×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

 帝国国防方針/用兵綱領(改定)
               (一九三六年=昭和二年六月三日)



    帝国国防方針

一 帝国国防ノ本義ハ建国以来ノ皇謨二基キ常二大義ヲ本トン倍々
  国威ヲ顕彰シ国利民福ノ増進ヲ保障スルニ在リ
二 帝国国防ノ方針ハ帝国国防ノ本義二基キ名実共二束亜ノ安定勢
  力タルヘキ国力殊二武備ヲ整へ且外交之レニ通ヒ以テ国家ノ発展
  ヲ確保シ一朝有事二際シテハ機先ヲ制シテ速二戦争ノ目的ヲ達成
  スルニ在リ
   而シテ帝国ハ其ノ国情二鑑ミ勉メテ作戦初動ノ威力ヲ強大ナラ
  シムルコト特二緊要ナリ尚将来ノ戦争ハ長期二亘ル虞大ナルモノ
  アルヲ以テ之二堪フルノ覚悟卜準備トヲ必要トス
三 帝国ノ国防ハ帝国国防ノ本義二鑑ミ我ト衛突ノ可能性大ニシテ
  且強大ナル国力殊二武備ヲ有スル米国、露国(「ソヴイエト」連
  邦ヲ示ス以下之二做フ)ヲ目標トシ併セテ支那(中華民国ヲ示ス
  以下之二做フ)、英国二備フ之力為帝国ノ国防二要スル兵力ハ東
  亜大陸竝西太平洋ヲ制シ帝国国防ノ方針二基ク要求ヲ充足シ得ル
  モノナルヲ要ス
四 帝国軍ノ戦時二於ケル国防所要兵力左ノ如シ
 陸軍兵力
  五十師団及航空百四十二中隊
 海軍兵力
  艦艇 主力艦十二隻 航空母艦十二隻 巡洋艦二十八隻
      水雷戦隊六隊(駆逐艦九十六隻)
      潜水戦隊若干(潜水艦七十隻)
  航空兵力 六十五隊

