第三七七号(昭一九・一・一二)
   本年の戦局展望          陸軍省報道部
   太平洋戦局の新展開        大本営海軍報道部
   国民徴用質疑応答(二)
戦時官吏服務令
   反枢軸外交の動向         外務省調査局
   大東亜戦争日誌

太平洋戦局の新展開
                  大本営海軍報道部
軽硯 を許 さ ぬ
敵 の 戦意戦力
  昨年十一月上旬のプーゲyビル鳥沖
 及び同下旬のギルパート諸島沖梅峯哉
 によつて、戦局はこ1に一大輔換をな
 すが如く期待されたのであつたが、敵
 の戦意戦力は些かも衷へた模様がな
 く一切の解決を昭和十九年に持ち鶴
 すに至つた.
  即ち敵は、ソロモソ方面で十月二十
 七日のモノ臨上陸以水、十}月十七日
  の第五次プーゲソビル践沖舵峯恥まで
 僅か二十二臼附に、戦艦六糞、茶化八
 隻をはじめ、概綿密に入十隻を弊沈
 破、飛行機五石ニニ十糠を撃墜放され、
−方、ギルパート方胡では、十一月二
 十九日の粛四次ギルパート諸鳥沖航室
戟まで十一日間に、峯母十一隻以下、
舵船l一十二隻撃沈破、飛行機首二十五
確率墜といふ大痛打を受けた虹も拘
 はらず、十二月三日には第六次プーゲ
 ソビル鳥沖航杢戦、同じく五日には
 マーシャル諸島沖舵峯戦が生起したの
 を始め、同十五日にはニューブザテソ
■島マーカス岬附近に、また二十六日に
は、グロースクー岬附近に突如、上陸
作戦を弛行し、海野長官ノックスは、
  「太平洋反攻作戦においては、準峠恥の時
 代は既に経つた。これから粒闘将の本格的
 な攻撃作馳が開始されるのであり、日本
 の急別に必ず大柿打を加へるだらう。我
 我は今や太平洋哉城において本椅的攻撃
 を開始するに十分な訓堵済みの兵員と軍
  雫品とを用意した。」
 と、僅々四十日間に艦船官l一十糞以上、
 飛行機七草二十七横以上といふ大惨敗
 を物ともせず、これを以てなほ且つ態
 備的段階であり、本格的作戦はこれか
 らであると豪語してゐるのである。
 プーゲンビル鳥トロキナ岬に足掛♪
 をつくつた敵が、向島を我が盛宴線轡フ
 バウル攻撃め跳躍姦だと栴して、盛ん
 に兵力の照付や飛行基地の拉設を怠ぐ
 とともに、マーカス、グロースター両
 方桝とも上位部隊の増援祁給に努めて
 ゐることは、ラバウル爆撃の強化とと
 もに倒知の通りであつて、同方面の敵
 梢の来襲延碑敷が、十一月の六千五官椴
 に封して十二月は約−万横に達してゐる
 事賓は、その作戦金岡を端的に物語るも
 のとして指摘されがければならない.
  他方、ギルパート諸良方面でも、ク
 ラワ、マキソ綱島を基地化Lた敵は、
 マーシャル諸氏方南に反攻の磯子を伸
 ばして、その来襲枚数と回数は、牛あら
 たまると共にますく増加の傾向にあ
 り、敵鼓近の反攻は、その宜倖攻勢と
 共にいよ〈積極化する状況であつ
 て.その戦血色戦力は断じて軽縄する
 彰い許さない。





  正しく敵故近の反攻は、我が大東正
 建設に焦廠すると同時に、生霹力の上
 昇鮎に達した現森、我が凱略要線に封
 して本格的な同時作戦を開始したもの
 であつて、その世界に呼乾する大成杢
 兵力を展関するための基地を確保推進

すべく、ソロモソ方面の戦局がいよい
ょ解卒基地争奪戦を中核として機烈と
なり、ギルパート方面の戦局が、ノッ
 クスが
 「マーシ十ル、カロリソ等の内南洋を経
 て、耗抜H本本土の攻略を呂指す新攻勢
 の閂始を滋味するものだし
と満言するやうに、ますく激化の一
途を辿るであらうことは、火を括るよ
りも瞭らかである。
 しかしながら我々は、敵の反攻はこ
の方南ばかりであるといふが如き近硯
眼的錯優に陥つてはならない。内線作
戦の戦略的優位に立つ和が大東出国
が、如何に墜縮し難いものであるか
は、敵の鰐事専門家が口を揃へて論断
してゐるところであり、現にルーズヴェ
 ル1自身、
 「大丸舶糊は締域の包図録であり、これを
 突破するためには毀ケ所で速績的に攻撃
 を加へなければならぬ」
と台白してゐるやうに、その突破作戦
の困難性を滋もよく知つてゐるのは敵

