明治大帝と昭憲皇太后   枢密顧問官子爵 石黒忠悳

 

     万民の鑑、後世の範

 

 明治二十七八年戦役の際、私は乏しきを野戦衛生長官に奉じ、凡そ一箇年の間、廣島大本営
に於て、明治大帝に咫尺し奉るの光栄を得た。
 その一年間に於て、日々御側に出て、拝見し拝聞して、誠に恐懼に堪へず、又感激に堪へな
かつたことが沢山ある。