第一六八号(昭一五・一・三)
  紀元二千六百年祝典について     内閣紀元二千六百年祝典事務局
  今年の精動は如何にすべきか     内閣情報部
  支那事変処理と陸軍         陸軍省情報部
  紀元二千六百年と帝国海軍      海軍省海軍軍事普及部
  東亜観光ルート           国際観光局
  戦時統制物資講座(六)皮革     商 工 省
  現地寄稿 経済的に見た南支     南支派遣軍報道部
  最近公布の法令           内閣官房総務課
  日本人の寿命調べ

事変第四年を迎ふ

 紀元二千六百年、この輝かしい年を迎へて、我々が今更ながら驚かされるのは、日本が歩んできた歴史の偉大さである。しかし今は、悠久二千六百年の足跡を徒らに讃美し、回想の夢を追つてゐるときではない。我々が今直面してゐる現実は深刻であり、急である。即ち、この燦然たる過去の行跡を足場にして、更にこれを将来に向つて進展させ、飛躍させる興亜躍進の一路あるのみである。
 世紀の黎明、東亜新秩序建設の炬火はすでに燃え上つた。「和平救国」「善隣友好」の旗の下に立ち上がつた汪牙ハは、今、更生新支那中央政府の実現に邁進しつゝある。我々はこれに対して支援を惜しまないがしかし、中央政府が成立したといつても、決してそれは事変の終結を意味するものではない。事変の処理は寧ろこれから、こゝに具体的の第一歩を踏み出したと考へねばならない。
 新東亜建設の道は決して容易ではない。しかし我々は石にかぢりついても戦ひ抜かねばならない。これを乗切るか否かの鍵は、他ならぬ国民のうちにある。そして支那事変の処理、新東亜の建設といふこと、これこそ我々に課せられた紀元二千六百年の課題であり、使命である。