 自身である.
  従つて、ソロモソ、ギルパート作戦も
 敵の絶反攻の一環として把捉せねばな
 らぬのであつて、近電によれば、化演
 アリユーシャソ方面には、滋距、上睦作
 戦用と思はれる特殊部保や、舵健、軍
 需品がアラスカ公路を滋大蛇に利用し
 て集結中であると倖へられ、さらに皇
 た我が東方洋上には依然として有力な
 敵構動部隊が遊ぺしてをり、或ひは
 ビルマの食回を企周するマウント.ハッ
 チy、または我が本土曝撃を姐ふ鹿支
 米峯軍の増襲撃、敵の絶反攻は、太平
 洋の仝水域を畢げて山水竹に流行される
 ものと僚悟せねばたらぬのである.
 最近、太平洋墟隊司令民小卜こミッツは、
  「我々は飛行機や軍艦で日・パキ・ペ攣する
  のみでなく、直接、日本本土に笹紘を揚
  陸せねばならぬ一
 とH黎言を吐き、軍事汁論家また
  r甘木攻撃の主作戦は本土攻撃にある(
  その他の作血戦はすべて抄祢節作仙軌で一のるJ

  と執拗に我が本土攻撃を鵜つてゐるや
  うであるが、それと同時に、和が浦方
  賛瀕地帯との動脈である海上祁給路の
  筋寄速断工作をますく槻大せんと企
  閤してゐる音は見逃し符ないところ
   である.
   いづれにしても作戦部長キソグが、
   「渦去敗ケ月間、反摘軸箪ほ、軟洲より兵
   力を引掲げてこれを太平沖万両に移動さ
    せる可能性について考鵬を霜ねて釆た
    が、その移動が行はれる時は、とりもな
    ほさず封口反攻作戦の骨組が決定された
   時であり、日本を降伏させるための職術
   が敬いて奈川されることになつてゐる】
  と城言するやうに、欲洲戦局の推移と
  ともに、太平沖馳局がいよく決戦様
  相を濃化、誇具するであらうことにつ
  いては、不出すべき何等の材料もない
   のである.





   さて、こ1でアメリカ最近の宰鮎生

 環の刺向について嘲れてみたい.それ
 は多くの鮎において今筏の駄作恥企図
 を示唆してゐるからである0
 まづ粛∴に、アメリカが舶察横の埠
 柁に主力を托いでゐることは、あらた
 めて多言するまでもないが、】昨年の
 生席日授六万樺が、昨年は十二万五千
 確となり、障軍航袈部隊司令官アーノ
 ルドは、去る川口、
  「米周は、来るべき十五ケ月にあらゆる
 稲村の飛行槻十増万五千槻の弼作を安現
  し、さらに日下制作巾の超東快、幣柄をも
  本年中にその威力を繁雑せしめるであら
   くノ」
 と、今後の杓桝方針む明らか忙した.
 なほ昨年十月の刀純綿は、八千三宮六
 十二櫻、十一月は八千七宵八十九横で
 あつたと外電は報じてゐるが、この月
 帝縞はますく純愛る柁碓で、恥爆あ
 らゆる機種に立つて新鈍化を岨つてゐ
 Lる.
 こ1で、粥々の沌日せねばならぬの
 は、日下大発生床中であるといはれる
 新大型超流域横山29であつて、アー
 ノルドの言明するところによれば、こ
 れむ以て封口察製に乗り〓すとのこと
 で、自発四十二トン、爆弾搭紙‥耶八ト
 ン、大田沖を触…着陸で往祝することが
 椚来、同梢の出現によつて現鹿の長距離
 績または流暢梢は、すべて中型確に格
 下げされるだらうと侍へられてゐる.
  耶時情報局は、同壌は三月切作戦
 に参加するだらうと教表してゐるが、
 このほかお40といふ「舵峯巡洋舵」も出
 現したともいはれ、現に、マーカス岬
 附近に米陸軍の最新銃破り.ハブリッ
 クランサーP43単庄戦闘椴が登場し
 たと侍へられるやうに、航袈決戦の今
 日、舵峯撥の史的増強も必要である
 が、それと同時に、新性能椴の多挿多
 発生床が絶対必要であつて、現代戦が
 いよ′1科噂蛾的村独女史しっ1あろ
  ことを紺記せねばならぬ。
                      ト●▲
  欠ぎにアメリカが最近、頓に坑峯倖
 舵の戦法並びに根拙に新機紬を出すベ

