国史概説 上 文部省 1943.1.18印刷 1.20発行 7.15修正発行 ¥3.00

御歴代表

目次

緒論

我が國體     国土    国民    国民性    文化    国史の時代区分

第一篇   上 世

概観

第一章    肇國

第一節    肇國の宏遠

神代の伝承    天地開闢    修理固成    天照大神    国土の奉献    皇孫降臨

第二節    神武天皇の天業恢弘

御東征  奠都の大詔と即位  御治績  御敬神と祭政一致  後代の欽仰

第二章  皇威の発展

第一節  神祗の崇敬

皇大神宮の鎮座  天社・国社の制  熱田神宮の鎮座  神威の赫耀  氏神

第二節  内治の振興

崇神天皇・垂仁天皇の治世  熊襲の帰順  東国の鎮定  諸皇子の分封と屯倉の設置  地方制度の刷新  仁徳天皇の御仁政  三蔵の分立

第三節  半島諸国の帰服

半島交通の起源  高句麗の発展と百済・新羅の興起  任那の求援 神功皇后の征韓  半島の形勢  日本府の消長  帰化人の移住

第四節  氏族制度

氏族の構成  部民  御子代部・御名代部  姓の制度  氏族の奉仕

第五節  文化の黎明と発達

祭祀と伝承  歌謡  生業  石器・土器  銅器  鉄器  勾玉その他の装身具  住宅  皇陵及び墳墓  埴輪  海外との文化交渉  工芸の発達  漢学の伝来  仏教の伝来

第三章  飛鳥時代と大化改新

第一節  聖徳太子の摂政

大臣・大連の擅恣  新羅の発展と隋の統一  太子の摂政  冠位の制定  憲法の制定  国史の編纂  仏教の興隆  民政

第二節  外交の刷新

新羅征討  高句麗との修交  遣隋使の派遣  唐の勃興と遣唐使  百済・高句麗の滅亡  半島撤兵と唐・新羅との復交

第三節  大化改新

蘇我氏の僭上とその誅殺  新政の根本精神  新政の発端  大化二年の大詔  官制の発布と冠位の制定  習俗の刷新  天智天皇の治政  天武天皇の御改革

第四節  律令の制定

律令の沿革  律令の制度  中央官制  地方制度  官位・封禄  学制  田制  税制  兵制  司法及び刑法  唐制との比較

第五節  飛鳥時代の文化

神祗の崇敬  仏教の摂取  学問の興隆  歌謡と歌舞の発達  宮殿建築の発達  美術工芸

第四章  奈良時代

第一節  平城京の建設

大化改新と都城の制  平城遷都  平城京の規模  東西市  寺院の建立

第二節  国運の隆昌

中央集権の政治  人材の登庸  藤原氏の擡頭  権勢の推移  僧侶と政治  土地の開発  鉱業の発達と銭貨の鋳造  国分寺の建立 大仏の鋳造  蝦夷地の経略  隼人の帰順と南東の内附

第三節 海外との交通

海外の情勢  日唐交通  新羅との関係  渤海の来貢  国家意識の発揚

第四節  奈良時代の文化

神代の回想  神祗の崇敬  記紀と風土記  和歌の隆盛  文化意識の勃興  仏教の興隆  仏教の国家的受容  儒学と漢文学  美術工芸の発達

第五章  平安時代

第一節  平安遷都

遷都の理由   長岡京の経営  平安遷都  桓武天皇の新政  蝦夷の平定

第二節  政治の変遷

蔵人所・検非違使庁の設置  藤原氏の権勢  関白の始  宇多天皇の御政治  延喜・天暦の治  後三条天皇の御政治  白川上皇の院政

第三節  海外との関係

唐との通交  遣唐使の廃止と唐の滅亡  新羅との関係  渤海との関係  宋・高麗との通交

第四節  社会状態及び経済生活

班田制の崩壊  荘園の発達  貴族の生活  生産の増進  商業の発達   貨幣の流通

第五節  武門の興起

豪族の発生  兵制の頽廃  荘園の武装  源平両氏  奥羽の両役  寺院と僧兵  保元の乱  平治の乱  清盛の栄達と擅恣  平氏の没落

第六節  平安時代の文化

神祗の祭祀  国史の撰修  仏教新宗派の興起  朝廷と仏教  浄土教の発達  陰陽道の盛行  修験道の成立  学館設立の流行  学問と漢詩文の発達  和歌・和文の隆盛  美術工芸の特色  建築  彫刻  絵画  工芸  書道  平安文化の日本的様相

