第二八四号(昭一七・三・一八)

 戦局の新段階と国民の覚悟
 蘭印遂に降伏す         大本営陸軍報道部
 護国の神 特別攻撃隊
 日本銀行法の改正        大 蔵 省
 新しくできた国民医療法      厚 生 省
 調停制度の拡張         司法省民事局
 大東亜戦争日誌

護国の神 特別攻撃隊

真珠湾に護国の華と散つた特別攻撃隊の壮烈は、真に鬼神を哭かしめるものがある。こゝに平出海軍保津部課長の発表の全文(三月六日ラジオ放送)を掲げて、その偉勲を偲ぶよすがとしよう。

 世界平和を使命とする日本の大精神を踏みにじり、皇國日
本の生命さへも狙はんとした暴戻なるアメリカに、破邪顕正
の剣を下すに当りまして、捨身をもつて敵の腹中に飛込み、
猛然これに第一誅を加へ、身もまた護国の華と散つた特別攻
撃隊の偉業に関し謹しんで発表致します。
         ×                 ×
海軍省発表(昭和十七年三月六日午後三時)
昭和十六年十二月八日布哇海戦に於て特殊潜航艇を以て布哇
軍港内に突入し偉功を奏したる特別攻撃隊に対し聯合艦隊司
令長官より左の通感状を授与せられ右の旨海軍大臣より奏上
せり

        感  状
                           特別攻撃隊
昭和十六年十二月八日開戦劈頭挺身敵米国太平洋艦隊主力
ヲ布哇軍港ニ襲撃シ友軍飛行機隊ト呼応シテ多大ノ戦果ヲ
挙ケ帝国海軍軍人ノ忠烈ヲ克ク中外ニ宣揚シ全軍ノ士気ヲ
顕揚シタルハ其ノ武勲抜群ナリト認ム
仍チ茲ニ感状ヲ授与ス

   昭和十七年二月二十一日

         聯合艦隊司令長官  山本五十六


海軍省発表(昭和十七年三月六日午後三時)
特別攻撃隊員中ノ戦死者ニ対シ昭和十六年十二月八日附特ニ
左ノ通二階級ヲ進級セシメラレタリ


任海軍中佐


任海軍少佐

任海軍大尉


任海軍特務少尉



任海軍兵曹長
海軍大将

海軍中尉


海軍少尉

海軍一等兵曹


海軍二等兵曹



岩佐直治

横山正治
古野繁実

広尾 彰

横山薫範
佐々木直吉

上田 定
片山義雄
稲垣 清

大本営発表 (三月六日午後三時)

