自由印度仮政府成る
自由インド仮政府成る
インド独立史上に、否、世界の歴史
に劃期的な重大意義をもつ自由イン
ド仮政府は、十月二十一日、昭南市に開
かれたインド独立聯盟東亜代表者大会
の席上、東亜二百万インド民衆の総意
によつて樹立された。この日、会場の
大東亜劇場には三色のインド国旗の
下、東亜各地からのインド人代表やイ
ンド国民軍、婦人部隊が緊張の面持で
つめかけ、インド国歌の斉唱によつて
歴史的な大会の幕は開かれた。
経過報告その他あつて後、聯盟総裁
チャンドラ・ボース氏登壇、東亜インド
独立運動の現状及び将来の動向に言及
し、インド国民軍を提げてインド国内
に進撃する前に仮政府を組織し、その
指導の下に闘争を開始せねばならぬと
叫び、一旦休憩の後、午後の総会にお
いて、米英の支配から脱して栄えある
独立を獲得したビルマ及びフィリピン
に対する祝辞、並びに日本をはじめ独
立運動を支持する東亜諸友邦に対する
感謝決議をなしたのち、ボース総裁
は、自由インド仮政府樹立を提案すれ
ば、全代表、万歳を絶叫しつゝこれに
賛成、直ちに総会は政府主席にスバ
ス・チャンドラ・ボース氏を推挙した。
次いでボース主席は、就任の声明を
なし、引つゞき政府の組織その他を決
定、政府宣言の朗読あり、輝かしい自
由インド仮政府は成立したのである。
去る七月、ボース氏が昭南に乗込
み、独立聯盟総裁に就任、インド国民
軍を編成して自らその指揮官となつて
から三ケ月余、その間タイ、ビルマ等
に東奔西走して準備と進めてゐたが、
いよいよ機熟して、この栄えある日を迎
へたのであるが、新政府は直ちに反英
抗争の新たなる火蓋を切り、堂々米英
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に宣戦を布告し、祖國進撃の決意を全
世界に表明し、インド独立運動は名実
ともに独立戦争への力強き展開をなし
た。
仮政府の性格
この仮政府は、宣言にもある通り、
「その任務はインドの地から英国及び
その与国の完全追放を目的とする一大
闘争を開始し、且つこれを指導する」
にあり、インドが完全な自由独立を獲
得した暁においては、一応その任務は
終了し、