第九一号(昭一三・七・一三)
事変一周年に際し賜はりたる勅語
国際収支の概況と其の対策 大 蔵 省
傷兵保護事業 傷兵保護院
躍進、湖口を衝く 陸軍省新聞班
南昌に敵空軍を屠る 海軍省海軍軍事普及部
サンジャク問題一段落 外務省情報部
敗戦支那の裏面に拾ふ
最近公布の法令 内閣官房総務課
官庁刊行物だより
週報会結成を提唱す
支那事変一周年に際し
優渥なる勅語を下賜あらせらる
畏くも 天皇陛下には、七月七日、支那事変勃発一周年に当り、午前十時近衛内閣総理大臣を宮中に召され、優渥なる 勅語を下賜あらせられた。よつて近衛総理大臣は 聖慮の宏遠に恐懼感激し 勅語の聖旨を汎く国民に伝達するため、同日官報号外を以て内閣告諭を公にした。
畏くも 大元帥陛下には、引続き同日午前十一時板垣陸軍大臣、米内海軍大臣を宮中に召され、陸海軍人に対し優渥なる 勅語を下賜あらせられた。両大臣は恭しく奉答文を捧呈して退下、遠く前線の将兵にまで有難き 大御心のほどを伝へた。
勅 語
今次事変ノ勃発以来茲ニ一年朕ガ勇武ナル将兵果敢力闘戦局其ノ歩ヲ進メ朕ガ忠良ナル臣民協心戮力銃後其ノ備ヲ固クセルハ朕ノ深ク嘉尚スル所ナリ
惟フニ今ニシテ積年ノ禍根ヲ断ツニ非ズムバ東亜ノ安定永久ニ得テ望ムベカラズ日支ノ提携ヲ堅クシ以テ共栄ノ実ヲ挙グルハ是レ洵ニ世界平和ノ確立ニ寄与スル所以ナリ
官民愈々其ノ本分ヲ尽シ艱難ヲ排シ困苦ニ堪へ益々国家ノ総力ヲ挙ゲテ此ノ世局ニ処シ速ニ所期ノ目的ヲ達成セムコトヲ期セヲ
内閣告諭
本日支那事変勃発一周年ニ当リ 聖慮宏遠図ラズモ優渥ナル 勅語ヲ拝ス洵ニ恐懼感激ノ至ニ堪ヘザルナリ恭シク惟フニ抗日容共政権ノ潰滅ヲ図リテ日支ノ提携ヲ堅クスルハ即チ東亜ノ安定ヲ確保シ延イテ世界ノ平和ニ寄与スル所以ノ道ナリ
事変ノ前途ハ尚遼遠ナリ此ノ時ニ当リ朝野一体堅忍持久ノ態勢ヲ整へ凡百ノ政策ハ国家ノ総力ヲ挙ゲテ事変ノ目的ヲ達成スルニ集中シ尽忠報国ノ一念以テ万難ヲ排シ 聖慮ニ応へ奉ラムコトヲ期セザルべカラズ是レ本大臣ノ切ニ全国民ニ望ム所ナリ
昭和十三年七月七日 内閣総理大臣 公爵 近 衛 文 麿
勅 語
朕カ親愛スル陸海軍人ニ告ク
不幸客歳隣邦ト釁瑞ヲクヤ朕カ陸海ノ将兵ハ内籌画経理ニ勤メ外攻戦防備ニ労シ克ク威武ヲ中外ニ宣揚シ以テ朕カ信倚ニ対へタリ朕ハ汝等ノ忠誠勇武ヲ嘉シ切ニ鋒鏑ニ斃レ疫祉j死シ或ハ廃痼ト為レルヲ悼ム惟フニ時局ノ前途ハ尚遼遠ニシテ出師ノ目的ヲ達センカ為汝等ノ努力ニ俟ツモノ寔ニ多シ汝等軍人其レ克ク朕カ意ヲ体シ宇内ノ大勢ト時局ノ本質トヲ察シ愈々自疆淬肢ネテ朕カ股肱タルノ本分ヲ全クセンコトヲ期セヲ
陸海軍奉答文
優渥ナル 勅語ヲ賜ハリ臣等感激ニ堪へス謹テ 聖旨ヲ奉体シ戮力協心陸海一致事変ノ解決ニ渾身ノ努力ヲ致シ以テ 聖慮ヲ安ンシ奉ランコトヲ期ス
昭和十三年七月七日 海軍大臣 米内光政
陸軍大臣 板垣征四郎