 特別攻撃隊の壮烈無比なる真珠湾強襲に関しては、既に公表せら
れたる処、此の全世界の心胆を寒からしめたる攻撃の企図は攻撃を
実行せる岩佐大尉以下数名の将校の着想に基くものにして、数箇月
前一旦緩急あらば之を以て盡忠報國の本分を尽し度と案を具し、
秘に各上官を経て聯合艦隊司令長官に出願せるものなり。
 聯合艦隊司令長官は慎重検討の結果、成功の確算あり、収容の方
策亦講じ得るを認め、志願者の熱意を容るることとせり。
 本壮挙に参加せる下士官亦帝国海軍優秀者中の最優秀なる人物た
り。何れも参加将校の平素より固く信頼せる部下にして、各上官と
生死を倶にすることを念願しありしを以て、今回の企図に際しても
特に志願者を募ること無く、淡々たる心境の裡に各上官より夫々隊
員として参加せしめ度旨願出、聯合艦隊司令長官より希望通参加を
命ぜられしものなり。
 爾来部内に対しても、厳に機密を保持しつつ短時日の内に用兵
者、技術家渾然一体となり、工員に至る迄不眠不休昼夜兼行にて製
造実験に或は準備訓練に心血を注ぎたる結果、今次開戦に先立つ緊
急の際に完成を見たるものにして、攻撃に参加せる将士の尽忠無双
の精神及技術工作関係者の熱誠と共に帝国海軍の卓越せる技術を広
く世界に誇るに足らん。
 而して実行に当りては収容に関し万全の方策を講ぜられたるは勿
論なるも、敵主力を攻撃したる後は警戒一層至厳を極むべく海底に
横たはる沈没敵艦の残骸を縫ひ狭長なる水道を通過猛烈なる反撃を
脱過帰還することの困難は予想に難からず、万一に備へ自爆の準備
を整へたることは帝国海軍軍人として当然とする処なり。
 斯くて 御稜威の下天佑神助を確信せる特別攻撃隊は某月某日
枚を啣(ふく)んで壮途に就き、真珠湾目指して突進し、沈着機敏なる操縦
により厳重なる敵警戒網並に複雑なる水路を突破全艇予定の部署に
依り、港内に侵入或ひは白昼強襲を或は夜襲を決行、史上空前の壮挙
を敢行、任務を完遂せる後艇と運命を共にせり。
 就中夜襲に依るアリゾナ型戦艦の轟沈は遠く港外に在りし友
軍部隊よりも明瞭に認められ、十二月八日午後四時三十一分(布哇
時間七日午後九時一分)即ち、布哇に於ける月出二分後真珠港内に大
爆発起り、火焔天に冲し、灼熱せる鉄片の空中高く飛散、須臾にし
て火焔消滅、之と同時に敵は航空部隊の攻撃と誤認せるものか熾烈
なる対空射撃を開始せるを確認せり。又同日午後六時十一分(布哇
時間午後十時四十一分)特別攻撃隊の一艇より襲撃成功を無線放送、
午後七時十四分以後放送杜絶、同時刻頃自爆若くは撃沈せられたる
ものと認めらるるものもありたり。
 昼間強襲に関しては敵艦隊に於て、僅に之を認めたるものあるが
如きも、殆んどその何物たるかを判別し得ざりしが如く、港内混乱
の際なる為戦果の絶大なりしことは確信しあるも、今の処航空部隊
による戦果と判別困難なり。
 出発に際しては、攻撃終了せば帰還すべき命を受けありしも、遂
に帰還するものなかりしは或は味方航空部隊の爆弾、魚雷雨下しつ
つある敵艦に肉薄(史上類例なき至近距離)強襲し、或は長時間海中
に潜伏月出を待ちて露頂し、昼間攻撃による損傷少き敵主力艦を
確認攻撃したる等全隊員生死を超越して攻撃效果発揚に専念し、帰
還の如きは敢て其の念頭に無かりしに依るものと断ずるの外なし。
 斯の如き古今に絶する殉忠無比の攻撃精神は実に帝国海軍の伝統
を遺憾なく発揮せるものにして今次大戦史劈頭の一大偉勲と云ふべ
し。
         ×                 ×
 更に附け加へて申上げたいと存じますが、今こゝに護国の
忠霊の偉勲を偲びますことは、一億国民が忘れんとして忘れ
ることのできない第三回目の命日を控へ一入感激の新たなる
ものがあります。
 この勇士達は、日頃から上官の信任厚く、同僚後輩からは
尊敬の的であつた優秀な人物ばかりでありますが、いづれ
も眼中出世なく、栄達なく、快楽なく、わが身さへなく、全く
「自己」といふ観念を捨て、ひたすら大君と祖国に全身全霊
を捧げ尽し、弱冠二十余歳にして雄々しくも護国の華と散つ
たのであります。
 この攻撃は、発表にもあります通り、岩佐大尉以下、数名
の将校の着想に基づくものでありまして、自ら工夫をこらし、
一朝有事の際は、これをもつて盡忠報國の本分を尽したいも