   帝国軍ノ用兵綱領

一 帝国軍ノ作戦ハ国防方針二基キ陸海軍協同シテ先制ノ利ヲ占メ
 攻勢ヲ取リ速戦即決ヲ図ルヲ以テ本領トス
   之カ為陸海軍ハ速二敵野戦軍及敵主力艦隊ヲ破摧シ併セテ所要
 ノ彊域ヲ占領ス尚作戦ノ進捗二伴ヒ若クハ外交上ノ関係二鑑ミ所
 要ノ兵力ヲ以テ政略上ノ要地ヲ占領スルコトアリ
   陸海軍ハ協同シテ国内ノ防衛二任シ前記作戦ノ本領二背馳セサ
 ル範囲内二於テ之ヲ実施ス
   対馬海峡ノ海上交通線ハ陸海軍協同シテ常二確実二之ヲ防衛
 ス
二 米国ヲ敵トスル場合二於ケル作戦ハ左ノ要領二従フ
   東洋二在ル敵ヲ撃滅シ其ノ活動ノ根拠ヲ覆シ且本国方面ヨリ来
  航スル敵艦隊ノ主力ヲ撃滅スルヲ以テ初期ノ目的トス
   之力為海軍ハ作戦初頭速二東洋二在ル敵艦隊ヲ撃滅シテ東洋方
  面ヲ制圧スルト共二陸軍ト協力シテ呂宋島及其ノ附近ノ要地並
  瓦無島二在ル敵ノ海軍根拠地ヲ攻略シ敵艦隊ノ主力東洋海面二来
  航スルニ及ヒ機ヲ見テ之ヲ撃滅ス
   陸軍ハ海軍卜協力シテ速二呂宋島及其ノ附近ノ要地ヲ攻略シ又
  海軍ト協力シテ瓦無島ヲ占領ス
   敵艦隊ノ主力ヲ撃滅シタル以後二於ケル陸海軍ノ作戦ハ臨機之
  ヲ策定ス
三 露国ヲ敵トスル場合二於ケル作戦ハ左ノ要領二従フ
   極東二在ル敵ヲ速二撃破シ併セテ所要ノ彊域ヲ占領スルヲ以テ
  目的トス
   之力為陸軍ハ先ツ烏蘇里方面(概ネ興凱湖及ウォロシロフ附近
  一帯ノ地域ヲ指ス以下之二做フ)ノ敵就中其ノ航空勢力ヲ迅速ニ
  撃破シ且海軍ト協同シテ所要ノ兵力ヲ以テ浦潮斯徳等諸要地ノ
  攻略二任ス 次テ黒竜方面(概ネ「プレーヤ」河及「ゼーヤ」
  河各下流流域ヲ指ス) 及大輿安嶺方面二於ケル敵ヲ撃破ス 爾後
 作戦ノ推移二応シ釆攻スル敵ヲ撃破ス
  又状況二応シ海軍卜協力シテ必要二応シ北樺太、樺太対岸及
  カムチャツカ
 勘察加方面ノ諸要地ヲ占領ス
  海軍ハ作戦初頭速二極東二在ル敵艦隊ヲ撃滅シテ極東露領沿海
 ヲ制圧スルト共二陸軍卜協力シテ烏蘇里方面二於ケル敵航空勢力
 ヲ撃滅ス 又陸軍卜協力シテ浦潮斯徳共ノ他ノ要地ヲ攻略シ且黒
 竜江水域ヲ制圧ス
 欧洲二在ル敵艦隊来航スル場今l於テハ鮎へテ之ヲ撃滅ス
 四 支那ヲ敵トスル場合二於ケル作戦ハ左ノ要領二従フ
  北支那ノ要地及上海附近ヲ占領シテ帝国ノ権益及在留邦人ヲ保
 護スルヲ以テ初期ノ月的†ス
  之力為陸軍ハ北支那方面ノ敵ヲ撃破シテ京津地区ヲ占領スルト
 共二海軍卜協力シテ常朗ヲ攻略シ又海軍卜協力シテ上海附近ヲ占
 領ス
  海軍ハ陸軍卜協力シテ青島ヲ攻略スルト共二陸軍卜協力シテ上
 海附近ヲ占領シ又揚子江水域ヲ制圧ス
 五 英国ヲ敵トスル場合二於ケル作戦ハ左ノ要領二従フ
  東亜二在ル敵ヲ撃破シ其ノ根拠ヲ覆滅シ且本国方面ヨリ来航ス
  ル敵艦隊ノ主力ヲ撃滅スルヲ以テ初期ノ目的トス
 六 露図、米国、支那及英国ノ内二国以上ヲ敵トスル場合二於テハ
 概ネ二乃至五ヲ準用シ情勢二応シ此等数回二対シ為シ得ル限り遂
 次二作戦ヲ行フ
 七 参謀総長、軍令部総長ハ本綱領二基キ各作戦計画ヲ立案シ相互
  二商量協議ヲ重ネタル後裁可ヲ奏請スルモノトス

  【29】国策の基準
         (一九三六年=昭和一一年八月七日、五相合議決定)


