欧州戦争と我が国経済の動向

 欧州戦争の再来がわが国に、如何なる影響を及ぼすべ
きかは、勿論今後の経過如何に徴する外はないが、これ
を大勢的に見れば確かに好影響を齎すことは予想され
るところである。しかし今日わが国においては支那事変
を遂行せねばならず、生産力の拡充及び東亜の新秩序を
建設するための経済統制の必要は、毫も減じないばかりか
更に一層の強化を必要とすべきことは云ふまでもない。
 戦争の勃発によつてわが輸出貿易が将来共に発展を
齎すとしても、一歩翻つて考へれば、今次の大戦は曩の世
界大戦当時とは少からず様相を異にしてゐるので、必ずし
も楽観は許されず、各国における物資の輸出制限、価格
騰貴等の結果、物資によつては民需の制限を一層強化す
る必要も考慮され、また戦時最も必要な輸出用の原材料
の入手難を招来する懸念さへ生じて来るので、これが対
策の樹立は極めて重要視されねばならぬ点である。
 殊に欧州の戦争に刺戟されて国内物価を昂騰するやう
な事態を生じては、それこそ戦時下のわが国にとつては
由々しい問題を惹起することになるので、徒らに戦争の
長期に亙ることを恃んで戦争景気を謳歌したり、或ひは
株式市場の奔騰に乗じて投機思惑に走るが如きことは、
最も警戒を要する危険思想である。今は何よりも消費節
約、貯蓄奨励、物資の活用など、全国民の財政経済政策
への協力が強化さるべきである。
 政府はかゝる事態に鑑み企画院に「時局経済対策委員
会」を設置して万全の対封策を期すると共に各省におい
てはそれ/"\所管の問題について具体策を講じ、投機
思惑の抑制に対して種々対策を考究中であるが、今次
の大戦争のわが国経済界に及ぼす影響については、この
際特にわが国民としての関心を要するので、左にこれを
少しく部門別に検討してその動向を観察してみよう。


    貿   易

 先づ貿易について見れば大戦勃発直後は交戦国との取
引困難を来たし、交戦国船舶に積載した貨物の処置、輸出
入契約の取消などからわが貿易が多少の影響を蒙ること
は免れないであらう。交戦国や中立国の輸出制限禁止と
はじめ外国傭船の引揚などからわが国に必要な物資の入
手を不円滑ならしめる情勢を招くことも懸念されるが、
繊維製品、雑貨等の平和産業部門の商品は、交戦国の輸
出力の減退、海外物価の昂騰によつてある程度輸出増
進を期待することが出来る。
 併し、掛出折本格的町なるのは大磯の影替が充分に澄
潤した後のことであつて、可成りの期間を宰サるのみな
らす、等軒沌潜長期に文鳥とと々卦捷とする絹の.であ
ること忙婁されねはならね.
                       はんだん
 軍露備品の如きは」現金の情静から判断tて輪出は
                           はん 一
相宮田難であると−琢想雀れるので、稔出増加の蔽薗は専
らこの平和産業部門∬限定されるのであらうが、この種
の部門においても原材料の確保、労働力の補給、鎗艦の
駒建等に種々の制約も息少、以前のせ界大馳管時上は飴
程事情の兵るぢの潮あち
 更にをの他面杵おいJ蓑の虎理ヤ生底力の錬充に必
  し一‘い
要な資材は息野とべ稔入せねばなら均のであ畏、米押
は中也法む毒しセけれども、米月上申は多覇の簗掛
英俳等に供給されるであらうから、米軒かnの封日供給
は自戯窮屈になるものと理想される.・
 また戦争の動態忙よつ1日礪、日満伊、d満礪協曹長
に牧村すると零し」徒つてわが物資働貫潮普及び生産力
瑞光計‡もこの新宴に湖心七毒肘が加ペらるべ←、
                                             ′●
資金調畢、算昭づyク制なども稔出場学期し符.
     けん・たl
・るやう再検討と加ふべきである.
 従づて款上見たゞけでも、貿易上における好材料をわ
     ●†l川レ■
が珂が穿享受し得るか香かは、挙が何時まで稚鞭
                         ■I 一▼
し、各国が貿易管理のため如何なる措置を採るかの斬及
」.

ぴわが固の支那事攣乃至封ゾ問題の虚理を如何にすべき
かに懸つてゐるのであつて、
れないのである.

