政府では、昨年九月二十二日閣議決定した「国内態勢強化方策」中で、一層官紀の粛正を図るために必要な措置を講ずることに決定、その後、具体案を練つてゐたが、戦時官吏服務令の成案を得、旧臘二十九日枢密院に付議可決、御裁可を得て、去る一月四日付官報号外をもつて公布、即日施行した。
戦時官吏服務令
凡そ官吏は國體の本義に徹し至誠一貫諧和一致匪躬の節を致し其の職務を奉行するを以て本分とす今や戦局熾烈にして官吏の職責愈重きを加ふ宜しく官吏服務紀律を
厳守すると共に特に左の各項の実践躬行に力め征戦の完遂に些の遺算なからんことを期すべし
一 官吏は戦時特に其の責任の重大なるを自覚し不屈不撓努力と工夫とを尽して其の責務を貫徹すべし
二 官吏は戦時特に真摯不断の省察を遂げ常に思を大局に致し和衷協力施策をして悉く征戦の完遂に寄与せしめんことを期すべし
三 官吏は戦時特に部下に対して其の向ふべき方途を明示し躬を以て之が統率指導に任ずべし
四 官吏は戦時特に上司の命を遵守し時機を失せず施策の遂行に邁進すべし
五 官吏は戦時特に民情の機微を察し懇切丁寧以て事に当るべし
六 官吏は戦時特に廉潔の風を重んじ修身斉家率先垂範以て世の儀表たるに力むべし
七 官吏は戦時特に其の言動を戒慎すると共に機密の保持に細心の注意を払ふべし