  「国家経給ノ基本ハ大義名分二即シテ内、国礎ヲ軍国ニシ外、国
   運ノ発展ヲ遂ケ帝国力名実共二束亜ノ安定勢力トナリテ東洋ノ平
   和ヲ確保シ世界人類ノ安寧福祉二乗献シテ慈二輩国ノ理想ヲ巌現
   スルニアリ帝国内外ノ情勢二鑑ミ当二帝国トシテ確立スヘキ根本
   国策ハ外交国防相侯ツテ東亜大陸二於ケル帝国ノ地歩ヲ確保スル
   ト共二南方海洋二進出発展スルニ在リテ其ノ基準大綱ハ左記二拠
       レ
     ノ
   H 東亜二於ケル列強ノ覇道政策ヲ排除シ真個共存共栄主義ニヨ
    リ互二慶福ヲ頒タントスルハ即チ皇道精神ノ具現ニシテ我対外
    発展政策上常エー貫セシムヘキ指導精神ナリ
   ロ 国家ノ安泰ヲ期シ其ノ発展ヲ擁護シ以テ名実共二束亜ノ安定
    勢力タルヘキ希国ノ地位ヲ確保スルニ要スル国防軍備ヲ充実ス
   臼 満洲囲ノ健全ナル発達卜日満国防ノ安国ヲ期シ北方蘇囲ノ脅
    威ヲ除去スルト共二英米二備へ日満支三国ノ緊密ナル提携ヲ具
    現シテ我力経済的発展ヲ策スルヲ以テ大陸二対スル政策ノ基調
    トス而シテ之力遂行二万リテハ列国トノ友好関係二留意ス
   紳 南方海洋殊二外南洋方面二対シ我民族的経済的発展ヲ策シ努
    メテ他国二対スル刺戟ヲ避ケツツ漸進的和平的手段ニヨリ我勢
  カノ進出ヲ計り以テ満洲国ノ完成卜相侯ツテ国力ノ充実強化ヲ
  期ス
二、右根本国策ヲ枢軸トシテ内外各般ノ政策ヲ統一調整シ現下ノ掛
 勢二照応スル庶政一新ヲ期ス要綱左ノ如シ
 H 国防軍備ノ整備ハ
  川 陸軍軍備ハ蘇囲ノ極東二使用シ得ル兵力ニ対抗スルヲ目途
  トシ特二其在極東兵力ニ対シ開戦初頭一撃ヲ加へ得ル如ク在満
  鮮兵力ヲ充実ス
  何 海軍軍備ハ米国海軍二対シ西太平洋′制海権ヲ確保スルニ
  足ル兵力ヲ整備充実ス       1
 〔捕】我外交方策ハ一二根本国策ノ円満ナル遂行ヲ本義トシテ
  之ヲ綜合刷新シ軍部ハ外交機関ノ活動ヲ有利且円満二進捗セシ
  ムル為内面的援助二勉メ表面的工作ヲ避夕
 三、政治行政機構ノ刷新改善及財政経済政策ノ確立共ノ他各般ノ施
 設運営ヲシテ右根本国策二適応セシムルカ為左記事項二閑シテハ
 適当ノ措置ヲ溝ス
  ∽ 国内輿論ヲ指導統丁ン非常時局打開二開スル国民ノ覚悟ヲ
  筆固ナランム
  何 国策ノ遂行上必要ナル産業並二重要ナル貿易ノ振興ヲ期ス
  ル為行政機構並二経済組織二適切ナル改善ヲ加フ
  い 国民生活ノ安定、国民体力ノ増強、国民思想ノ健全化二就
  キ適切ナル措置ヲ護ス
  出 航空並二海運事業躍進ノ為適当ナル方策ヲ講ス
  戟@国防及産業二要スル重要ナル資源並二原料二対スル自給自
  足方策ノ確立ヲ促進ス

     り 外交機関ノ刷新卜共二情報宣伝組織ヲ充備シ外交機能並二
     対外文化発揚ヲ活瀞ニス
                (外務省崩r日本外交年表‥寧王要文書」下巻)



   【30】帝国外交方針
            (一九三六年=昭和一一年八月七日、四相会議)

  国策二遵由シ之力達成ヲ期スル為外交方針ヲ確立シ施策ヲ之二順応
   セシム可ク出先文武官憲ノ連絡ヲ緊密ニシ且国民ノ指導ヲ積極通切
  ニシ、以テ外交ノ完全ナル統制ヲ期ス。
   而シテ我公正妥当ナル権益ノ擁護推進二対シテハ自届退費ヲ戒メ常
   二積極的態度ヲ持スルト共二列国ノ帝国二対スル猫疑心若シクハ危
   惧心ヲ解消セシムルニカム
      第一 一般 方 針
   東亜ノ恒久的平和ヲ確立シ帝国ノ存立発展ヲ完ウスルカ為、満洲囲
   ヲ育成シ同国トノ特殊不可分関係ヲ益々軍国ナラシメ、世界的見地
   二於テ蘇支両国トノ関係ヲ自主的二調整スルト共ニ、南洋方面二平
   和的発展進出ヲ計り、依テ以テ東亜二於ケル安定勢力タルノ実ヲ挙
   クルヲ帝国外交ノ中枢方針卜為ス。
   而シテ近時蘇聯邦ハ共国防上及国際上ノ地位頓二強化スルニ伴ヒ極
   東二過大ノ軍備ヲ配シテ東亜方面二対スル其ノ武力革命的迫力ヲ増
   大シ、各方面二対シ赤化進出ヲ企図シ、益々帝国ヲシテ不利ノ地位
   二至ランメツツアリ。右ハ帝国ノ国防二対スル直接ノ脅威ナルト共
  ニ、我東亜政策ノ遂行上重大障碍ヲ為スヲ以テ、差当り外交政策ノ