       「一■一●−I1−−11」
   …物   慣州
          【■■−一∫Illl▼■−一■−−
l概に礁渕することは許さ
 現衣、開円必需品については暴利収縮令や公定慣格制
によつて物情騰貴の阻止に努価てゐるが、大戦によつて・
捻出が促響亡れ同時に海外物資の輸入が困難となつて物
                                とl′ ●
費の不足を来せば、その物艶の偶格の騰費を招いてそれ
        しけ●   ■l       ボンド
がl般物偶高への刺戦となる映れがあり、且つ破の下
         ●▲〃てl
落は対米為替の軟調から封凍稔入にとつて少からぬ不利
た礪せ、その結果、l部職人晶慣格が騰貴してわが物偲
忙対して惑影響を輿へj換れがある.
    一ん‘′ヽ
.しかも舵腹の帝要増大に伴ふ湛賃高や海外需要の瀬埠
                       川レ一−▲†●,
による輸出品の卑僻昂騰は、国内物便高を助長する懸
               と▲7一い
念がぁ少、特に今日食轡仰の糖勢には侮り報いものがか
るので、これに対して生産資材、生活必需品の債格及び配
治耗制、賃金裁判などを出水るだけ速かに強化錬充する
と井に物併水準抑制のため、個々の商品慣格を対象とす
        くわじ∫ウ
るに物偶封節の外「過剰構男カの吸収策を強化するこ
とが亜輩である.・
この頃卦息は諒登節約と貯蓄加と姦凰的に
勘行し佗物慣の調整に協力†る必宰がぁる.それ忙大戦
       lr▲lわ′Y  ●みとりひ●
となれば商人の思惑買や間取引等が瀾念されるので十分
替戎する必妥が為る」
  」.掛刺吋郵∵
        「I■一一Il一一IliL


   ‘ん ■
 わが繊維工費忙とつては庚伊礪の抽出力が減温するこ
                 J▲丁は
とによつて印度を中心とする月英の季砺が先づわが同に
有刺忙展開し、甫嘩藻洲は勿論へ中南米、地中海諸国、
延いては欧洲方面べの進出卜期待され亀
 −●l一■l一l」
ふ憮一憮」東国が曾鳥叫できなく怒るとすれば、お
が固からの昇印、甫阿、尊洲向掛出の増進が瀾待暑れを
と共に・「算三次日印合商もわが固灯有利化するものと考
へられる.   d
               ▲トけんlL
 併し労働力、.石泉、篭身の軋額や、由原料の配給不町
滑等の而働な同額があるから、欺洲大戦常時のやうな
小・’●●l−
好況を鼻するか香かは舞岡である.原料棉花の職人は
      ・lい 小
米山仰の三大な滞荷、印棉の鹿荷増大から楽観されてゐる
      .ば17一●
が、たゞ高級紡穎に必奔なエヂプト棉の輸入は教景は少
いながら地中海の舵‥輝がどうなるかを懸念され.てゐる」
 「一I■l↓●●−−一■.       じん一ん
…人絹・スフ叩昨年のわが圃の人繊の職出高は一億】
  ■
 ヽI−I一一‥1−−−一1・l
千三宮帯封鹿である.国内放びに浦安向む制限して輸出
          しん一_†}    ■、l−●
にカを注げば捻出の伸長、偶格の騰貴で好影響を受け
得よう」しかし勢力不足の補充忙ついて未だ充足見透し
蛸甘かないこと、電力不足、石衆値上げ等の困難はある・
 .■一l一一一■一−」−
…羊毛工業「昨年のわが国の毛轍物の輸出高は享
 「IIIIIIIIり・
丸首六十萬封鹿であつたが、戦争の結果は原料の手首さ
へつけばわが製品の最大市場の印度を初め濠洲、アフy
カ、ブラジル方面の市場への勢ひは一舟伸び上う.漆洲
                    」汀ん一●−’
は羊毛の態出管理を行つたがわが国に原毛賓止めを行ふ
か香かは相常舞岡であり、戦争の結果英本国乃至は同盟
国の帝要が激増することとなり、自然他に鞄出する飴カ
がなくなるかも知れない.尤もか1る場合は南阿、南米
の羊毛を極力旅人し得るやう努めねばならない.d
叩製油野…昨年のわが生淋の職出高は由十七帯七千
 ■−−■▼l一llll−・
俵、うち米周向三十丸帯三千俵で仝虚の入剖二分三度、
残や一朝七分三度が主として欧洲向であるから、欧洲の
   、
需要は減つ七も米国は戦争景菊で相常務委の堵大臣溌想い
され、特忙英米クロスの.挙動にュる対米事替の低落は米河
                  山与−と・’
の愉入む容易忙してわが雀耕相場を昂騰せしめ、・恐計く
               ′ヽl
欧洲向捻出減は封米取出堵で補はれrう.
   ヽll■l●∫■−■−11一一一」
 」.袖畑ほ脂博ん
今後飲洲航路打者罫正岡又は.ハナマ運河耗由のニネ
       ぐわいく心                             性い一ん
となり、・外貨獲得上からある程度の.危験を官して配般
が績けられ、定性舵路は数年濱域「保険料率の菱勅にJ
つて適時菱更卓れるであらう.
 秀一次大戦の例に徹すると、開戦直後は貿易が−時序
止の形に格か、鹿約定すら破菜nれた卜物資の移動が開
始される状態に入るのは本格的に長期戦に入つてからで
あつた.

