ
たが、有名な李鴻章が直井紙督となつた時に天津とこの地の二
つを以つて首府と定め、絶督はこの両方に代る代る駄裁したが
艮圃革命後は専ら天津を首府とした．しかし只今では再びその
保定が省政府の朗衣地となつて居る．人口約二十六高、北平、
天秤に次ぐ大都合で、周囲約四哩の城壁をめぐらし門は四つあ
つて、各門に通する大通りを中心た毅然たる都市である．又そ
の地には徒爽から保定軍官畢校を初め、陸軍の緒単校や兵営等
があつて、軍事上から見ても叉政治上から見ても重要な都市で
ある．
　この保定の西南更に約七十哩、北千から首六十哩の地鮎に正
定があり、人口は約五萌、穀顆、石茨、鋏等の物産集散地であ
るため商業は頗る盛んである．
　澱後に北上した中央軍の絶司令部が密かれたと音はれる右京
荘は正安野むさる約十二哩の朗にあり、山西省の首府太原に通
ザるいはゆる正太錬路の超鮎となつてゐる．こ・の地は正太線敷
設のために開かれた新開市であるから支那の都合に特有な城壁
がなく、新興の気分に燃えてゐる都合である．正太線の開通に
ょ・つて滑繰の物資をここに吸集すると共に、天津漠口方面から
麟道で造られてくる諾雑貨や綿糸布等を正太線によつて、山西
省及び梁古地方忙途り出すとい■ふ一大集散市場であつて、北支
那の尊顔と共に将非経済的にも有望な一大市場と見られてゐる
虚である．ハ七月三十日放蓮）