重点ヲ蘇聯ノ東亜二対スル侵窟的企図ノ挫折特二軍備的脅威ノ解
消、赤化進出ノ阻止二置キ、国防ノ充実卜相侯チ外交手段二依り之
力達成ヲ期スヘシ。
依テ帝国ハ現下ノ国際情勢二綜合的考察ヲ加へ、主要列国トノ関係
ヲ調整シ、国際的二我二有利ナル情勢ヲ誘致スル如ク帝国外交ノ機
能ヲ全面的二活動セシムルヲ要ス。
   第二  方 策 要 綱     ′
一、現下内外ノ情勢二鑑ミ蘇聯二対シテハ我ヨリ進ンテ事端ヲ滋カ
 ラシムルコトヲ厳二戒メ、専ラ平和的手段二依り、従来ノ懸案解
 決二努ムルト共ニ
  ∽ 輿凱潮ヨリ図椚江二至ル国境劃定及国境紛争処理両委月会
   ノ設置ヲ図り、更土其ノ他ノ満、蘇国境及満蒙国境二付テモ
   此ノ種機構ノ設置ヲ図り
  仲 通当ノ時期二至ラハ非武装地帯設置ヲ提議シ
  い 蘇聯側ヨリ更二不侵略条約締結ノ希望ヲ表明シ釆ル場合二
   於テハ彼我均衡ヲ得ル如キ極東兵備整理ヲモ含メタル日、蘇
   間重要諸懸案ヲ解決セハ寧口之力締結ヲ希望スル旨ヲ明示シ
  肖 尚蘇聯ノ日、満、支二対スル思想侵窟ヲ防邁スヘキ適当ノ
   措置ヲ講スヘシ。
二、支那中央及地方政権二対シテハ常二厳然タル態度卜公正ナル施
 策トヲ以テ臨ミ、対民衆経済工作卜相侯チ其ノ対日態度ヲ是正セ
 サルヲ得サラシムル如ク誘導シ共存共栄ヲ基調トスル日支提携ノ
 実現ヲ期ス。北支方面二於テハ日満両国トノ経済的、文化的融合
 提携ヲ策スルト共二蘇聯ノ赤化進出二対シ日満支共同シテ防衛二
 当ルヘキ特殊地域タラシムルニカム。

