地方長官会議に於ける
近衛内閣総理大臣訓示 (七月十五日)
今回特に諸君の会同を煩はしましたのは、時局に関する政府の所信を明かにして、諸君の格別なる尽力を求めむとするにあるのであります。今回の北支方面に対する派兵の趣旨は先般の政府の声明により既に諸君の御承知の通りであります。事件発生以来の平和的解決に関する我方の努力は全く水泡に帰せむとし、平津地方在留邦人の生命財産も危殆に瀕するに至りました。此の儘に推移せむか、北支の治安は甚だしく攪乱され、延いては東亜全般の平和に暗影の投ぜらるゝ虞があるのであります。帝国の真意は斯る重大事態の発生を防止するに外ならぬのでありまして、一日も早く支那の反省を求め、将来再び過般来の如き不法行為なき様誠意ある保障を得て平和裡に問題を解決致し度と存ずるのであります。
諸君は、今次派兵の大義名分を広く各方面に徹底せしめ、中央地方を通じ官民の協力を一層促進して真に挙国一致の実を挙げる様努力せらるゝと共に、一方国民に対しては飽くまで大国民たるの襟度(きんど)を持し、静平慎重以て時局に対処せしむる様配意せられむことを希望致す次第であります。
週報第40号 |