第一九二号(昭一五・六・一九)
  欧州戦争の展望
  ドイツ軍に対する観察       陸軍省情報部
  欧州戦争に於ける海上作戦     海軍省海軍軍事普及部
  伊参戦とパリ開場         外務省情報部
  襄西作戦の経過          陸軍省情報部
  現地に軍律施行
  神武天皇聖蹟の調査        文 部 省
  実例に見る貯蓄報国        国民貯蓄奨勅局
  東京下関間新幹線の増設      鉄道省幹線調査課
  友好和親条約と日泰関係      外務省情報部
  ノモンハン国境確定の申合せ成立

ノモンハン国境確定の申合せ成立

 昨夏五ケ月に亙つて激烈な戦闘を繰返したノモンハン
事件は、九月十五日に至つて停戦協定が成立、これに基
づいて日満ソ蒙四ケ国代表よりなる国境確定委員会を
設け、その第一回委員会を昨年十二月七日チタに開催、
その後会議地をハルビンに移して審議を進めたが主張の
一致と見るに至らず、遂に一月三十日委員会の業務を終
止せしめて事実上決裂の状態に陥つてゐた。その後モス
コーに於て東郷大使がモロトフ外務人民委員と折衝を続
けてゐたが、六月九日相互の互譲によつて意見の一致を
見るに至り、国境確定に関する申合せが成立した。
 右について外務省では翌十日、左の如き日ソ共同コン
ミュニケと外務省情報部長談を発表した。

     日ソ共同コンミュニケ

 最近日本大使東郷氏とソヴィエト聯邦外務人民委員モ
ロトフ氏との間に行はれたる交渉の結果、曩に日満蘇蒙
国境確定混合委員会に依り解決せられずして日蘇間竝び
に満蒙間相互関係調整の障害たりし客年紛争ありたる地
域の国境確定問題に付き、日満側及び蘇蒙側は其の利益
の相互的認識の下に、昭和十五年六月九日前記地域の国
境確定に関する申合せを成立せしめたり。

      情報部長談

 客年九月ノモンハン停戦後該地域に於ける国境確定に関し
チタ及びハルビンに於て日満ソ蒙四国代表一堂に会して審議
したが、本年一月末ハルビン会議も彼我の主張一致せず、一
応其の業務を終止せもめたが、其の後モスコーに於て東郷大
使並びにモロトフ外務人民委員間に引続き折衝を行つた結
果、今般相互の互譲妥協に依り意見の一致を見、半年に亙り
日ソ間の懸案であつたノモンハン国境確定問題も茲に円満に
解決を見た次第である。