   爾他ノ地方政権二対シテハ殊更二支那統一又ハ分立ヲ助成シ若ク
   ハ阻止スルカ如キ施策ハ之ヲ行ハサルモノトス。
   以上ハ対支政策ノ根本方針(昭和十年十月四日附対支政策二閑ス
   ル決定参照)ニシテ諸般ノ施策皆之二遵拠スヘキモノナリ。然シ
   テ現下ノ施策二当リテハ日蘇関係ノ現状二鑑ミ先ツ速二北支ヲシ
   テ防共親日満ノ特珠地域タラシメ且拭防資源ヲ獲得シ交通施設ヲ
   拡充スルト共二支那全般ヲシテ反蘇依日タラシムルコトヲ以テ対
   支実行策ノ重点トス。(差当り実行スヘキ方策ハ別二之ヲ定ム)
  三、日米親善関係ノ増進ハ英蘇ヲ牽制スルニ与テカ大ナルモノアル
   処米国ハ鋭意軍備ヲ拡充シ其ノ伝統的極東政策ヲ基調トンテ帝国
   ノ政策ノ推移二多大ノ関心ヲ有シ我二対スル警戒ヲ怠ラサルヲ以
   テ我方今後ノ対支態度如何二依り支那ヲ援助シ益々支那ヲシテ欧
   米依存ノ政策二出テシムル虞アルノミナラス、我力蘇聯対策上頗
   ル不利ナル事態ヲ生スル懸念無キニ非ス、依テ帝国トシテハ差当
   り米国ノ対支通商上ノ利益ヲ尊重シ同国ヲシテ我力公正ナル態度
   ヲ諒解セシムルト共二日米間ノ経済的相互依存関係ヲ基調トシテ
   親善関係ノ増進ヲ期シ同国ヲシテ帝国ノ東亜政策遂行ヲ妨害セシ
   メサル様カムヘシ。
  四、欧洲政局ノ推移ハ東亜二重大ナル影響アルヲ以テ之ヲ我方二有
   利二誘導ン特二蘇聯ヲ捷制スルニカムヘシ。
   ∽ 英国ハ各方面二於テ帝国卜利害関係相客レサルモノ砂ナカラ
    サルモ、東亜二於テ欧米列強中最大ノ権益ヲ有シ、且又欧洲諸
    国ノ向背力英国ノ態度二依ル処多キニ顧ミ、此際姑ク帝国ハ自
   主積極的二同国トノ親書関係ヲ増進シ以テ帝国ノ対蘇閑條二於
    テ我二好意アル態度ヲ執ランメ、蘇聯ノ我二対スル態度ヲ牽制
  スルト共ニ、我海外発展ノ障碍ヲ後和除去スルコト特二必要ナ
  リ。而シテ支那二於テ両国関係ヲ調整スルコト極メテ効果的ナ
  ルカ故l「差当り英国ヲシテ帝国力特二支那二於テ特殊且緊要
  ナル利害関係ヲ有スルコトヲ尊重セシメ又同国ノ在支権益ヲ尊
  重シ、支那二於ケル日英関係ノ局面打開方二付適切ナル方策ヲ
  講スルト共二両国間ノ全般的関係ノ調整二努ムヘシ。
  然レトモ英国ハ列国殊二米、蘇、支ヲ利用シ対日抑圧政策ヲ執
  ルヘキ虞アルヲ以テ此ノ点特二警戒スルヲ要ス。
 H 独逸ハ対蘇関係二於テ概ネ帝国卜利害ヲ斉シクシ、仏蘇ノ特
 殊関係二濫ミ国防上並二赤化対策上我Jノ協調ヲ便トスヘキヲ
  以テ同国トノ友好関係ヲ増進スルト共二必要二応シ日独提携ノ
  実ヲ挙クルノ手段ヲ講シ又其ノ関係ヲ拡充シテ汲蘭等ノ親善関
  係ヲ増進シ以テ蘇聯ヲ牽制スヘシ。其ノ他蘇聯二隣接スル欧洲
  及亜細亜諸国並二爾余ノ回教諸民族トノ友好関係増進二留意シ
  其ノ啓発二カムヘシ。
五、南洋方面ハ世界通商上ノ要衝二当ルト共二帝国ノ産業及国防上
 必要映クヘカラサル地域トンテ将又我民族発展ノ自然的地域トン
 テ進出ノ地歩ヲ固ムヘキモ関係諸国ヲ刺戟スルコトヲ慎ミ帝国二
 対スル危惧ノ念ヲ除去スルニ努メ平和且漸進的二発展進出ニカム
 ヘシ。
 比島二付テハ我方ハ其ノ完全ナル独立ノ実現ヲ期待シ要スレハ比
 島ノ中立ヲ保障スルヲ辞セス。
 蘭領印度二対スル我方ノ発展進出二付テハ蘭印側ヲシテ我方二対
 スル危惧ノ念ヲ去ラシメ、親日二転向セシムルコト極メテ必要ナ
 ルニ付、之力為適切ナル方策ヲ講シ、要スレハ和蘭トノ間二不侵
    略条約ノ綽結ヲ辞セス。
   遁羅及其ノ他後進民族二対シテハ共存共栄ヲ基調トシテ適当二指
   導誘液ス。
  六、海外貿易ハ国民経済生活ノ維持向上二映クヘカラサルノミナラ
   ス財政及国際貸借ノ改善二資シ、帝国トンテハ現時ノ内外情勢二
   鑑ミ特二其ノ伸暢二カヲ致ササルヘカラサルヲ以テ、我々対外通
   商ノ合理的伸展ヲ計ルト共二成ルヘク列国トノ利害ヲ調節シ、重
   要資源ヲ確保及獲得シ、延テ経済力ノ滴養二努ムルヲ要ス。
               (外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻)