第一九二号(昭一五・六・一九)
  欧州戦争の展望
  ドイツ軍に対する観察       陸軍省情報部
  欧州戦争に於ける海上作戦     海軍省海軍軍事普及部
  伊参戦とパリ開場         外務省情報部
  襄西作戦の経過          陸軍省情報部
  現地に軍律施行
  神武天皇聖蹟の調査        文 部 省
  実例に見る貯蓄報国        国民貯蓄奨勅局
  東京下関間新幹線の増設      鉄道省幹線調査課
  友好和親条約と日泰関係      外務省情報部
  ノモンハン国境確定の申合せ成立

 欧洲戦争に於ける海上作戦
                     海軍省海軍軍事普及甜
 風
    止叩側の作戦とモの成果
 ドイツの北欧作戦は、北正和の防‖禦」資瀬l確保‥等、防
紫的目的転生としたとも見られるが、脾雑の作戦に封す
                                                ■l
る▲潜水艦基地、婁軍基地椎得も墟めて大きな憑義を有つ
                                               ′一
てゐる.如ち、ノールウエー南粥岸は、水探探く機雷敷
 ‘つ
設に困難であるのと、大西沖方何に近肘漑であるため、
          小・1て●
潜水艦逓地として好適な弛滑を有し、また共囲北部忙封
する察塊を考へる時は、梯めて有利な舵姦赴地を掟供す
るものである.
 か1る目的を達するために、英封偶の海軍力には非常
 h打ん小‘ヽ .
な懸隔があつたにもか1はらず、ノールウエー上陸作戦
 小ん小▲,
を敢ノ行したのであつて、ナルゲイク上陸など常識ではちよ
                 l■小
 つと考へられないやうな官陰を官してゐるのである.こ
の作戦において、ドイツが更に多数の潜水艦転位用して
ゐたならば、これ忙より大きな被客を英側に輿へ、士た
自国艦艇の棉審も幾分減少できたのではないかと息はれ
るが、被寄修理その他各種の理由で、昔時行動できる一潜
水艦教は案外傾かであり、しかも乗員の蕃成に主力む注
がねばならなかつたのではないかとも息はれる.
 この作戦で、ドイツの最も苦心したのは、云ふまでも
なく海上輪迭であつて、多事の協力により少くもオスロ
                             ぴ
に至る舵路だけは確保しょうと努めたが、海上兵力の撒
 Mレ●く              ▲ てl       わ′‘はひ
弱な悲しミ峯軍の活用に不適の天候等にも災され
て、蛇栂及び述迭船の揖沓は相常数に上つたのである.

 即ち、重巡→隻「栂巡
 二隻(華表は一隻)髄
 逐艦約十隻等七失
 ひ、その他にも大山祝
 事を蒙つたものが戦
 艦、軽巡各−隻、濁
 海軍としては極めて
    い・た▲で
 重大な傷手を受けた
 わけである.
  この山間、礪▲峯軍は・
 ヂyマ」ク及びノー
 ルウエーに首地を進
‥めて敵艦艇攻弊に努
 め、その♯沈艦艇は
 濁側尊家によれば(
 戦艦「湛洋艦五、
 駐漆舵葦持上つて.
 ゐる●
 なほ−雨観象表の被事の許細を入ると、左表の洩りで計る.
 北欧戦における故事(英構両軍費牽封印朋姐悶
       英    榊    掬   1 仰
    糞 失l大 破 車 失 大 破
    毒旦晋旦茶室す空軍女官旦悪女等式
主力旦 1(=旦 一 2
…工…………工÷…−…
 港  3一票晶)   亭
婁 申 一一(3男 女
蓬幾旦 Tl(蒜)一一†劫 岬
.駅…他U旦…8915…≡一
飛行革 旦”  鞋 彗印
備 考紆獅剛酢袖悶紬嘉す
    茸ハ例の作戦とモの成果

