第二一四号(昭一五・一一・一三)
中小商工業者の職業転換対策 企 画 院
海運統制の躍進 逓 信 省
「日満支経済建設要綱」決定す 内閣情報部
海鷲、ビルマ・ルート爆撃遮断 海軍省海軍軍事普及部
非常時郵便の新体制 逓信省郵務局
ルーズヴエルト大統領の三選 外務省情報部
国民服について 厚 生 省
「日満支経済建設要綱」決定す
内 閣 情 報 部
世界新秩序建設を目ざす大東亜共栄圏の確立といふ皇国
の大方針は、日独伊三国条約の締結によつて新たなる段階に
入つた。政府としてはこの事態に照応すべく、基本的経済政
策中「日満支経済建設要綱」を過日の閣議に於て決定し、今
後この方針に基づき政策を統一し実行することとした。
而して右政策の目標とするところは、新経済秩序観に
基づき日満支経済の綜合的発達を基底とする、大東亜共栄
圏の飛躍的前進を計画せんとするにある。
憶ふに、各国が自由に物資を交易し得ることを建前とする
自由貿易の世界経済は、既に旧秩序としてわれ/\の眼前
に崩壊しつゝある。皇国の経済も、この旧秩序依存の旧体
制を振り捨てて、新たなる編成を決行せねばならぬ。而して
この再編成によつて、皇国の経済をしてより高く、より広く、
より強いものたらしめ、これによつて東亜諸民族の生活向
上を齎らし、各々の所と得しめる如く指導せねばならぬ。
即ち「より高く」とは国民の持つ生活力に一層高度の生産性
を持たしめることであり、「より広く」とは経済相互依存圏
を日満支より更に大東亜に拡大して、鞏固なる共栄圏を
確立することであり、「より強く」とは皇国の経済が外国に
依存する程度を最小限にして、如何なる事態に当面しても
微動だにせざる底力を保持することである。
かくの如く皇国の経済をして高く、広く、強きものたら
しめるには、全国民の総力を結集して、強固なる意志をも
つて、内に於ては革新に伴ふ苦悩を克服すると共に、外より
来る如何なる圧迫脅威をもこれを排撃し、今後凡そ十年に
して、日本を指導力の中心とする新たなる東亜経済の秩序を
完成しなくてはならぬ。この秩序の中に於てこそ、満洲支
那はもとより東亜諸国の経済は、その輝かしい向上発展を
所期し得るのである。
日満支経済建設要綱の骨子
東亜の新秩序を建設し、世界永遠の平和を確保すべき、
皇国の使命を具体的に達成するためには、国内体制の革新
の過程と生活圏の拡大編成の過程とを、綜合一体的に前進
せしむるを要す。従つて皇国の基本的経済政策は、次の三
大過程の綜合計画性の上に確立せらるることを要す。
一、国民経済の再編成の完成
二、日満支経済の編成強化
三、東亜共栄圏の拡大編成
基 本 方 針
一、日満支経済建設の目標は、概ね今後十年間に三国を一
環とする自給自足的経済態勢を確立すると共に、東亜共
栄圏の建設を促進し、以て東亜の世界経済に於ける地位
を強化確立するに在り。
二、日満支経済建設に関する皇国の指導精紳は、八紘一
宇の大精神に基づき、日満支三国の一体的協同に依り共
存共栄、全般の福利を増進するに在り。
三、皇国は日満支経済建設を推進するため、国民の気魄を
昂揚し、国内態勢を革新し、国力の拡充につとめ、満支
の経済建設に対し援助育成を与ふ。これがため特に科学、
技術の画期的振興を図り又先駆工業の開拓に任す。
四、皇国との不可分関係に依る満洲国は、重要基礎産業を
急速に整備発展せしむることを期待す。
五、支那は日満と協力し資源を開発し、経済を復興し、特に
交通の発達、物資交易の円滑、重要産業及び資源の開発
をはかり、東亜共栄圏の確立に寄与せんことを期待す。
六、日満支経済の綜合建設計画を調整促進するため、速か
に日満支経済の綜合計画機構の整備を図る。
七、日満支三国は東亜共栄圏の基本的躯幹(くかん)であるが故に、極
めて緊密なる結合の上に経済の関係を規制すべき義務を有
するのである。政府はかゝる観点から、日満支三国の産業
分野、労務、金融、貿易、交通の基本政策を決定した。
産業分野
産業分野の決定にあたつては、日満支三国の立地条件と
それ/"\の経済発展段階を考慮し、真の有機的一体として
綜合的にこれを決定することが肝要である。
皇国は今後高度の精密工業、機械工業の画期的振興を図
り、重工業、化学工業及び鉱業の基礎産業を大いに発展せ
しむることが必要である。
満洲国に於ては鉱業及び電気事業の画期的発展を期待す
ると共に、重工業及び化学工業の発展に対しても我が国は
必要なる援助を提供するものである。
支那に於ては今後鉱業及び製塩業を発展し、工業原料の
大量生産を期待すると共に、立地的条件から見て重工業及
び化学工業の発展の余地あり、今後に期待するものである。