 く努力してゐることは、しばく報道
 されてゐるところであるが、ノックス
 の言明によれば、四方充†トン級超大
 型察侍三雄、l一万五千トン級察母二十
 〓隻の泣出に新手し、昨年二月から十
 山月下句までの竣工舵艇川百十九生の
 うち察位川十寛が含まれ、十一月一ケ
 月間に、あ▲らゆる型の在位十二亜が・完
 成したとのことである.
  アメリカは、これら舵牟礼力の増強
 のみでなく、舵胎の墟退にも柏串むか
 けてゐるのであつて、全米製沌英才協
 禽は、
  r米海瑠が現咋搾する柁碓勢力は、一九四
  一年常時の十≡倍に汚する」
 と巧表し、ノックスは、米円の堀縁勢
 力は昨年十一月で几桝年度末の舵脂勢力
 のちやうど二爪になつた。そして一九
 四円年は、榊三年以上の大‥加松脂を断
 行すると公言したのであつた.
  】昨年進水した四万五千トγの超攣

 級仙増卜艦アイオワ、一▲−ジ十−y−の
 姉妹艦であるウイスコソシソが昨年末
 進水したことは人のよく知スところ
 で、このほか多数の戦闘艦艇が姪過さ
 れ、特に叔況は上陣川和晦が大泉に建
 也されてゐることが托日される.
  即ち、梅ポ舵折局長エドワード・
 コックレーンは、
  「海謂の計窮は、あらゆる型の上陸用舟
  艇八万乾を柁出するにあるが、この」うち
  二万五千伯Xは眈に完成した.しかして今
  後縫他山される舟掟は、専ら封R戦を目標
  とするものだ」
 と言明し、
  「今後上陣椚柿艇の接地に対しては、最
  大の僻光椛を如へる」
 と耶時生碓何は絹明して、日下、これ
 が柁也に狂帝してゐるのである.現代
 恥の特徴である火椚托恥に封する大補
 給戦が特に「沌を粋てた恥串」において
 は、専ら舵汲ノよらねばならぬこと
 は勿論であつて、靴時沌和尚長官エモ
,−.ラソドの  一
  「十二月中には、商敬智入埠 二曹臼方d
  千二宮三十九焉盈トソが紐法され、徒
  つて一九四≡年度における締船柁池組敷
  は千入管九十六山彗千九召二十三万入′T
  六苫二一十大充溢トソに透した.かくて米
  閥は今年度の戦略的姿求を充足し得る盤
  舶姦悲したが、本年度の治於計賓ほ−
  見より賀をねらひ、その上快也であるこ
  と、郎ち陸海範川向特殊鎗でサバテー盈
  を少くし、ピクトリー型を多〈治るし
 との去る一月四日の覆衣は、如何にア
 メリカが船舶の建出能力を挙げること
 によつて補給戦を布利に勒はんかとの
 薄志来示にほか怒らない.
  以上、アメリカの軍需生産の最沈に
 おける特徴的なものだけを襲げたので
 あるが、アメリカはこれら物的戦力の
 相強とともに人的戦力の増強を忘れて
 ゐるのではない.
  最近、飛行増搭乗月は毎月陸海軍合
 せて二万名づ1蕃成されてゐるとのこ

 とであり、またテキサス州のフナート・
 クースの挫堆飛行拳校では、一年問に
 十万名の飛行士が蕃成されるといふこ
 ■とである.
  会た一方、南椚幹部折口芳械のため
 に、ロングアイラソドにアメXカ最初
 の官新柄柵辟校が開設されたとの情報
 もあり、徴兵局は、この六月までに睦
 沖絶兵力を一千石三十万にまで拭大す
 る計諜の下に、同期関内に二百方の新
 規徴兵を行ふとも敢表してゐる.とも
 あれこれ年の報迫の中には、多分に立
 伴誰略的なものがあるとしても、現水
 了メリカが必柁となつて物心粥何の戦
 力増鱗に我越してゐる毒を石地して
 ほならない.





  今年が≠外史上、決定的な年の一つ
 になるであらうことは、眈に敵もこれ
 を鍋調して生絹代に幣付してゐるので
 あるが、鞘々にとつても今年こそは戦
 局の好機を決定すべき決馳必聯の年で
 なければならない.我々は今こそ職カ
 を飛昭的に増強して、ひとり敵の反攻
 を噂純するのみでなく、さらに一大
 那攻作戦を民榊して敵の抗戦意志を
 縄転的に粉抑撃破せねばならぬので
 ある。
  現代戦が大網耗戦であり、大祁給戦
 であり、ヰハ生稀山職で
 あり、大科鰐馳であ
 り、しかもこれ等の
 取ひが同時に且つ茄
 梢的に開く結びつい
 て行はれてゐる総力
 恥の性格を正しくm
 泊し、そしてまたク
 ラワ・マキソ…椚山川に
 おける凹千五宵名の
 弟十の朴烈なる玉杯
 を惣出するとき、現戦局の我々に要辞
 するものが何であるかは一目瞭然であ
 つて、この日飴の戦機を最大限に活倒
 するものに封してのみ賂利の柴怒は投
 けられる.
  花々は今こそ、第一線の将兵が金員
 印兵であるやうに、各モの敢闘配碇に患
 いて、生月紳兵となり、今年むして庇
 に汰山膠の年たらLめねばならぬのであ
 hる0