情報宣伝の新体制 --- 内閣情報部の拡充 ---
去る八月十三日、政府は閣議で内閣情報部の機構を拡充することに決定、「内閣情報部の機構を改め、外務省情報部、陸軍省情報部、海軍省海軍軍事普及部、内務省図書課の事務等を統合し、情報竝びに啓発宣伝の統一及び敏活を期する」ことになつた。
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では今まで、情報及び啓発宣伝についてはどんな機関が当つて来たであらうか。
情報については勿論、どんな官公署でも大なり小なり情報を処理しないところはないが、報道、啓発宣伝までも含めた機構としては、外務省情報部、陸軍省情報部、海軍省海軍軍事普及部があり、更に新聞雑誌等には、内務省図書課が、ラヂオについては逓信省が担当するなど、種々の機関があるのであるが、その間、事務が重複してゐる点もあり、またそのために事務の敏速を欠き、その威力を国の内外に向つて充分に発揮出来ぬ憾みもないではなかつた。
昭和十一年七月、広田内閣の下に内閣に情報委員会の制度が生れ、国家的綜合的見地に基づく情報宣伝政策とその統制が図られた。次いで時代の要求によつてこの委員会の官制が改正され、昭和十二年九月内閣情報部へと拡充発展し、更に本年六月、分課規定を明らかにして着々その基礎を固めたのである。
しかしながら、世界情勢は今や劃期的の転換期に直面してきた。これに処するためには、政治、経済、文化等あらゆる方面に於て新らしい体制が確立され、国民が一つ方向に向つて打つて一丸となつて推進して行かねばならない。情報、宣伝の部門に於ても、国民の意志の統一、強化をはかるために新体制樹立の要望は切実となつた。
現在の内閣情報部の機構、組織を以てしては、又一方に於て各省の情報、啓発宣伝の機構をそのまゝにしておく限り、戦時体制に有效適切な情報、啓発宣伝は充分の效果を発揮することは出来なくなつた。そこでこれら各機関の職分の特異性を尊重しつゝ、事務の重複や無駄を合理化し、内閣情報部の下に統合しようといふことになつたのである。
目下これが具体案については関係各庁の間で協議研究されてゐるが、急速に実現を見る筈で、これこそいはゆる官界新体制にトップを切つたものである。
第二〇一号(昭一五・八・二一)
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