軽工業の大陸に於ける発展はこれ々大いに助長する必要
を認める。又将来皇国は軽工業、なかんづく繊維工業及び雑
工業を逐次整理し、これが大陸移動を考慮するの要がある。
皇国の農業に関しては土地に関する諸制度を改善し、経
営を刷新し、農家の安定向上を計り、国民主食を確保すると
共に、農村人口の定有を策せんとす。なほ水産業に関して
はます/\その発展を図り、また森林資源の合理的活用と
その保続(ほぞく)を図らんとす。
満洲の工業に関しては、日満支の食料飼料補給の基地た
るに鑑み、また世界に対する特殊農産物の供給源たるに鑑
み、徹底的なる農産物の増産を期待するものであるが、な
ほ農業の開発に当りては、皇国農業開拓民の入植を促進す
る。支那の農業については、その国民主食の確保に努め棉
花及び特産物の増産を必要と考へる。
労 務
世界の経済に対して優位を確保するためには、国民の労
務及び技術の地位が画期的に重要性を増して来るのである
が、これがため皇国の労務技術の体制に画期的な改訂を加
へる必要があり、また東亜共栄圏の世界経済に対する優位
性を維持するためにも各国及び各地域がそれ/"\の有す
る勤労力を、全体の向上のために貢献せしむることを考へ
なければならない。
これがため皇国は労務技術の新らしき体制を整へ、労務
者心身の錬成、科学教育の徹底、労働生産性の高度化、技
術者及び技能者の養成に努め、満支経済建設に対して所要
の援助育成の目的を達成せんとする。
即ち満洲及び支那に対しては、産業開発又は経済復興に
必要なる良き技術者及び技能者を提供するであらう。また
両国は、勿論技術の重要性に鑑みて、自らもこれが養成の
ため画策が必要なのである。
満洲国は北支労務者の計画的入満竝びに定着を計ると
共に、国内よりの充足方策を確立し、特に鉱工業生産に於
ける労務管理の刷新確立に努むべき要ありと考へられる。
金 融
国防経済の建設を促進するためには、金融の職能も自
ら国家的目的にならなければならぬ。それは国家の必要と
する物資の質及び量の確保を可能ならしめることにあるの
である。日満支を通ずる産業計画の実施を可能ならしめる
ためには、計画的に資金の配分を決足し、且つこれを実行
し得る金融機構を有たねばならぬ。また今後技術の進歩、
産業分野の設定等に伴ひ、企業施設の転換に応じ、また重
要物資の貯蔵をなし得べき金融上の仕組を整備するの要あ
りと考へらる。
日満支の資金は三国の蓄積によるべきは勿論であつて、
これがため日満支三国は蓄積の増加及びその活用を図ら
ねばならぬ。
而して満洲支那に於ける重要産業の開発に所要の資金
は、皇国これを援助するのである。
また日満支三国の経済関係の緊密化に伴ひ、国際決済上
の三国の互助的関係を確立して行くべきである。
交 易
新らしき世界経済の秩序の中に於ける交易に関しては、
従来の如き商業的貿易主義に相当の訂正を加へる要があ
る。即ちこれに代つて生産主義的な貿易、即ち各国、各地
域、各経済圏より、自らの計画的生産に必要なる物資を
獲得するために、他の必要とする物資を供給し、日満支
三国は勿論共栄圏の中の各地域は、相互一体的な関係に貿
易を規制して行くことが必要になるのであり、かくすると
き、日満支三国及び共栄圏内部に於ける物資交流の緊密化
を助成するため、相互の間に特殊の支払協定が必要となつ
て来るのである。
交 通
日満支三国及び共栄圏内に於ける物資交流の緊密化に伴
ひ、また共栄圏の安全を確保するために、三国の交通関係は
綜合計画的に整備運営せらるることを必要とし、これがた
め三国相互間の海陸運輸施設の連絡を促進し、船舶の飛躍
的増加、航空の統制連絡、電気通信施設の整備拡充を回
らねばならぬ。(昭一五・一一・五)
写真週報
起源二千六百年祝典臨時号 去る十日、十一日に開かれた曠古の祝典及び奉祝の情景をはじめ、全国津々浦々に湧き上がつた国民奉祝の模様を収録して内閣情報部では、写真週報祝典臨時号を発行することになりました。表紙とも五二頁、定価二十銭 十一月三十日発行予定 |
写真週報 (十一月十三日発行)
☆表紙神苑に菊花匂ふ
☆寿ぎまつる昭和楽 紀元二千六百年記念雅楽
☆爆煙に消ゆる援蒋ビルマルート
☆日本の佳年を慶祝に ヒトラー・ユーゲント指導者来朝
☆三選のルーズヴェルト大統領
☆真摯敢闘の八日間
紀元二千六百年奉祝第十一回明治神宮国民体育大会
☆白髪もこの意気 宮城県白石町の町民体育大会
☆ふえもふえたりオットセイ
☆読物ペーヂ
日満支の経済建設と東亜共栄圏の確立
表彰に輝く日本女性の鑑
国民服が決まりました
海外同胞にきく(上)
大陸派遣学徒は語る(下)
時局板
主婦の知識
その他
1940.11.13号