 

第二編  中世

概観

第一章  鎌倉時代

第一節  朝廷と武家政治

一  朝政の推移

朝廷の権威  院政の継続  五摂家の成立  両統迭立  花園天皇の治世  後醍醐天皇の即位

二  武家政治の開始

武家政治の意義  武家政治の越権  源頼朝の経略  頼朝の家人統制策  義経追討と守護・地頭の設置  義経の末路と奥羽の平定  征夷大将軍の補任

第二節  鎌倉幕府の政治

一 幕府の職制

家職の拡大  侍所・政所・問注所  京都守護  鎮西奉行  奥羽奉行  守護  地頭

二 幕政の推移

頼家の補職と幕政の改革  実朝の補職  九条頼経の東下

三 承久の変

後鳥羽上皇の院政  承久の変  北條氏の暴戻  幕政の強化

四 北條氏の執権政治と貞永式目の制定

執権政治  評定衆・引付衆の設置  貞永式目  皇族将軍の擁立

第三節  元寇・国家意識の昂揚

一 元寇

蒙古の興起  蒙古の来牒  戦役の準備  文永の役  再寇に対する方策  元の再寇計画  弘安の役  役後の情勢

二 国家意識の昂揚

国家的自覚の甦生  元寇と神国意識の顕揚  国家意識の展開

第四節  武士社会・武士道及び経済状態

一 武士社会

封建的土地制度  地頭制の運用  我が封建制度の特質  一門主従の関係

二 武士道

武士道の淵源  主従の義  親子の情義  その他の徳目  武士の教養  武士道の歴史的意義

三 経済状態

産業  交通・運輸  座の発達  市の発達  外国貿易の盛況  貨幣の普及  金融業

第五節  鎌倉時代の文化

一 文化の特質

鎌倉文化の根原  文化の普及

二 神祗崇敬と神道

神祗の崇敬  神道思想

三 仏教新宗派の興起

旧宗派の新機運  新宗派の成立  浄土宗  真宗  時宗  禅宗  禅僧の来化と渡宋  日蓮宗  時代精神と新宗派

四 学問・文学

学問の興隆 有職故実 古典の研究 史学 宋学 文学研究 文学の特色 軍記物 和歌 説話集と紀行文・随筆 学問の地方伝播

五 美術工芸

時代の新傾向 建築 彫刻 絵画 書道 工芸

 

第二章 建武中興と吉野時代

第一節 建武中興とその精神

一 後醍醐天皇の新政と北條氏の滅亡

院政の廃止 天皇の御研学 人材の抜擢 幕府の失政 正中の変 元弘の変 勤皇諸臣の活躍 北條氏の滅亡

二 建武中興の精神

三 中興の新政

中興の政治機関 新政運用の困難 恩賞の困難 大義の晦迷

第二節 吉野時代

一 足利尊氏の叛逆

尊氏の野望 北條時行の乱と尊氏の東下 尊氏兄弟の西走 楠木正成の戦死 叡山行幸

二 吉野朝廷と勤皇諸臣の活動

吉野皇宮 新田義貞・北畠顕家の戦死 諸親王の御下向と諸国の忠臣

三 後村上天皇の即位

後醍醐天皇の崩御 北畠親房と神皇正統記 楠木正行の忠烈 足利氏の内訌と勤皇諸臣

四 長慶天皇の即位と後亀山天皇の京都還幸

長慶天皇の即位 後亀山天皇の京都還幸

五 吉野時代の精神

中興精神の顕揚 文学を通じての精神 吉野精神の復活

 