 北欧J作戦全般としては、英俳は確かにγイツに先手を
とられたために失敗に絶つたのであるが、とれは明らか

に峯軍及び陸軍において充分の力を頚拭できなかつたこ
とによるのである.即ち、梅上作戦としては、なかく
積碗的であつたことは、ドイヅに云ひ掛りむつけられた
ノールウエー領栴内機雷敷設でも分り、また預じめドイ
      かん一サ
ツの作戦を感知し、すでに≡月窮よりスカ.ハフローに待
概してゐた英本鴎艦隊は、褐軍のノールウエー上陸に先
                           ▲てい一9
だつこと二日、印ち四月七日、礪軍船圏の北上を偵如し、
直ちに川勤してゐるのである.
 その後、海軍は棲めて活溌に峯軍政び忙沸海軍の一部
    くわ小ん               ●,し
と協力、共和な行動む以て礪軍上陸作戦の阻止、次いで
英俳陸軍の上陸作馳協力後には、その撤退作糞協力に任
じてゐたのであるが、なかんづくその成輿を収めたと認
められるのは、礪海軍腑艇に輿へた鴇宰である.帥ち、こ
の作戦において礪軍はオスロ方南で巡洋艦二重を失ひ、
北方ナルゲイケ方面基地にて新銃駆逐艦敷隻(英州は九生
                             .汀▲▼
と預魂)を失ひ、また翰造船においても十五室杜度を盤T
 もん
沈されたやうであり∴この作戦における礪海軍の被寄は、
元雑兵力僅かな岡海軍の残存兵力を、全般的に見て三分
 の二緯度に低下させたことになり、注凋を要するところ
 である.

  本作戦における緒戦の模様巾、澱へ海軍が極めて弟敢に
                           ●
 戦艦ウォース.ハイトネ血で炊い峡杓円に衆人させて喝騒遽
 艇を撃滅したナルヴィクの海戦の巷などは、今日すで
 にかなり詳しく報道されてゐるが、われくが規▲今最も
 知らんと欲してゐる昭纂畢の英側艦艇に輿へた綿審の状r
・[は、礪倒からは相常大きく倖へられてゐるにか1はら
 ず、英倒が依然として多く語らないために明瞭ではない.

  しかし今日まで英図が公表したところにょれば、次の
 程度のことはほど確蜜であると思はれる.
 訓貯帥鞄英の蛮甘↓中表によろもの玩拙g細
  巡洋艦     二                〇
 翳逐艦  五     三  三
 小艦艇 約二三    ニー 二
             悦悶不明なるも常時の
  州潜水艦  三乃至四 紳況より推し婁曝によ
              るもの★ハ部分と一認む

 上述の巡拝艦の内∴は四千嘲の雀巡拝艦カールー
 であり、他の−は渋いながら約一帯噸の巡洋艦エフイン
                  ■ヽ 小・た
 ガムであること.騒逐舵以下の小型艦は察操に極めでお
 きことは注目すべきところである.なほ礪倒では、五月
                ●ふ小l か
■三日前後に英の凄力艦二隻む急降下爆撃により水洗した

 と稲し、英はこれを否定してゐるが、その後の▲情報によ
 り未だいづれとも断定臣下し粂ねてゐる情況である.
 [鳳
  蘭自侵入後、ドイツは同方南滑岸に機雷む敷設すると
                           ●■ん lヽ
 共に、高速魚雷艇を相昔多数行動盲せて海正面掩護に任じ
                          r■●,ウいてい
 させた.機雷忙よる被客は明らかでないが、魚雷確は聯
 合側騒逐艦、稔途胎尊敬隻を弊沈し相普活用してゐる.
                 ▲んくわり
 察軍の海上作戦に対する協力も何滑に行はれ、敵艦艇
 使途賠攻撃の成泉は大なるものがある.(衷慮)
  礪軍の蘭自供人後忙おける英海軍の行動は、全般とし
 て滑棲的で、今日までの情報では」濁峯軍の改革と何方
       ▲−モ 一
 両港南が鴻瀬の多い閑係止、主力艦、舵峯母艦等の大鹿
 に同方南に姿を現してゐないやうである.その活動も敗
           ▲てつ土い
 壌英俳陸軍の急速撒温作糞協力を主としてゐるやうで、
 その受けた禎香の大部は、・礪婁軍の爆拳に基づくもので
                        ′ ′、つ小ん▲てい
 あけ、英海軍はこの作発中騒遽艦六雀、その他難艦艇二
 四斐を失つたと公表してゐるのである.
 白甘作戦に串ける被事(蓄両軍発表)朗詰帥…