のと、人力をもつて至難と思はれるこの大壮挙を案出致し
たのであります。爾来数ヶ月間といふもの、自分達の襲撃に万
に一つにも失敗あつてはならぬと、人目を忍んで訓練に訓練
を重ね、言語に絶する苦心を続けたのであります。
 かくして開戦となりますや、挺身真珠湾の奥深く侵入し、身
を艇の艦底に叩きつけんばかりの猛襲を敢行し、しかる後
従容として死についたのであります。今アメリカ側の報道
等を加味して私の想像によりその攻撃の模様を申上げようと
存じます。特別攻撃隊が枚(まい)を啣(ふく)んで真珠湾口を潜入せんとし
ますや防潜網が張られてをり、機雷が無数に敷設してあり
流石敵の警戒は厳重であります。しかし特別攻撃隊は百練の
勇士揃ひ、沈着機敏な操縦によつて難なくこれを突破致しま
す。
 この時「わが事既に成れり」と勇士達は微笑み合つたことと
思はれます。指揮官以下真に一心同体、人も艇も、これまた
渾然一体をなしてをります。湾内の複雑な水路もものかは、
躍る心を静かに押へ、われ遅れじと全艇奥へ/\と突入致
します。
 やがて潜望鏡に映るは、行儀よく二列に並んだ敵主力艦の
集団ではありませんか、勇士達の満足が思ひ遣られます。各艇
攻撃を開始致します。ある艇は艦列の中央にくらゐする巨艦
目がけて接近、猛然第一撃を加へ、また或る艇はその隣の胴腹を
えぐります。この時潜望鏡にチラッと見えるのは空からする
友軍機の活躍です。友軍機今や果敢な爆撃の真最中らしい、
勇士達の勇気はいよ/\百倍、一艦といへども撃ちもらしては
ならじと歯を喰ひ縛つて頑張ります。更に次ぎの攻撃に移
らんとする時であります。敵の駆逐艦一隻、潜望鏡を発見し
たものか横合ひから衝突にやつて参ります。そこで手ごたへ
を確認する暇もなく、水中深く潜没して難を避けた艇もあり
ます。
 この頃、敵の砲弾は雨と下り、空からする航空部隊の攻撃はい
よいよ猛烈を極め、魚雷走り爆弾飛び、湾内は忽ち大混乱に陥
りました。従ひまして水中よりする各艇の強襲による戦果も
絶大であつたと思はれるのでありますが、航空部隊の戦果と
判別することは、困難な情況だつたのであります。
 昼間の猛烈な戦闘を海底に潜んで聞きながら逸る心を押へ
て日没を待つた特別攻撃隊の一艇は、艇内に持参した組木細工の
玩具など相手に時間を消してゐたことと思ひます。これは誠に
容易にできないことであります。遂に夜に入り月の出を待
つて強襲を敢行致します。我が一艇は昼間攻撃による損傷の
少い敵主力艦はないかと探し索めて肉薄接近してゆきます。
見れば敵艦の巨体は月光を浴びて、くつきりと影絵となり、
攻撃の好目標です。「発射始め----」指揮官の号令に、最後の
襲撃が決行されます。見敵必殺の精神こめた襲撃に狂ひはあ
りません。轟然たる爆音が湾内をふるはせ、数百米の火の柱が
一時天を焦します。と見るや、白波を蹴つて悠然、司令塔が水
上に浮び出ました。沈着大胆な指揮官は今し巨艦真二つに裂
けて崩れ沈まんとする敵艦の断末魔を、確認したのでありま
す。
 宿望今ぞ成る、月光仰ぐ年若き強者達の胸中如何ばかりで
あつたでありませう。
 この敵艦轟沈は遠く湾外にありました友軍部隊からもはつ
きり認められ、大爆発と共に天に冲する火焔が灼熱した鉄片
を空中高く吹き上げるのさへ望見されたのであります。時は
十二月八日ハワイ時間に致しまして七日午後九時一分。月の
出二分後のことでありました。
 戦は終りました。しかし特別攻撃隊の勇士達はつひに帰ら
なかつたのであります。ハワイ時間午後十時四十一分に特別
攻撃隊の一艇からの『襲撃に成功せり』の無線放送が最後のも
のとなりました。
 隊員誠に生死を超越し、最後まで敵艦撃滅のみに専念し、
生還の如きは念頭になく、或るものは轟沈され、或るもの
は自爆致したことと認められるのであります。
 激して死に赴くはその例少しとしません。しかし冷静こと
に処し、身をもつて信念を貫いた至高至純の没我の境地、鬼神
も哭くこの絶対犠牲の大精神こそはわが武士道の華であり、わが
民族精神の精華であります。かゝる例が世界の歴史に唯の一
つでもありませうか。
 私ども、その偉勲を偲ぶだに、粛然として総身の血のふる
へるのを覚えるのであります。
 純忠無比なる特別攻撃隊の壮挙は畏くも天聴に達しまし
