第二五〇号(昭一六・七・二三)
第三次近衛内閣成立
財政金融 基本方策要綱について 大 蔵 省
独ソ開戦以来の英米の動き
生活必需品読本(二)麦 農 林 省
第三次近衛内閣成立
近衛内閣は昨年七月成立以来、内外諸般の施策に努力して来たが、未曾有の
国際危局に直面し、これに対処して国策の遂行を活溌ならしめるためには、
国内態勢の急速な整備強化を必要とし、従つて内閣の構成にも一大刷新を加へ
る必要があるので、七月十六日総辞職を決行した。後継内閣組織の大命は再び
近衛文麿公に降下、恐懼した近衛公は直ちに組閣に着手、十八日夜宮中に於
て親任式を執り行はせられ、こゝに第三次近衛内閣の成立を見た。
現在の世局に処する帝国の最高方策は既に確立されてをり、第三次近衛内閣
がその急速なる実現に努めるものであることはいふまでもない。そしてそのた
めに急速なる国内態勢の整備強化が要請されてゐるのである。近衛内閣総理大
臣は成立に当つて左の如き談話を発蟄表、その決意を明らかにした。
私は図らずも三度大命を拝し非才を顧みて真に恐懼感激の至りに堪へません。変転極
まりなき現下の世局において皇国の使命はいよ/\重く、真に挙国緊張の秋でありま
す。微力果して克く負荷の重きに任へ得るやを懼るるものでありますが、死力を尽し
て聖旨を奉行し以て聖恩の万一に報い奉りたいと存じます。
固より現世局に処する皇国不動の国策は夙に確立せられてゐる所であり、今日は唯そ
の急速果断なる実行あるのみでありまして、これを遂ぐるの途は一に國體の本義に則
る国内諸態勢の整備強化に在りと確信するものであります。私は一億国民の熱誠なる
協力を得てこの時難を克服し、一意肇國の大理想完遂に向つて邁進致したいと存ずる
次第であります。
新内閣閣僚一覧
内閣総理大臣 司法大臣 |
従二勲一 公爵 |
近衞文麿 (このゑふみまろ) |
外務大臣 拓務大臣 |
海軍大将 従三勲一 |
豐田貞次郎 (とよたていじらう) |
内務大臣 | 従三勲二 | 田邊治通 (たなべはるみち) |
大蔵大臣 | 従三勲三 | 小倉正恒 (をぐらまさつね) |
陸軍大臣 | 陸軍中将 従三勲一 |
東條英機 (とうでうひでき) |
海軍大臣 | 海軍大将 正三勲一 |
及川古志郎 (おいかはこしらう) |
文部大臣 | 従三勲二 | 橋田邦彦 (はしだくにひこ) |
農林大臣 | 従三勲二 | 井野碩哉 (いのひろや) |
商工大臣 | 海軍中将 従三勲一 |
左近司政三 (さこんじせいざう) |
逓信大臣 鉄道大臣 |
従三 | 村田省藏 (むらたしやうざう) |
厚生大臣 | 陸軍軍医中将 正四勲二 |
小泉親彦 (こいづみちかひこ) |
国務大臣 | 正二勲一 男爵 |
平沼騏一郎 (ひらぬまきいちらう) |
国務大臣 | 陸軍中将 正三勲一功五 |
柳川平助 (やながはへいすけ) |
国務大臣 企画院総裁 |
陸軍中将 従三勲二 |
鈴木貞一 (すずきていいち) |
内閣書記官長 | 従四勲三 | 富田健治 (とみたけんぢ) |
法制局長官 | 従三勲二 | 村瀬直養 (むらせなほかひ) |
情報局総裁 | 従三勲一 | 伊藤述史 (いとうのぶみ) |