   ▲†ん▲托い
 従水沈滞し膠ちであつた遽洋舵路は、職争忙よる食櫨
晶や軍碑品藤の物資移動几伴ひ活況む具するであらう.
                    、●くわん
現金鹿洋市場忙おける英俳狗伊の塘舶はすべて節遺む
                     小1フけん
命ぜちれてむ斗東洋、南洋方南における舵稚は必然的
にわが彗下に慧れること譲らk
       ′Iく‘ん か



     一▲_‘′ヽ
 併しわが糖腹には自づから限度が計り、九月から配鍛
統制が行はれたが、埠洋へどれだけ配掛しうるかは、配
給統制が如何に混用されるかにか1つてゐる.
・海上保険に翔しては、戦時保険料卒壮瞥然引上げられ
                     ′ヽわん わl、く
るが、これ忙よる海荘及び捻出貿易の叔和策として、
欧洲大戦常時の例忙準じ政府による再保険専の同席が考
へられる.
′.一lI▼一▲.一一一−1−II■1.■1−
ヤ食瑞品の放出甘地巾
■■■■■●l■l一一l▲l一■■■■L
 締結顆の封欧捻出高は四千六首南風で、その九剣士で
が美園向である(主として鮭と蟹).その英南が撃に▲参
              にしん一一ぐろ 小つt
加したのであるから、更に姐、妨、蛭斯の饉の放出檜
              一けんlIん
進忙よつて本年度北洋漁糞の減産の不利は憫格昂騰に依
 ■,         ▲●●
り裕にえハーjれて判りあらう.その他水産物、茶、互
顆トビール等食掛晶の苛に性癖めて好ガ響があらう.
  「軋1引.封コ
    「一■−●一L▲「llL
事変途行のために必婁れスクラップ、藍珂石等にづい
では今日少からず海外旅人に飯存してゐるが、野掛帝要
の増大からこれが輸入に封しでは賂衆軋難の件ふLとセ
頬憩すべきであるので、現下のわが甲とtては日沸立ブ
ロック内に於ける資瀕を極力関数して自給自足的な生産
錬充を進める必宰がある.

    ヽ■■lllI●●ll■一
  …化牢工業…
   .■一●●●■■●■●一L
わが化畢エ農は未だ原料的\技術的に考へて欧米層
       ど ▲−ひ r
に依存する度合が可成畑高い状態にあるから、わが化皐
                   し▲汀ふ
工業収大きな艶迫となるが、々れだけ斯業の自立、自給
化を早めるとも官へよチ.
「吋吋.…肥料のづち硫虜、石水盤素については銃意
                         ’1フ▲▼ん     .1−つ モ


 ーーl■.I●−一一−
その生産の確保に努めてゐるが、間穎は過燐故石次と加
里盤にある.1即ち原料燐触石は過牛を輸入し、その相首
都分をエジプト、モロッコ等地中海方面に求めてゐる.
         1Iいくつ
之に対しては国内採掘共著の増産放びに第三国からの鞄
入牢これを補給する方添を儀じなければなちない.之に
圧して加里塵は交戦南たる褐川俳より大部分を、米国から
−部分を職人しでみる¢で打撃は少くない.内地の海草
     み●lT一ばん
次、朝鮮の明碁石から造ることも考へられるが少量に
・過ぎない..か1る蜃の下においては肥料割常制は一段
と強化せ首るを得鹿いこと鹿瀬らう.
     −●●■一一■」■.■■■一.
  「了 ム…
             ●ll−1,_一▲lll■■一ll1−


                 ▲Iん付レー
 ゴムは手簡よりも寧ろ米師の艮帝によつて左右され
る.米南の滑薫は世界の半分に紀く、昇俳礪働四サ輯
の々れ偲仝他の約三朝で、彗Tによつて右四囲の油菜高
はそれ程増加ナるとは息はれない.勿論蕎要は増しはす
るが漁法が問題となり、太平洋から米固を経由して英国
に行く外は瀬く†yガポール.に比べて.ミーヲ」ク、P
yry相場が高くなることは明らかだが、yyガポール
   げ,とク
相場の暴騰は期待出来まい.ゴム加工菜の製品捻出が増
加すれば、生ゴムの稔入も漢和されるであらう.
たゞ南際情勢の推移にJっては生産地でゴムの捻出敷
   ●I.▲ヽ
止の稽澄に出たり、放逸が困難になeやうな映れがある
心ら、これに封してはわが囲としてn何等かの封兼を考
へて軒くことが必要であらう.特檻合成ゴムエ農の急速
                    ”■ウ▲▼●く
なる確立を画り、雀ゴムの海外依存よれ舵郵するミ上
は現下最大の急務と官はな廿ればならない.

      ★        ★.

 以上述べた朗は、臥洲戦争が相首長期偶に互рナ稚統
    一〃てい
†るこ七を前線とんて、わ潮麓済舟払どう.いふ影申があ
るかを概詮したもの甘心キ劾▲遍昇拝する珂欝拝弊は
軽蒜前途の竣仙骨許さサー徒者音のせ界経済故に
虚すべきわが軒の態度としては、徒らなる去も藍軍
       ナ▲ い
も避け、手薄の推移忙感じあらゆる竣合を挽へでわが斡
カの充‡蟄艮を期し、、以て‡菱虚理の染行、新東亜連投
に萬仝の努力を致さねばならね.
●・