た。大君を護り奉り、祖国安泰の礎たるために生れて来たや
うな勇士達は、これを聞きまして今ぞ地下で如何ばかり感激
の嬉し涙にむせんでゐることでありませう。
 死あつて生なき門出にあつても、勇士達は、冷静沈着にし
て、日常訓練の出動の際と些かも変つたところがなかつた
のであります。
 出発直前のことでありますが、勇士達は揃つて戦友達と談
笑し、或る若い勇士は「襲撃が終つたら上陸して、こいつにも
のをいはせてやりたいな」と無邪気にピストルを取り出して
なで廻し、また或る勇士は、新しい肌着と着かへた上、
「軍装を着て行くべきだが暑いから作業服で御免蒙らう」など
と悠々身支度を行ひ、また或る勇士は「爆雷攻撃を受けぬや
うにしろよ」と戦友がいふのを聞いて「ナーニそれまでには、
敵のどてっ腹に大穴があいてゐるさ」と何の屈託もなく大笑
して一同を煙に捲き「明るく日のルーズヴェルトの泣きごと
を俺も聞いたぞ閻魔の前で」と即興の一句をよむといふ余
裕綽々たるものがあつたのであります。
 また或る酒好きの勇士に対して、戦友が「大戦果をあげて
帰つてくれ、その時は大いにやらう」と励ませば、ニコ/\
しながらいつもの言葉の「ウム呑まう」とは一回も口に出さな
かつたさうであります。この勇士達は「帰る」とか「万一にも
生きて」といふ如き言葉は口にすべきでないと考へてゐたの
でありませう。
 更に或る勇士は、残る戦友の肩を叩いて「おたがひに最後
の最後までしつかりやらうぜ、今度逢ふのは九段のお社だ」
ろ激励してゐたといふことであります。
 やがて、いざ出発の時刻であります。
 普通の出陣には「行つて参ります」と上官に申告するのであ
りますが、その日、勇士達は「何々中尉、或ひは何々少尉只今よ
り征きます」と力強く述べ「行つて参ります」とはいはなかつ
たのであります。
  「しつかり頼むぞ」
  「大丈夫だ」
 壮途を送る挨拶が交されます。征くも、残るも、送るも送
らるゝも感激悲壮の一瞬でありました。この時に及んでもな
ほ出で立つ勇士達は自若たるもので、年若い一士官は「お弁
当を持つたり、サイダーを持つたり、チョコレートまで貰つ
て、まるでハイキングに行くやうな気がする」と勇んで乗り
込んだといひます。この若い勇士の胸のうちに、その時チラッ
と幼かつた頃の楽しい遠足の思出が浮かんだのえありませ
う。遠足の懐しい思出に、胸ふくらませて、勇士達は雀躍
死地に飛び込んだのであります。
 後で判つたのでありますが、勇士達は身の廻りは整然と処
理し、上官や、同僚に対する謝恩の言葉や、公務上の記録、
意見など書き残したものはありましたが、遺言らしいものは
余り多くございませんでした。その中に或る勇士の辞世があ
ります。
      君のため何か惜まん若桜
         散つて甲斐ある命なりせば
      いざ征かむ網も機雷も乗り越えて
         撃ちて真珠の玉と砕けむ
      靖国に会ふ嬉しさや今朝の空
 これは勇士達全員の感慨であつたと思ひます。この悟り、
この信念、口にいふは決して難くはありません。しかし勇士
達は黙々として身を以てこれを実行したのであります。
 勇士達はその言行から察してたゞ単に戦ひに勝つといふだ
けでなく、「心の米英撃滅」すなはち長年に亘つて文化を通じ、
思想を通じて日本国民の精神に喰ひ込んでゐる「自分さへよ
ければよい米英的観念」を駆逐、撃滅しなければならぬとい
ふ信念を持ち且つ実行してゐたやうに考へられます。
 大東亜戦争は、実に形に現はれた米英の暴戻な勢力を東亜
から駆逐するとともに、目に見えない「利己的唯物的米英観
念」を心から一掃することによつて始めてその成果を期し得
られるものではありますまいか。勇士達の行動はかゝる点か
ら致しましても好個の亀鑑を示したものといふことができま
せう。
 こゝに銘記しなければなしませんことは、かゝる己を滅し
て、国家に殉ずる犠牲的大精神は、偉大なる母の感化による
処大であることであります。勇士達はいづれも申合せたやう
に親孝行で有名でありました。或る勇士は休暇になれば短い
期間の時でも必ず実家へ帰り、母親にお伴いて一日を送るの
が何よりの楽しみだつたといふことでありますが、これによつ
てもその一端を窺ふことができませう。それだけに母親が
