紀元二千六百年祝典を終へて
曠古の盛事、紀元二千六百年の奉祝祝典は十一月十日の式典及び翌十一日の奉祝会を以て、滞りなく終了した。
天皇、皇后両陛下には、一億国民をあげての慶祝に、いと御満悦の御模様に拝された由、漏れ承はるだに畏き極みである。
曠古の盛典を迎へ、聖寿の万歳を奉唱したあの一瞬、日本国民にして誰か、胸迫る感激に心ふるへぬものがあつたらうか。あの一瞬の感激、感銘の中に、われわれは日本の真の姿を感得し、わが國體の尊さを体認するのである。
世界の歴史に於て、いかに多くの国が興り、そして亡んで行つたことであらう。開闢以来万世一系の天皇を奉戴し、国運隆昌の一途を辿つて二千六百年に至つたのは、ひとり我が国あるのみである。何が故か?一君万民、君民一体のわが國體こそ実に国家形態の至高なるものである。皇國がいまこゝに紀元二千六百年を迎へ、更にまた天壌と共に極りなかるべき所以もこゝに存する。
世界新秩序建設の原動力たる東亜新秩序建設の聖戦は、既に三年有半に亙つて戦ひ続けられてゐる。
畏くも紀元二千六百年式典に於て賜はりたる勅語に
今ヤ世局ノ激変ハ実ニ国運隆替ノ由リテ以テ判カルル所ナリ爾臣民其レ克ク嚮ニ降タシシ宣諭ノ趣旨ヲ体シ我力惟神ノ大道ヲ中外ニ顕揚シ以テ人類ノ福祉卜万邦ノ協和卜ニ寄与スルアランコトヲ期セヨ
と仰せられたのである。紀元の佳節に賜はりたる勅語には
今ヤ非常ノ世局ニ際シ斯ノ紀元ノ佳節ニ当ル爾臣民宜ツク思ヲ神武天皇ノ創業ニ騁セ皇國ノ宏遠ニシテ皇謨ノ雄深ナルヲ念ヒ和衷戮力益々國體ノ精華ヲ発揮シ以テ時艱ノ克服ヲ致シ以テ国威ノ昂揚二勗メ祖宗ノ神霊ニ対へンコトヲ期スべシ
と仰せられてゐるのである。国運隆替のわかるるこの重大時局に際して、思ひを神武天皇の創業に騁せ、皇國の宏遠にして皇謨の雄深なるを念(おも)へと仰せられた大御心を仰ぎ、われわれは紀元二千六百年の意義の誠に深きを感ずる。
外に世紀の偉業を完成するがために、内に国内体制の確立を図るべく、大政翼賛運動の発足を見た。祝典は終ったが紀元二千六百年の日本国民に課せられた仕事はこれからである。われわれには、父祖の残した偉大なる歴史を継承し、更にこれを発展させて次代の日本国民へ譲り渡すべき重大な責務が残つてゐる。
この責務を果して、大御心を安んじ奉るべく、紀元二千六百年のこのときに当つて、われわれは「大政翼賛の臣道実践」の覚悟を固うしなければならない。
週報215号 |