第三章 室町時代

第一節 室町幕府の政治

一 室町幕府の特質及び職制

幕府の特質 京都開府 幕府の職制 地方の職制

二 守護権力の拡大と荘園の崩壊

統制力の紊乱 足利氏の恩賞政策 守護権力の拡大 荘園制の崩壊

三 幕政の推移

義満・義持の公卿化とその栄華 将軍継嗣問題と義教 義教の失政と諸将の分裂 応仁の乱 群雄割拠への移行 幕府の衰勢

第二節 経済生活及び社会状態

一 産業

農業 林業 水産業 鉱業 工業

二 貨幣の流通と金融

貨幣の流通 金融業

三 商業

市の発達 座 楽市・楽座

四 交通

交通の状態 関所の濫設

五 都市の発達

都市発達の曙光 京都 奈良 鎌倉 小田原 堺 兵庫 博多・山口

六 庶民の擡頭

庶民の擡頭と徳政 庶民の集団運動 統治力の頽廃

第三節 対外関係

一 国民の海外発展

八幡船の活躍 琉球民の活動 朝鮮との関係

二 足利氏の対明外交と貿易

足利氏の対明外交 幕府の勘合貿易 大内氏の対明貿易

三 ヨーロッパ人の渡来

東西交通の発展 ヨーロッパ人の来航と火器の伝来 ポルトガル・イスパニヤとの貿易 基督教の伝来 基督教の伝道

第四節

一 神祇崇敬・神道及び和学

神祇の崇敬 伊勢神道 吉田神道の創唱 庶民の敬神 有職故実の研究 国史の研究 上世文学の研究

二 仏教の普及

旧仏教の動向 浄土宗の発展 真宗の発展 日蓮宗の盛衰 禅宗の消長

三 儒学の発展とその普及

京都の学統 儒学の発展 五山文学 儒学の普及

四 新興の国文学

和歌の沈滞と連歌の興隆 謡曲・狂言 御伽草子

五 美術工芸とその風尚

絵画の新傾向 新興の彫刻 建築の様式 工芸の発達

六 東山文化

文化の特色 作動と作庭 書画・名器の愛玩

第五節 群雄の割拠

一 戦国の群雄

戦国の世相 関東の形勢 北條氏の興起 武田・上杉両氏の争覇 東北の豪族 織田氏の崛起 中国の形勢 四国・九州の諸雄

二 群雄の地方政治

群雄の施政 群雄の法制

第六節 皇室と国民

一 皇位の相承と列聖の御仁慈

皇位の相承 御財政の式微 皇室の御仁慈

二 国民の忠誠

国民の尊皇 皇室の尊厳

(以上 上巻目次)

 

写真目次

皇大神宮 縄文式土器(甕形) 弥生式土器(壺形) 銅鐸(流水文・袈裟襷文) 甲冑(短甲・衡角形)と太刀(頭椎) 埴輪(武装男子・著裳女子) 法華義疏 天寿国曼陀羅 法隆寺全景 玉虫厨子 薬師寺東塔 法隆寺釈迦三尊像 薬師寺薬師三尊像 法隆寺金堂壁画 東大寺戒壇院四天王像(広目天) 東大寺法華堂月光菩薩像 唐招提寺金堂 東大寺大仏蓮瓣(條彫) 過去現在因果経 正倉院御物(琵琶・漆胡瓶・尺・金銅花形合子・双六局・彩絵箱) 薬師女神像 室生寺釈迦如来像 平等院鳳凰堂阿弥陀如来像 平等院鳳凰堂 源氏物語絵巻(竹河) 平家納経(厳王品) 空海筆蹟 藤原行成筆蹟 亀山天皇宸筆 慧安祈願開白文 蒙古襲来絵詞 東大寺南大門 円覚寺舎利殿 北野天神縁起絵巻 東大寺南大門金剛力士像 空也上人像 源頼朝画像 後醍醐天皇王道再興綸旨 護良親王御祈願状 楠木正成書状 雪舟筆夏冬山水図 能面(小面・般若) 慈照寺東求堂 後奈良天皇宸筆般若経

本書採録の写真は神宮司庁・帝室博物館より供与されたるもの及び日本文化大観編集会撮影に係るもの多数を含めり