 主力腔          一
 巡一三 丁〒 コ一
 弘一b 柑 丁封
  潜      5
 轟. 卑

飛柑槻汁攣[
      36 仙

備 考一体串七隻給油舵一隻沈没




 伽海軍は英海軍と協力し、昨年九月開戦以降本年ニT月
 に至る七ケ月間
は、艦隊の大部
   ▲甘い一ん
及び内戦部隊の
  ●
金力を挙げ」主
       ′′・’lヽ
‥として封濁封鎖
γ作戦に磯事して
▼ゐたが「四月北
▼欺作戦、次で五
月自衛作戦の開
始以来、艦隊の
一部をこれ等作
戦に協力させ、
また最近はイタ
リアの象′戦によ
り、固有の地中
海艦隊に主力舷
 r・1フ.‘い
を増勢し、英艦
隊と協力しイタ

サ7に備へてゐる模様である.
   艦隊の配備放びに主要行動
 大西洋艦隊ハ職陛五、航婁男性一、水雷故障二隙、潜水故障一
    ● 小ん
隊)を基幹とする有力部隊はプVスt頚面を、地中海艦
隊(巡滞艦野二喝・水管軌墜一常温水態隊一陣)の一部は
ツーロ′ソ方面、環飴ばやサブラツヵ、ダカール方面を基地
          ・一汀●】−り
としで、d礪艦艇廿捜索撃破址びに大西洋の海上交通線保
破に常け、‥別に潜水艦小艦艇及び雀式艦艇からなる内戦
                     lい〃r
艶隊を、本国滑岸及び北アワガカ滑岸に配備し、滑肯防
敷及び乳濁凝を行ひ、北欧作俄及び自蘭作戦に町主
として大層津浪蹴爪二部及び瀧渉秒内戦部隊を懲らせて
心るやろで卦るが、併しい去とろは未だ判明しない.
 な仏教近俳艦隊の大潮瀬〔未払中瀬(kyア、エジプト
多・及び西背海(アルゼりア方南)花鳥申され、英地中
浄艦隊と協力し専ら伊海軍忙備へてゐるやうである.
   .現在までの海上作戦の成果と祇事
 〉
U.開戦後木簡丹聞におけ局成果上して彿海相は、
   糖舶経衛隻数 ニ、000隻、内四隻畢失


   ハ柏局地兵及伊野働者、カナダ、イソド、濠洲軍等の無事
    輸逸に成功)
   ドイツ潜水艦撃沈隻敷    †一隻
    英海軍と協力しバルナツタ潅以外における礪海
    上交通の虜仝速断に成功した
 と蟄哀してゐる卜
M五月末日までにおけろ彿海霊びに商胎の被濱中、
    て●小く
 ほゞ的確な救は、英に此し造かに微少であつて、現有
 勢力(既成)の山概ね四−五%一円外に過ぎない.即ち、
 沈操舵艇は」
…蓬…`‥……0。…首による窪
   珊 耕一( ニ、四〇〇嘲) 北欧馳だおいて轟爆のため爆沈

   潜水艦一ハ  五五月嘲)

