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第三三一号(昭一八・二・一七)
   前線に応へよ
   南太平洋の作戦について
   欧州戦局の推移          陸軍省報道部
   木材の生産増強          農 林 省
   供木運動             大政翼賛会
   三月の常会の頁

 

  前 線 に 応 へ よ

 「…主食の如きは一日一合にも足らず…副食物の如きは殆んどなく、久し振りにたゞ一度梅干一つが渡つた時、将兵は子供のやうに手を拍つて喜び、そして後方部隊の労苦に感謝して泣いたといふことである。従つて将兵は木の実を摘み、草の根を掘り、いやしくも毒ならざるものは悉くこれをとつて飢を凌ぎ、海水を飲んで塩気をとつたのである。榕樹に銃剣を突き刺し、又はジャングルの葛を軍刀で切つて、そこからしたゝる水に咽喉をうるほして数昼夜を送つた者もある…」
 これは去る二月十日、議会で行はれた南太平洋作戦経過の報告の中で、前線将兵の辛苦を語られた一節でありますが、誰か涙なくして読み得た者がありませうか。
 このやうな言語を絶した困苦窮乏を克服して、激戦苦闘、鬼神をも哭かしめる活躍あつてこそ、敵米英の心胆を寒からしめ、来るべき戦略態勢を固めることが出来たのでありますが、その蔭に、一万六千余の将兵が、南海の果に、米軍に万斛の恨みを残しつゝ斃れて行かれたことを、私共ははつきりと胸に刻まねばなりません。憎んでも憎み切れないこの仇を打たうと、いま前線の将士は、敵愾心を火と燃やして戦つてゐるのでありますが、銃後の私共も亦、それ/"\の職域を通し、生活を通して敢然として戦ひに突入せねばならないのであります。
 今や東條内閣総理大臣を陣頭に、超重点の決戦経済体制は強化され、実施に移されてをります。
 その結果、どういふことが起るかといひますと、直接戦争に必要でない、また必要であつても先づ我慢の出来るものの製造をやめたり、制限したりすることが起りませう。限りある資材の配給もこの超重点主義によつて行はれますから、各産業における工場、会社等の休廃止、整理統合等の産業再編成も必至でありませう。
 さらにまた、これは私どもの生活にも大きな影響を及ぼさずにはゐないでせう。賀屋大蔵大臣が議会でいはれたやうに、資金の面についてみても、昭和十八年度は、国民所得はほゞ五百億円と見積られますが、その配分の大体は、租税及びこれと同様の性質を有する国民負担が約百億円、国債が約二百十億円、生産拡充資金が約六十億円、以上合せて三百七十億円即ち、国民所得の約七割五分といふものが国家的資金として必要となりますから、国民消費資金は百三十億円にとゞまる勘定です。
 従つて消費生活に割当てられる分は、十七年度に比較して二十億円、即ち一割五分の切下げです。現在、相当切詰めた生活をしてゐる方も、もう一段の努力を願はねばなりませし、少しでも余裕のある向きは、ニ割、三割、四割、五割も、私生活の圧縮を願はねばなりません。収入のうちから税金を納め、貯蓄や国債の買入れを行つて国家の御用を立てて、その残りで生活するのだ位の気構へをもつていたゞかねばなりません。
 あの前線の労苦に感謝し、英霊に祈念する心情は単に口先だけであつてはなりません。そのまゝ、銃後における勝つための生産の増強と戦争生活への実践によつて生かされねばなりません。
 世界情勢は、決して楽観を許しません。盟邦ドイツ国民もスターリングラードで捧げた将兵の血に報いようと悲壮な決意をもつて奮起し、来るべき日を期して決戦態勢を日一日と強化してをります。
 私共は、この独伊その他の盟邦と、真に手を握りあつて、前線将兵の心を心として、この重大時局を突破し、米英の野望を中途にして打ち砕き、世界新秩序建投の日の一日も早からんことを期さねばならないのであります。