勇士達を慈しみ育てた陰の力は絶大で、ことに家のため、夫
のため、子供のため、己を顧みずして働き続け、そこに無
上の幸福を見出す母親の献身的な精神感化が偉大な力となつ
え勇士達のなかに生長してゐたのであります。かゝる偉大な
る日本の母親なくして、どうしてこのやうな純忠な益良夫(ますらを)
生れませう。己を空しくして子供の中に生きる母親は、すな
はち国家の中に生きる母親であります。
 敵米英の軍人が優勢な対手とみれば逸早く逃れ、死の危険
多しとみればこれに近寄らないことを念とする実状とこの勇
士達の心意気とを比較致しますときそれは何たる大なる相違
でありませう。その陰に米英の母達の利己的、享楽的気分
とその子供達との因果関係を見落としてはなりません。
 米国にありましては、海軍軍人とは、只で世界を見物し、
法外の給与を受け、以て世に快適幸福なる生活を送る職業な
りと定義してゐる程であります。「命あつてのもの種」といふ
自己本位の思想が根強く彼等を支配してゐることは、たゞ今
までの幾つもの海戦の生存者達の言動からしても明瞭なので
あります。
 わが一死奉公の純忠に燃える勇士達の大精神と、自己のよ
り幸福な生活を追究するを人生観とする米英軍人気質は実に
霄壤も啻ならざるものがあるではありませんか。
 大東亜戦争開始以来のわが連戦連勝につきましては全世界
たゞ驚嘆するのみでありますが、その裏に、かゝる大死一
番身を捨てて祖国を護り抜かんとする伝統の大精神が脈々と
して流れてゐるのを知りましたならば、たゞ大和民族の血の
尊さに頭を下げるのほかはありますまい。
 而してこのやうに世界に類なき無限の力の湧き出る源が
畏くもわが現神大君にあるを思ひまするとき、御稜威の尊
さに唯々感激あるのみであります。
 顧みまするに、神武天皇が「みいくさ」を率ゐて九州美々
津港を舟出し給うてより二千六百年、今に続くこの逞しく
も雄々しき大和魂!その中に燃え立ち燃え続けるものは「海行
かば水漬く屍、大君の辺にこそ死なめ」の烈々たる心意気で
あります。それは皇國日本の躍進とともにます/\輝きを増
し、時あらばこの勇士達のやうに爛漫と咲き誇るでありませ
う。
 大東亜戦争如何に長期に亘りませうとも強敵さらに現は
れませうとも、祖国が必要とする瞬間、かゝる七生報国の勇
士達は幾度にても生れ更つて護国の堅めに任ずるは必定であ
りまして、その数の足らぬといふ憂の如きは毛頭ないのであ
ります。
 特別攻撃隊の勇士達は「軍の神」であると同時に「平和建設
の神」でもあるのであります。大東亜戦争のあとに来るもの
は世界永遠の平和でなければなりません。その時こそ「軍の
神」は「平和の神」となるのでありませう。たゞ今の破壊は破
壊のための破壊でなく建設のための破壊だからであります。
 この護国の勇士はわれ/\日本国民の子であり、兄であ
り、弟であります。われ等国民の血管の中枢にはかゝる純
忠無比なる血潮が流れてゐることを明らかに示してくれまし
たことは、何かに迷つた時の立場からも、また国難に
会つた国家大事の際にも、何たる心強いことでありませうか。
私は繰返して申します。一時に激するは易く従容死に就く
は難し、今は長期戦のなほ緒戦期であります。謹んで特別攻
撃隊諸勇士に関する発表を終ります。

 

 

 

 

「一億防空陣」を指定上映

 御稜威の下、皇軍将兵の勇戦敢闘によつて、大東亜戦争は圧
倒的な勝利の進軍を続けてゐますが、敵の最後の足掻きは決し
て軽視できず、国土防衛の鉄桶の備へは、今後ます/\緊要と
なつて来てゐます。
 そこで情報局では、内務省防空局、防衛総司令部、東部軍司
令部等と協議の結果、防空強化の実行を円滑、適切にし、ま
た防空上、是正すべき点を映画を通じて詳しく具体的に指摘し
て、国土防衛陣の完璧を期するため、日本映画社に「戦ふ日
本」シリーズ第一篇として「一億防空陣」を製作させ、映画法に
基づいて、三月十二日から五月十一日まで全国の防空重要都市
の映画常設館に指定上映させることになりました。
 「一億防空陣」は家庭防空に関する注意を詳しく説明し、全国
各地の防空監視哨の活躍や模範的な防空訓練の実況を収め、ま
た防空総司令部の山本参謀の「防空処置」の説明が加へられて
あります。