   給油世」ハ 五、五〇や咽) 白儒教において右固
  辞蓬掟七(一二」000弼V
     計  〓・】隻 約二六、000噸〉
 賓失商漑及び油槽糖約−○萬噸軽度のやうである.
 儒
 γイツはノールウ▲−、ヂソ†−ク、オランダ、ベル
 ギー及び
 北俳占領
 によ≠y、
…英本土包
   ▲lい一い
 」園の態勢
 ▲I、¢
 を亜へた
 ものであ
 つて、礪軍
は更にL宵
 に猛進宰
を授け、
遽に首都
.ハyむ攻・
略して併
囲席憩の姿勢むとるに室つたのである.今後主作戦がい


    し か▲’
 づれに指向されちかは、なほ竣断む許さないが、海上作
                     とく一つ
戦に限るならば、小型戦艦〕巡洋艦、特設巡洋艦等によ
 る潰商破壊、多数の潜水艦及び戊杢横による英本土方面
               ‥しつ し     一
 無制限爆畢、機雷戟強化等は音施の算、大なるものと息
 はれる.
  かl小ん
 巷間侍へちれる封英上陸箇も必ずしも不可能ではな
く、ドイツが或る程度の制峯瀾を獲得し、英海軍忙打宰
を輿へた場合は、高速艦艇、潜水艦及び舵杢甥の護衛
 lんr
掩護の下に高速愉遽艦艇により陸軍を英本土南東岸方
南、或ひは東岸もしくはアイルランドに橡迭、上陸させ
 ることも考へられる.
 右の場Aq島帝国英国がr−ヴァー海峡のやうな特殊
                 t し
の狭い海面で、猫軍を阻止すべき制重機をも含む虜の制
                         ・lん ●
海槽を確保し得るか香かが、英本土の安危の分れる鮎で
はないかと考へられる.
 [鳳
 最近の地中海における英彿封伊海軍の勢力比は、大領
次表の通りで濁る.

       英   外   計    伊
」i 彗 三  旦  九  大
…洋…一.…一…_ 閂
支は水母) 一ニ… 三 一
‥.1 轟 妊  〓甲  三二   五六 一〇〇
・♯ 水 】I 一b 三入 四入 九入
.「
・官胤鳳凰
 イタ,丁は、まづ地中海・の中央に位する地理的に有利
 集い一=r
・聾l利し、‥峯王丁及び」潜水姫と活緒させ、バルカyへ
一彗丁臭沸の津Fレカネーr、汝びに丁フyカへの
           lウし■
彗レサル帝群島と奪苧るであらうヽ徒つてこれに
封舞すろ英、件の室革、薄水盤との間に激戦が展開され
ることと竣鵡される..
 士た丁フ畑カでは、エチオピア、すビア南方面からエ汐
    】X▲汀Y_               小▲,小い し●‘ん
プ†と兢苧、タ▼n−ラyγを基地として、紅海を速断す

 止るのセはないだらうか.
 一また・地▲中葉西の航路を速断することも考へられる
                                  ▲l
 が、とれは英のイラク、.ハレスチナ、の石油供給路を断ち、
         _lt                  い・凡
 バルカン工作を紡げるので、英国にとつては大襲な痛
 †
 手となるであらう.多事においてはイクワ7側が、敷、
            い, ゐ
 基地とも英俳に比し康位である.
                                し▲−
 女紅海軍は英併に譲らねばならねかも知れないが、守
 一い
 勢の兵力は充分である.イタサ7に封し、英、.沸は先づ
 地中海か東西から封じ込むととと息はれるが、二また、ス
           ▲_ L▼        ▲▼一▼
 ペイシめ参戦と阻止し〕トルゴを山琴つて近東バルカンへ
           は〕■
 の・イタサ7の進出と阻み、或ひは又飴裕があれば兵力た
 ▲廻して反♯しないとも限らな.い.
  しかし乍らイタサ丁の義は、英、沸に封し相普に心
 魂的孝を及ぽしたことであちうし、前述のやうな停戦
 に上砂、英俳抵硬橿的に出るとすれば、英、俳としても、
 L簡且丁忙は、地書面に兵力と分けるわけ・に・は行か.ず、
                   しlIけり
 戦争は猫軍側に有利に展開し、案外移籍を早めるので
 はなからうかと観測されないではない.